【富田林市】「愛の龍伝説」が粟ヶ池にあります。羽曳野丘陵を越えて、夜な夜な奥さんのいる狭山池に!
富田林に限らず、南河内地域には数多くのため池がありますね。ところで富田林のため池を見ると、その多くは羽曳野丘陵の山裾に作られていることが多いようです。
しかし、例外的に平野部にあるの大きなため池が、粟ヶ池(あわがいけ)です。
歴史的には、喜志駅の周辺にある喜志五郷と呼ばれている地域に水を送る中継点のような池として活躍しています。それと同時に比較的町中にあるために散歩しやすい場所で、共園(公園)として整備もされています。
特に近鉄電車に乗っていると、富田林駅から喜志駅に向かう途中に、数秒間ほど、粟ヶ池の様子が見えるのが印象的です。
そんな粟ヶ池を、改めて散策してみることにしました。昨年完成した高架線を越えればその先に池があります。
余談ですが、すでに半分が高架線を使用しているために、線路がはがされていました。
ほかのため池でもある事ですが、この冬の時期は、水かさが少なくて湖面が出ていることが多いですね。粟ヶ池も例外ではないようです。
こちらは参考までに以前撮影したものです。水が多いときはこんな感じですね。
それでも水をたたえている部分があります。
水面を見ると、水鳥が集団で泳いでいました。
別の種類の鳥もいました。今まで通り過ぎることはあっても、こうやってじっくり見ることは無かったので新鮮です。
するとこのようなパネルを発見しました。粟ヶ池にはこのように6種類ほどの野鳥を見る機会が多いとのことです。
ところで、粟ヶ池の歴史は古く、かつては和邇池(わにいけ)と呼ばれていたそうで、紀記(古事記・日本書紀)の仁徳天皇の治世の時にも登場するそうです。
- 古事記:下つ巻・仁徳天皇より引用
丸邇池(わにいけ)というのが和邇池を指しているとされ、それが現在の粟ヶ池とされています。
さてこちらは、粟ヶ池の北西にある部分、水が流れ込んでいるところです。粟ヶ池は石川の上流から人工水路が敷かれていて、この粟ヶ池まで水を運んでいるそうです。
粟ヶ池の水は画像では、水がほとんどありません。しかしその先に見える粟ヶ池バイパスの橋から南側に行くと水が残っていました。
橋から南側、遊歩道沿いに歩いてみましょう。
このように橋より南側には粟ヶ池の水があります。
よく見ると大平和祈念塔(PLの塔)が見えますが、その手前を見ると、池に浮かぶふたつの小さな島があって非常に気になりました。
この辺りは野生の森という名前がついています。ところで先ほどのふたつの島は浮島という名前のようですが、この浮島に何か由来があるのかなと調べたところ情報が全く出てきませんでした。
改めて浮島を見ても鳥居のようなものが無いので、神聖な場所というわけでもないようです。もしかしたら池の周囲を公園として整備したときに設置したことも考えられます。
いずれにしても情報が無いので、浮島の由来ははっきりしませんが、飛来してくる鳥たちにとっては小さな楽園のような気がしました。
ただ現時点では粟ヶ池の周回はできないようです。理由としてこの先には近鉄線の線路があるのも関係しているのかもしれません。
今年中にはもうひとつの線路も高架線になると思われますので、その後、もしかしたらこの先に遊歩道が伸びるかもしれませんね。
ところで粟ヶ池には面白い伝承があると聞きました。それは粟ヶ池には、もともと雄の龍が住んでいたそうで、狭山池に住む雌の龍の元に、毎晩会いに行っていたそうです。(別の伝承では雌の方が粟ヶ池まで会いに行ったとも)
現在の地図で粟ヶ池と狭山池の位置関係を見ました。伝承によれば、粟ヶ池の龍は、羽曳野丘陵PL教団の敷地内を通って、堺市美原区の木材団地の横を、藤沢台や五軒家を通過して狭山池に住む龍に会いに行ったことになります。
当時は住宅地などありませんが、それでも村があってそれらの田畑を龍が通過するたびに荒らされてしまうので、村人たちは困り果てます。
退治しようにも相手は大きいですし、倒したとしてもその後に祟りが起きるかもしれないと村人たちは躊躇(ちゅうちょ)しました。
そこで粟ヶ池の雄の龍に狭山池に住んで貰おうと狭山池に祠を立てました。その結果、毎晩龍が移動することなく、夫婦の龍が狭山池で仲良く暮らしたそうです。
ただし、その夫婦の子供がさやりんなのかどうかはわかりません。
粟ヶ池の北側、レインボーホールの隣には龍神社があり、和爾神が祀られていますが、この神様こそかつて粟ヶ池に住んでいた龍神でだったそうです。
また鳥居の手前に記載されていますが、美具久留御魂神社の祭神である大国主命荒魂が、実は和爾神と同一だったので、別宮として祀っているようなことが書かれていました。
粟ヶ池と狭山池の関係がますます気になりますね。
そんな伝承のことが頭の片隅にあったのか、先日近くに行く機会があったので、狭山池に立ち寄ってみました。あそこの龍神社のところには、夫婦の龍が住むとされる龍神淵があります。
さて、狭山池博物館の近くに行くと、映画のロケ地と書いてあります。「嘘八百」という映画で狭山池博物館をロケ地にしたのでしょうか?
とても気になったので、博物館に行きお話を伺うと、副館長の方がおられたので詳しくお話が伺えました。
狭山池博物館をロケ地にした「嘘八百」という映画は、この1月6日から上映されており、大阪市内では1月末から2月初めくらいまでは上映される予定とのこと。
シリーズ3作目で、それまでは堺の博物館が主なロケ地でしたが、今回はスケジュール面で利用できないことから狭山池博物館でロケが行われたそうです。
映画のクライマックスからラストシーンにかけて、いくつか狭山池博物館が登場するので、映画を見た人や出演俳優のファンの方たちが聖地巡礼として訪問することが増えたそうです。
狭山池博物館はこれまで、主に外観のロケがドラマでよく行われていたそうですが、この「嘘八百」の場合は、博物館内でもロケが行われました。さすが映画だけあって、カメラやマイク、照明の数がとても多かったそうです。
ちなみにここが映画のラストシーンなのだそうです。もし映画をまだ見ていない人は、大阪ならまだ上映しているそうなので確認しては如何でしょう。
ということで、粟ヶ池から狭山池の映画の話と少し脱線してしまいましたので、粟ヶ池に戻ります。
粟ヶ池と狭山池の龍神の物語は、映画のタイトルの「嘘八百」のように、科学的な視点で見てしまうと嘘八百かもしれません。
しかし、あと半月余り先にあるバレンタインデーを前にして、男女の恋の物語と考えると、粟ヶ池の龍神伝承には少しロマンチックさもあって楽しいのかなという気がしました。
粟ヶ池
住所:大阪府富田林市粟ヶ池町
アクセス:近鉄喜志駅から徒歩11分
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