「理解レベルの4段階」とは? 組織マネジャーが理解すべき用語解説
■理解には4つの段階がある
「わかってます」
と若い部下が言う。しかし、どう考えてもわかっていない。キチンと理解していないのだ。だから上司は
「まだちゃんと理解していないだろう」
と指摘する。しかし、
「私なりに理解しているつもりです」
と反論してくると、どうしたらいいのか上司も悩むことだろう。もちろん理解ゼロとは思っていない。だが、まだまだ明らかに理解不足なのである。どうしたら、キチンと部下は正しく自己認識してくれるのだろうか?
そんなときは「理解レベルの4段階」を使って頭を整理すればいい。まずは、理解には4つのレベルがあり、一足飛びに理解が進むことはない、と捉えよう。
それぞれのレベルについて解説する。
・理解レベル(1) → 「○」か「×」など印象でしか理解できていない
・理解レベル(2) → 多様なインプットを通じて要点を整理できている
・理解レベル(3) → 知識と経験とが点と点で繋がり、腹に落ちている
・理解レベル(4) → 自分の言葉で人に教えられる
■動画やネット記事だけだと理解不足は解消されない
まず理解レベル(1)について解説しよう。
学ぶ意識が低かったり、ネット記事やブログ、動画といった断片的な情報のみだったりすると、表面的な知識しか手に入らない。理解どころか正しい知識習得もできていないだろう。
多角的な視点が手に入らないので、「参考になった/参考にならなかった」程度の印象しか残らない。これがレベル(1)である。
次に理解レベル(2)だ。
多様なインプットを通じて、多角的な視点で物事を見られるようになっている状態だ。
全体像を理解したうえで、何が論点で、何がトピックで、何が具体的なコツかも整理できる。
そのためには、体系的に書かれた複数の書籍や研修からのインプットが必要。ネット記事やブログ、動画といった断片的な知識習得だけで、このレベルに達することはない。
■「腑に落ちる」状態が理解レベル(3)である
体系的に知識を身につけても、実際に経験し安定して成果を出さないと腹に落ちることはない。
知識を身につけると最初はわかった気になる。だが、知識を応用してもうまくいかないことが増えると納得できなくなるものだ。本当にこの知識、ノウハウは役に立つのか? と疑うようになる。
ただ「理解=言葉×体験」を頭に入れ、知識に基づいた実践を繰り返す。知識と経験が資産化するといずれ点と点が繋がってくる。べき乗に理解レベルが上がっていき、
「ああ、そうか」
と腹に落ちるのだ。いわゆる「腑に落ちる」という心理現象を味わう。これが理解レベル(3)の状態である。
大事なことは、知識に基づいた経験が増えることだ。自分なりのやり方で経験を積んでも、点と点が繋がることはない。
腹に落ちるだけでなく、膨大な知識資産、経験資産によって、借り物の言葉ではなく、自分の言葉で人に教えられる状態が理解している(4)の状態だ。
大量の試行錯誤を重ねているため、センスが磨かれている。何がいいか、悪いかを一瞬で見抜くことができる。知識や知恵のみならず知性も身につけられている。
このように整理すれば、何をどこまで理解できるようになっているか「モノサシ」を持つことができる。
このように、理解不足の部下と対話するときは「理解レベルの4段階」を用いると相手の頭を整理させることができるだろう。ぜひ活用してもらいたい。
<参考図解>
<参考動画>