国際宇宙ステーションで未知の細菌が繁殖!?突然変異した細菌の特徴とは?中国も細菌実験を開始
2030年末で運用が終了し、地球大気圏へ再突入させることで廃棄が決定している国際宇宙ステーション(ISS)。実はその内部で未知の細菌が繁殖していることをご存知でしょうか?本記事では、ISSの状況をはじめ、中国でも開始されている細菌実験について解説します。
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■国際宇宙ステーションって一体なに?
ISSは、地球高度400kmを周回する人工的な宇宙ステーションです。1998年に宇宙での建設が始まり、米国・日本・欧州各国など世界15か国の国際協力によって運用されています。
主な役割は、宇宙だけの特殊な環境を利用したさまざまな実験や研究を長期間行える場所を確保すること。2000年11月から3人の宇宙飛行士が滞在を開始し、現在6人体制で運用を実施。チームは約6か月ごとに交代し、宇宙環境での科学実験やISSの保守作業などに取り組んでいます。
■国際宇宙ステーションで未知の細菌が繁殖
これまでに300人近い宇宙飛行士がISSに滞在していますが、実はその他にもある生物がISSへ訪れているのです。
それは、人体で共生している「細菌」です。ISSに取り残された宇宙飛行士の細菌たちは、繁殖するにつれて無重力や放射線環境下で徐々に変異していきます。
NASAがISS内を分析したところ、地球上の細菌とは全く別の特性に変異しており、中には薬剤への耐性が向上している種も存在していたとのことです。更には、細菌同士でお互いの生存を助け合う、共生関係があることも示唆されました。
現在NASAは、これらの細菌が宇宙飛行士の健康へどのような影響を与えるか、慎重に分析を進めています。
■中国も自国の宇宙ステーションで細菌実験を実施中
2024年1月、中国は宇宙ステーション「天宮」へある細菌を輸送しました。その細菌は、深海から生物の胃の中など、地球上の広い範囲に生息する最古の生命体の一つです。さらに、水素と二酸化炭素だけで生きることが可能であり、空気中のメタンの発生源としても知られています。
宇宙での実験の目的は、生命の発生源に迫ることです。火星でも同様にメタンが確認されており、その発生源を巡って国際的な研究が進められています。仮に、火星でも細菌から発せられたメタンが起源であったとすると、地球外生命体の存在可能性に迫ることができます。
微生物は宇宙ステーションで放射線にさらされ、微小重力や極限温度の環境でどのように生存できるかを観測されるとのことです。
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