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東京―仙台間の新幹線が満席だと!? 5時間近くかかる仙台行「特急ひたち号」に乗ったら意外に快適だった

鉄道乗蔵鉄道ライター
品川発仙台行の特急ひたち3号(筆者撮影)

 筆者は、先日、Yahoo!ニュースエキスパートの勉強会兼懇親会が東京のLINEヤフー本社で開かれるということから東京を訪問することとなった。筆者は普段は北海道を本拠地としていることから東京までは飛行機を使うことにしたが、帰りとなる9月14日(土)は三連休の初日ということもあり、航空運賃が高かったことから帰りには新幹線を利用することにした。えきねっとで新幹線の予約をしようとしたのは1週間ほど前で、帰りの新幹線を調べたところ、この日の仙台・新函館北斗方面の東北・北海道新幹線は午後の列車までほとんどが満席だった。

仙台までの在来線経由の特急ひたち号に乗車することに

 そうしたなかで、ふと品川駅から在来線の常磐線経由で仙台駅まで運行されている特急ひたち号の存在を思い出し、空席状況を調べてみたところ空きがあったので座席を押さえることにした。そして、仙台駅からは東北・北海道新幹線のはやぶさ号の空席があったことから、このルートで品川駅から北海道へと戻ることにした。

 筆者が品川駅へと到着したのは午前7時前のこと。朝早い時間帯ではあるが、大都会東京のターミナル駅ということもあり、大勢の人が行きかい活気に満ちあふれている。特急ひたち号は大半の列車がいわき行として運転されているが、1日に3本だけ仙台行の列車が設定されている。

 仙台行の特急ひたち3号は、品川駅を7時43分に発車し仙台駅到着は12時28分。所要時間は4時間45分で乗車券・特急券の通常価格は9,280円。一方の東北新幹線では、同じ時間帯のはやぶさ5号が東京駅を7時32分発車し仙台駅到着は9時4分。所要時間は1時間32分で乗車券・新幹線特急券の通常価格は11,610円となる。

 特急ひたち号のほうが所要時間では新幹線よりも3時間以上余分にかかるが、筆者の体感として座席は新幹線よりも広く感じ、各座席にはコンセントの設備がありwi-fi環境も整っていることから、パソコンでまとまった時間を集中して作業するには実は快適な環境だったりする。

 なお、カタログスペックでは、特急ひたち号に使用されているE657系のシートピッチは960mm、東北・北海道新幹線はやぶさ号に使用されているE5系のシートピッチは1040mmとあるが、人間の感覚とは不思議なものだ。

品川発仙台行の特急ひたち3号(筆者撮影)
品川発仙台行の特急ひたち3号(筆者撮影)

音楽イベント開催のため勝田駅までは大混雑

 筆者は品川駅の改札を通り、特急ひたち3号が発車する9番ホームへと向かったところ7時20分頃に列車が入線。しかし、車内整備のためなかなかドアが開かず、乗客が乗車できるようになったのは発車5分前の7時48分頃となっていた。この日は、勝田駅周辺で大型音楽イベントがあるということで指定席、グリーン席ともに途中駅まで満席ということであった。品川駅を発車した時点ではまだ空席が目立っていたため、筆者は車内でパソコン作業を始めることにした。

 しかし、東京駅、上野駅と停車するにつれてあっという間に座席が埋まり、デッキまで立ち席客で埋まるほどの混雑となってしまった。車内で作業を続けるにはやや窮屈な状態となしまったものの、この日は新幹線も同様に混雑しており、座席が広々としている特急ひたち号のほうがまだ快適な状態と言える。ちなみに、特急ひたち号は、全席指定席で運行されているが、特急券の座席未指定券を購入すれば立ち席での利用が可能となっている。

 そして、常磐線を疾走すること約1時間半で列車は勝田駅に到着。ここで約半数の乗客が降り、さらに湯本駅といわき駅でも多くの乗客が降りた。いわき駅を発車すると乗客は当初の3分の1ほどになり、作業をするのには快適な車内空間となった。

普通車の座席は新幹線よりもゆったりめだ(筆者撮影)
普通車の座席は新幹線よりもゆったりめだ(筆者撮影)

仙台までは快適な車内環境でパソコン作業

 いわき駅の発車時刻は10時25分であったが、まだ仙台までは2時間ある。東京方面から乗り通してきた乗客はまだ20名以上車内におり、その大半が車内でパソコンやタブレット端末を広げ何らかの作業をしている様子であった。

 なお、筆者は車内でYahoo!ニュースの執筆を進めることができ2024年9月14日付記事(「北海道と首都圏では2倍の運賃格差」 JR北海道・運賃値上げ公聴会で指摘された政治課題)と(年間5000億円の「北海道開発予算」が鉄道に使えない不合理 鉄道活性化のため突破口を開くべきだ)を仕上げることができた。

 東京―仙台間の移動については、その速さから大半の方が新幹線を選択する現状があるが、この区間の新幹線が取れなかった場合、快適な車内環境を求めて在来線の特急ひたち号でライフハックをしてみるのはいかがだろうか。筆者が乗車していた1号車で仙台まで乗り通したのは10名ほどだった。

この日、使用した乗車券(筆者撮影)
この日、使用した乗車券(筆者撮影)

(了)

鉄道ライター

鉄道に乗りすぎて頭の中が時刻表になりました。日本の鉄道全路線の乗りつぶしに挑戦中です。学生時代はお金がなかったので青春18きっぷで日本列島縦断修行をしてましたが、社会人になってからは新幹線で日本列島縦断修行ができるようになりました。ステッカーやTシャツなど鉄道乗蔵グッズを作りました。

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