原子炉を宇宙に打ち上げた実験、原子力エネルギー宇宙で使われたミッションを紹介
宇宙では太陽電池による発電が主流ですが、原子力を利用することで爆発的なエネルギーを生み出すことができます。本記事では、実際に原子力エネルギーが宇宙利用された例や、原子炉を宇宙に打ち上げたミッションをご紹介します。
■様々な探査機やローバーに使用されている原子力電池
まず皆さんの馴染みのあるNASAのプロジェクトでいうと、初めて太陽系を脱出し、恒星間を飛行している探査機「ボイジャー」や、火星探査車の「キュリオシティ」などです。これらのプロジェクトでは、「原子力電池」を搭載しています。
日本の探査機の場合、エネルギーを得るためにほとんどのケースで太陽電池を搭載しています。太陽電池パドルは質量も大きくなりますし、太陽が当たらない環境では発電することができないという制約があります。
それに対して原子力電池は、放射性物質のプルトニウム238などの崩壊熱を利用して、その熱を電気に変換することで発電をしています。原子力電池は効率良く発電を行えるので、太陽光が届きにくく太陽電池が使えないミッションでも電気を供給することができるんですね。
■
そして、実際に宇宙用原子炉を打ち上げた例もあります。1965年にはアメリカが、宇宙用原子炉を積んだ「SNAP-10A」という衛星を打ち上げ、1か月ほど実際に発電を行いました。結果的には故障によりミッションは終了となっています。
1970年代のソ連にいたっては、宇宙用原子炉である「ブーク」、「トパース」の開発に成功しています。これらを積んだレーダー偵察衛星である「コスモス954号」など実際に運用されました。
それでは、皆さんも心配している安全性はどうなのでしょうか。原子力電池は強固なカプセルに入れられたり、宇宙用原子炉も運用終了時には高軌道に捨てるなどの対策が出ています、しかし、仮にトラブルなどで地球に墜落してしまった場合、やはり放射線被害は出てしまうようです。軽量で大きな力を生み出せる原子力ですが、その取扱いには十分すぎるほどの準備と対策が必要ですね。
【関連動画】
【関連記事】