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【富田林市】暴れる大蛇の御魂を祀る創建伝承!巳年なので河内国最古の宮、美具久留御魂神社に初詣しました

奥河内から情報発信奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

昨日から2025年になりました。年が明けた瞬間、夜中も各地の神社仏閣では行列ができてにぎわっていましたね。さて初日の出も上がった元日の昼間、富田林市内で今年の干支にちなんだところに行くことにしました。

ご存じのとおり、今年は巳(蛇)年です。富田林で蛇に関係する神社がないか探したところ、出てきたのが喜志の宮こと美具久留御魂神社(みぐくるみたまじんじゃ)です。河内国最古の宮でもある神社、さてどんな関係があるのでしょうか。

さっそく外環状線を歩いて向かっていると、この看板に遭遇。美具久留御魂神社に車でお参りする人が多いため、今年も臨時駐車場も用意されていました。

臨時駐車場の位置はこちらです。

また私は電車で向かったのですが、多くの人が喜志駅で降りました。それも、見たところ大阪市内方面からの乗降者の数が多かったようです。

美具久留御魂神社と蛇との関係ですが、これは美具久留御魂神社の由緒沿革(外部リンク)に記載がありました。簡単に要約すると、十代天皇の崇神(すじん)の時代の話です。当時、神社のある現在の喜志周辺に大蛇が多く出没していたそうで、地域の農民が悩んでいたとのこと。

それを知った崇神天皇は「これは大国主命(おおくにぬしのみこと)の荒魂(あらたま:荒々しく勇猛な神霊)が暴れているのが理由なので、ちゃんと祀る必要がある」と家臣に伝えました。しかし、この時点では神社は創建されていないようです。

その後、崇神天皇の治世62年になってからのこと、丹波国氷上を治める有力者の氷香戸辺(ひかとべ)が皇太子の活目入彦(いくめいりひこ:後の垂仁天皇<すいにんてんのう>)の前に現れます。「私の子どもが自然に次のように歌いだしたのですが、とても子どもの言葉とは思えません。もしかしたら神が取りついているかもしれない」と皇太子に訴えました。

子供が歌っていた歌の原文

「玉菨鎮石。出雲人祭、真種之甘美鏡。押羽振、甘美御神、底寶御寶主。山河之水泳御魂。静挂甘美御神、底寶御寶主。」(日本書紀第五巻祟神紀六十年条・出雲国風土記)

以下、歌の現代訳

「水草の中に沈んでいる玉のような石。出雲の人の祈り祭る本物の見事な鏡。力強く活力を振るう立派な御神の鏡。水底の宝。宝の主。山河の水の洗う御魂。沈んで掛かっている立派な御神の鏡。水底の宝。宝の主。」

昨日13時ころ、下拝殿まで長い行列ができていました
昨日13時ころ、下拝殿まで長い行列ができていました

皇太子が天皇に相談したところ、崇神天皇はこれをご神託(神のおつげ)と判断します。神託の意味は次の通りです。

「出雲大神は大国主命であり、大国主命は山河を泳ぎ渡ってきた和爾神(わにがみ:龍神)であり、水泳御魂(みくくるみたま)大神である」

そこで、皇太子の活目入彦を河内国支子(きし:喜志)に遣わし、大国主の荒魂である水泳御魂を祀るために美具久留御魂神社を創建したとのこと。つまり大蛇の姿をした大国主の荒魂(水泳御魂)を鎮めるために、崇神天皇が皇太子時代の垂仁天皇に指示を出して神社を創建したのです。ちなみに神話の伝承によると崇神天皇の62年は紀元前36年です。

レインボーホールに描かれたミューラルは、粟ヶ池の龍神伝説によるもの
レインボーホールに描かれたミューラルは、粟ヶ池の龍神伝説によるもの

ちなみに和邇神は美具久留御魂神社のすぐ近くにある粟ヶ池との関係も深く、かつては和爾池と呼ばれていました。

池の北側に美具久留御魂神社(和邇宮)の別宮として、龍神社が祀られています。

神楽で登場する八岐大蛇(ヤマタノオロチ)は龍のような顔をしている
神楽で登場する八岐大蛇(ヤマタノオロチ)は龍のような顔をしている

余談ですが、干支では辰と巳は別物ですが、神話や伝承上では「大蛇=オロチ=龍神」という見方があるようです。もともと龍が空想上の動物であるので、それぞれの境界線があいまいなのがその理由。呼ぶ人のそれぞれの立場によって、どちらかの呼び方になるそうです。

さてそういう伝承のある神社ですが、昨日見たところ初詣で参拝する人の多くは、下拝殿で手を合わせるとそのまま帰ってしまう人が大半でした。しかし、本殿は山の上にある上拝殿のすぐそばに鎮座しているので、せっかくならと私は上拝殿まで行くことにしました。

70段あるという階段を上ったところから見下ろしました。少数ですが、私のように上拝殿まで参拝しようという方も一定数おられ、「ゆっくりでええから」と言いながら年配の人が手すりを持って上がっていく様子も見られました。

上拝殿まで来たところ、なんと普段閉まっている本殿を囲む玉垣の門が開いていて、中に入れるようになっていました!

お正月だからでしょうか?

そして何人かの方が玉垣の中の本殿のすぐ前で参拝している姿を見ました。

ということで、私も玉垣の中に入らせていただきました。

崇神天皇の指示で垂仁天皇が創建して、大国主の荒魂(水泳御魂)を主祭神として祀っている本殿です。他にも相殿(あいどの:同じ社殿に2柱以上の神を合わせてまつること)として、天水分神、須勢理比売神、木花咲耶比売神が一緒に祀られています。本殿の前に鎮座する狛犬には色がついていて、とても美しい姿をしていますね。

本殿に引き続き、境内社にも参拝します。南木神社は楠木正成公、楠木正行公、楠木正儀公、楠木久子公を祀っています。熊野貴平神社は伊邪那美神、須佐之男神を祀っているとのこと。

皇大神社(祭神:天照大御神、大物主神、事代主神)です。

郡天神社(祭神:菅原道真公)です。

こちらはもともと羽曳野市尺度にあった利雁神社です。祭神は天児屋根神、八幡神、倉稲魂神とのこと。

他にも境内の山の中に社殿があり、たくさんの神々が祀られていました。

こちらは天狗様こと猿田彦の神ですね。お正月なので、鏡餅が飾られています。

下拝殿の前に戻ってきました。記帳所があります。

授与所にも多くの人が集まっています。

3月16日に美具久留御魂神社では、喜志稲荷祭・柴燈大護摩供が行われるそうです。

護摩木の受付も行っていました。

15日のとんど焼きに使われる
15日のとんど焼きに使われる

昔、大蛇(オロチ・龍神)が暴れていてその正体が大国主の荒魂ということで祀られた美具久留御魂神社です。蛇(巳)年なので今日明日のお正月の間に参拝してみてはいかがでしょう。

今日2日から美具久留御魂神社そばにあるむか新富田林店は営業が始まります。近くにはうどんのきらくや来来亭、ニトリ、昨年できたオークワなどが営業を始めているので、神社参拝とセットで訪問できますね。

美具久留御魂神社

住所:大阪府富田林市宮町3丁目2053
アクセス:近鉄喜志駅から徒歩13分

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奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

河内長野市の別名「奥河内」は、周囲を山に囲まれ3種類の日本遺産に登録されるほど、歴史文化的スポットがたくさんある地域です。それに加えて、都心である大阪市中心部に乗り換えなしで行ける複数の大手私鉄(南海・近鉄)と直結していることから、新興住宅団地が多数造成されており、地元にはおしゃれな名店や評判の良い店なども数多くあります。そして隣接する富田林市もまた、歴史文化が色濃く残る地域。また南河内地区の中核都市として、行政系施設が集まっています。これを機会に、奥河内(一部南河内含む)地域に住んでいる人たちのお役に立つ情報を提供していければと考えています。どうぞよろしくお願いします。

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