ヤンキースは本塁打王3度の三塁手を獲得せず、首位打者2度の内野手を三塁に据えるのか
今オフ、ニューヨーク・ヤンキースからは、レギュラーの野手4人、ライトのホアン・ソト、レフトのアレックス・バーデューゴ、一塁手のアンソニー・リゾー、二塁手のグレイバー・トーレスがFAになった。彼らのうち、ソトはニューヨーク・メッツと15年7億6500万ドル(2025~39年)、トーレスはデトロイト・タイガースと1年1500万ドル(2025年)の契約を交わした。
ヤンキースは、ソトとの再契約を試みた。けれども、トーレスにはそうしなかったようだ。デトロイト・ニューズのクリス・マッコスキーらによると、タイガース入団が決まったトーレスは、ヤンキースから声はかからなかったことを明かしたという。同じように、ヤンキースは、バーデューゴも呼び戻そうとはしないだろう。リゾーの契約には、2025年の球団オプションがついていたが、それを破棄した。
彼らが守っていたポジションは、すでに埋まっている。ライトとレフトはアーロン・ジャッジとジェイソン・ドミンゲス、一塁がポール・ゴールドシュミット、二塁はジャズ・チザムJr.だ。ジャッジが定位置としていたセンターは、トレードでシカゴ・カブスから移ってきたコディ・ベリンジャーが守る。ゴールドシュミットは、1年1250万ドル(2025年)の契約でヤンキースに入団した。
他のポジションは、捕手がオースティン・ウェルズ、遊撃がアンソニー・ボルピー、DHはジャンカルロ・スタントンだ。
ただ、三塁だけは、レギュラーが確定していない。現時点の候補は、DJ・ラメイヒュー、オズワルド・カブレラ、オズワルド・ペラーザといったところだろうか。2024年は、ラメイヒューが67試合で2本塁打と出塁率.269、カブレラは108試合で8本塁打と出塁率.296。ペラーザのメジャーリーグ出場は、4試合に過ぎなかった。
ラメイヒューは、2016年と2020年に首位打者を獲得したが、2021年以降の打率は.268→.261→.243→.204と推移している。ホームランが15本を超えたシーズンは、2019年の26本塁打しかない。年齢は36歳だ。2022年にメジャーデビューしたカブレラとペラーザは、どちらもブレイクには至っていない。
ラメイヒューは、二塁、三塁、一塁を守る。カブレラは、捕手以外の全ポジションについたことがあり、ペラーザは、一塁を除く内野3ポジションをレパートリーとする。
ヤンキースには、アレックス・ブレグマン(FA)かノーラン・アレナード(セントルイス・カーディナルス)を手に入れる、という選択肢もあるように見える。2人とも、2024年はやや低調ながら、攻守ともに実績のある三塁手だ。
3月に31歳となるブレグマンは、2018~19年に31本塁打と41本塁打を記録し、ここ3シーズンも25本前後のホームランを打っている。2017~23年の出塁率は、7シーズンとも.350を下回ったことがなかった。4月で34歳のアレナードは、コロラド・ロッキーズ時代の2015~16年と2018年に本塁打王を獲得。カーディナルスへ移ってからのホームランも、2021~23年の3シーズンは計90本を数えた。
だが、YESネットワークのジャック・カリーによると、ヤンキースは、ブレグマンもアレナードも欲しがっていないという。その前に、MLB.comのマーク・フェインサンド、ジョン・デントン、ブライアン・ホックは、ヤンキースがアレナードの交換要員に先発投手のマーカス・ストローマンを提案し、カーディナルスに断られた、と報じていたが、それが事実だとしても、受け入れられないことはわかっていたはずだ。アレナードとストローマンの年齢は、半月しか違わない。また、ニューヨーク・ポストのジョエル・シャーマンも、ラメイヒューを三塁に起用する方向、と伝えている。
ヤンキースは、ラメイヒューの打撃が復活する、パワーについては他の選手たちで十分、と見ているのだろうか。ラメイヒューとの契約は、あと2年3000万ドルが残っている。