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10連休「うれしくない」4割、旅行・子どもの生活・仕事…その実態は

なかのかおりジャーナリスト(福祉・医療・労働)、早稲田大研究所招聘研究員
収入が減らず、ゆっくり休めたら10連休も楽しいけれど(写真:アフロ)

「令和」になりました。前向きなムードはいいけれど、10連休の前半、家事や仕事が休めなくて疲れた人も少なくないと思います。長い旅行はお金がかかり、家庭があれば子どもの生活をどうするか考えなければなりません。医療関係者やサービス業は勤務がありますし、時給・日給の仕事だと収入が減ってしまいます。10人ほどに過ごし方を聞き、理想の連休や必要な体制を考えました。

●子どもの生活リズムに悩む

学校や学童保育、保育園が休みで、祝日は地域の児童館もお休み。そういう長い連休は初めてなので、筆者はまず子どもの過ごし方をどうしようか、考えました。

小学校低学年の娘は、家でのんびり過ごすというわけにはいきません。新学期が始まったばかりの連休で、生活リズムが崩れないように、体を動かしたり、人と接したりという機会も必要です。

10連休があるとのうわさを聞いたころ、3泊程度の旅行を調べると、ハイシーズンよりも高い価格で断念。1泊程度、近場に出かけることにして、あとは近所での過ごし方を模索しました。

図書館は祝日の時間帯で開いていて、本好きの娘には唯一のオアシスです。ほかに「映画の割引デー」「チケットをもらった展覧会」「連休中にも設定のある習い事」「子どもの日だけオープンの児童館」などと日替わりで短時間の居場所を見つけました。

筆者はその合間に、コツコツと仕事しています。それでも、3食をどうするか考えて用意し、家事に娘のケアと、やることが多くて、アラフィフ親は連休前半に早くもしんどくなりました。

●旅行は短めが多い

周囲の人たちに、10連休の過ごし方を聞いてみました。

Aさん家族は、沖縄に5泊します。 Bさんは、連休スタートと日にちをずらして、子連れでハワイに5泊。割安のツアーがとれたそうですが、航空会社は選べない、座席がどうなるかなど課題はあるとか。Cさんは、夫の実家方面に、高齢の母を連れて3泊。

多いのは、1泊程度のお出かけや実家へ行く家庭です。Dさんは、友人家族と北関東の温泉に1泊するほかは、実家へ。Eさんは、家族でキャンプ。Fさんは、双方の実家に。

●仕事も…救急外来は手厚く

その他、毎日ではないけれど、仕事が入っているという人も。Gさんは、夫の仕事が入ったため、実家から家族が来て東京観光を。Hさんは、家族に子どもたちを頼んでパートの仕事をするほかは、実家にお泊まり。ショップ店員のIさんは、連休は関係なく交代で出勤し、連休以外の期間に休みを取るそうです。

医療関係の仕事は、病院の診療体制によって、休みを決めています。薬剤師のJさんは、1日だけ仕事が入り、あとは実家へ。医師のKさんが勤める病院は救急外来があり、ふだんの休日よりも増員して対処。連休を半分ぐらいにわけて交代で取れるようにしつつ、救急の当番と、何かあった時に駆けつける当番が入っているそうです。

●「家事の負担増」「休めない」

そもそも、10連休はどう受け止められたのでしょうか。時事通信が4月に発表した「10連休に関する世論調査」で、4割が「うれしくない」と回答しました。うれしくない理由で、「家事などの負担が増える」10.8%、という結果に共感する家事・育児・介護の担い手は多いと思います。

調査では、意外と連休が少ない実態も。15.0%が「全く休めない(休まない)」と回答。「1日だけ」4.3%、「2~3日」18.5%、とほとんど休めない人も多かったとしています。

働き手を確保するため、連休中の保育も課題になっています。4月20日の読売新聞朝刊によると、小売業や医療関係などの保護者のために、保育園で休日保育を実施する自治体もあります。一方で、保育士不足のため十分に対応できずキャンセル待ちが出たり、地域の有償ボランティア「ファミリーサポート事業」を紹介したりの自治体も。企業などが、民間の保育事業者へ託児を依頼するケースが増えたそうです。

●ずらして取れたほうが助かる

連休の実際の過ごし方は、時事通信の調査によれば、「自宅でゆっくり過ごす」が最多の64.3%。家事を含めて近場で過ごす人が大半で、国内外を旅行する人は計16.2%。筆者の周囲に、10連休をフル活用して出かける人はいませんでした。

「ゆっくりできて、収入に影響がない」人には、うれしい連休かもしれません。でも、日給・時給制の働き方の場合、収入が減ってしまいます。1人暮らしなどで、連休が寂しく感じる人もいるでしょう。

時期をずらして交代で取れるとか、有給休暇を増やして必要な時に取れるようにするとか、柔軟な設定のほうが、子育て・介護家庭も、働く人も、助かると思います。

また、病院や公共施設がずっと休みだと、不安を感じる人もいます。「ここに行けば、心配なく過ごせる」という場所や、「困った時のセーフティネット」になる窓口の情報が、もっと必要です。

ジャーナリスト(福祉・医療・労働)、早稲田大研究所招聘研究員

早大参加のデザイン研究所招聘研究員/新聞社に20年余り勤め、主に生活・医療・労働の取材を担当/ノンフィクション「ダンスだいすき!から生まれた奇跡 アンナ先生とラブジャンクスの挑戦」ラグーナ出版/新刊「ルポ 子どもの居場所と学びの変化『コロナ休校ショック2020』で見えた私たちに必要なこと」/報告書「3.11から10年の福島に学ぶレジリエンス」「社会貢献活動における新しいメディアの役割」/家庭訪問子育て支援・ホームスタートの10年『いっしょにいるよ』/論文「障害者の持続可能な就労に関する研究 ドイツ・日本の現場から」早大社会科学研究科/講談社現代ビジネス・ハフポスト等寄稿

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