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親子関係がよくなり兄弟仲もよくなる方法

親野智可等教育評論家
(写真:アフロ)

ひとりっ子でなく複数の兄弟を育てる場合は、子どもが不公平感を持たないようにしてあげることが大切です。

なぜなら、子どもたちの中には親の何気ない言動に不公平さを感じている子も少なくないからです。

例えば、自分は他の子よりよく叱られる、我慢させられることが多い、あまりほめられない、自分は大切にしてもらえてないなどと感じている子はけっこういるのです。

こういうことが続くと、親への反発心が募ったり兄弟の仲が悪くなったりする可能性があります。

場合によっては、一生涯に渡る兄弟不仲の原因にもなりかねません。

でも、不公平感を持っている子どものほとんどがそれを親に言いません。

言うことで自分がよけいみじめに感じられるからだと思います。

私が小学校の教師だったとき子どもたちと雑談していて、ある子が「ぼくの写真あんまりない」と言ったことがありました。

その子は3人兄弟の真ん中で、お兄ちゃんや妹と比べて自分の写真がかなり少ないということで密かに胸を痛めていたのです。

親が勝手に「この子は大丈夫」と判断して、言葉をかけたり手をかけたりする回数が少なくなっている子もいます。

そういう子が人知れず寂しい思いをしていることもあります。

兄弟の中で叱られることが多い子と少ない子がいて、当然叱られることが多い子は不公平を感じます。

甘えるのが上手な子と下手な子もいて、下手な子は不公平を感じている可能性があります。

「お姉ちゃんでしょ」「妹なんだから」「お兄ちゃんのくせに」など、立場を理由にして叱られることで不公平感を持つ子はたくさんいます。

子どもにしてみれば、その立場に生まれたかったわけでもないし、今更自分にはどうしようもないことです。

それを理由に叱られるのは本当に理不尽で不愉快なことです。

中でも一番よくないのは、「妹はできてるのになんであなたはできないの?」とか「お兄ちゃんを見習いなさい」など、他の兄弟と比べて叱られることです。

これは子どもにとって本当に不愉快で嫌なことです。

ですから、親に対する反発心は抑えがたいものになりますし、比べられた兄弟に対するネガティブな気持ちも募ってきます。

以上のことは全て、親自身は気づかないうちに無意識にやっていることです。

ですから、意識して公平にするように努める必要があります。

無意識・無頓着のまま自然に任せてしまわないでほしいと思います。

これは東京のIさんという方に聞いた話ですが、次男に非常に手がかかり、その分長男が寂しい思いをしていることに気づいたそうです。

それで、ある日思い切ってパパとおばあちゃんに次男を預けて、ママ(Iさん)と二人きりで長男が好きな電車などの乗り物がたくさんある遊園地で遊びまくりました。

名づけて「ひとりっ子タイム」です。

ママにたっぷり甘えられて気持ちが満たされたのか、その後長男は弟にも優しくなったそうです。

また、4人の子どもを育てているKさんは、毎日夜寝る前に一日を思い返し、触れ合いや声かけが少なかった子がいないか振り返るそうです。

もしそういう子がいたら、次の日の朝に必ず取り戻すようにしているとのことです。

これらの例も参考にしつつ、子どもが不公平感を持っていないかに気を配ってあげてほしいと思います。

教育評論家

教育評論家。本名、杉山桂一。長年の教師経験をもとに、子育て、しつけ、親子関係、勉強法、学力向上、家庭教育について具体的に提案。『子育て365日』『反抗期まるごと解決BOOk』などベストセラー多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても著名。Instagram、Threads、Twitter、YouTube、Blog、メルマガなどで発信中。全国各地の小・中・高等学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会、先生や保育士の研修会でも大人気となっている。オンライン講演も可。お問い合わせは親野智可等の公式サイトから

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