初のぶりっ子曲で眠ってたかわいさを解放。TEAM SHACHIがレーベル初のアルバムで新境地【前編】
名古屋発のアイドルグループとして12年に渡り活躍を続けているTEAM SHACHI。一昨年にプライベートレーベル「ワクワクレコーズ」を発足後、初のフルアルバム『笑う門には服着る』をリリースする。クローゼットを開き、たくさんの服(=曲)を合わせているような……というタイトル通り、豪華作家陣による多彩な楽曲に挑んだ。インタビューを前・後編でお届けする。前編は先行配信で話題を呼んだ2曲のことを中心に。
4人で振付を考えて3分間ずっと声が入って
――プライベートレーベルから初のフルアルバムということで、皆さんがやりたかったことが存分にできた感じですか?
大黒柚姫 打ち合わせに参加させてもらって、1曲ごとに「こういうテーマで作ろうと思っている」というお話を聞いて、私たちの意見も出させていただきました。
秋本帆華 メンバーが特に意見を言ったのが『沸き曲』です。新曲で最初に制作がスタートして、「どういう楽曲がやりたい?」という会議で聴いたデモ音源のひとつでした。「これは今のシャチに欲しい! 絶対ライブで映える!」と言わせていただいたんです。
――昨年10月に先行配信されて、まさに沸く曲ですが、皆さんの運動量もすごいですよね。
大黒 イントロ、間奏、アウトロとずーっと声がしている、にぎやかな3分間です(笑)。
坂本遥奈 チームしゃちほこ時代から激しい曲が多いですけど、『沸き曲』はメインで歌っているのが帆華と柚姫。4人で歌う倍で、特に大変かなと思います。
秋本 確かに、この曲はずっと歌っていますね。
大黒 振付を4人で考えたんです。ハル(坂本)が付けてくれたことはありましたけど、全員で考えたのは初めて。「これはどう?」って、いろいろなパターンをやってみて、どれが私たちに一番合うか、楽しんでもらえるか、たくさん試行錯誤しました。
咲良菜緒 4人でひとつのものを作るのは楽しい時間でした。
大黒 3分間でどの1秒も大事というか、こだわりが多すぎて。ライブを通して、たくさん伝えていけたらと思っています。
腹筋は毎日爆笑して鍛えられてます(笑)
――それにしても、脚を振り上げながら歌ったりできるのは、日ごろからトレーニングして腹筋を鍛えているからですか?
咲良 たぶん私たちの腹筋を作っているのは、いつもの爆笑なんです(笑)。
坂本 笑いすぎて鍛えられる(笑)。
大黒 一緒にいると爆笑して、お腹が痛くなることが多くて。ほぼ毎日会っているのに、いつでも爆笑するから、腹筋が強くなりますね。
秋本 これ、真面目な話なんです(笑)。「爆笑で筋肉を鍛える」と言っても、信じてもらえないかもしれませんけど。
坂本 鍛えるというか、自然に鍛えられちゃう(笑)。無理やり笑ってはいないから。
――腹筋が鍛えられるほどの爆笑ネタが、そんな毎日あるものですか?
大黒 あるんですよ。でも、何で爆笑していたのかは、まったく思い出せない(笑)。
咲良 メンバーがふとしたときに変なことをして、笑うことが多くない?
坂本 本人が無意識にした行動がおかしくて。学生時代に「何であんなことで笑っていたんだろうね」と言っていたのが、今も続いている感覚です。
大黒 でも、ほーちゃん(秋本)が発端のことが多いね。
坂本 天然ボケなんです。
秋本 本当は狙って爆笑を取りたいんですけど(笑)。
大黒 このビジュアルと声で、毒舌が出るんです。性格もおっとりしているから、強い言葉とギャップが面白くて(笑)。
咲良 12年一緒にいても笑います(笑)。
自分たちが歌うのは想像できませんでした
――アルバムタイトルの『笑う門には服着る』も皆さんが考えたんですか?
秋本 スタッフさんに考えてもらって、打ち合わせの中で決めました。
坂本 フルアルバムで新曲を7曲入れさせてもらったので、いろいろなジャンルがあるほうが、幅広い層に刺さるなとは思っていました。
――12月に先行配信された『おとなりさん』は、かわいいに全振りした曲も入れておこうと?
秋本 やってみたかったです。ここまでかわいい曲はなかったし、世間的にもこういう曲が流行ってますよね。
大黒 バズるのはかわいい曲が多いかな。
秋本 デモをいただいたときは、この曲をシャチが歌っているのが全然想像できなかったんです。だけどレコーディングしたら、シャチの曲になっていて。お客さんからも「こういうかわいいのも見たかった」という声をたくさんいただきました。
――とはいえ、帆華さんは通常運転だったのでは?
秋本 確かに、かわいいパートは今までも、たくさんやらせていただきました。
大黒 自分はもともとかわいいと(笑)。
秋本 そんなことは言ってない(笑)。今回も「かわいくしなくちゃ」と思いながらレコーディングしました。
咲良 台詞パートも多くて、ニュアンスとか細かいディレクションがありました。
秋本 それぞれの個性に合ったかわいいを見せてほしいと。
大黒 あざといかわいさ、ピュアなかわいさとか、いろいろあるので。みんなの中に眠っていたかわいいが、解き放たれた楽曲になりました。
「ねえ、ダメ?」でハートをいっぱい付けて歌ったり
――帆華さんの<ねえ、ダメ?>の台詞はあざとく言ったんですか?
大黒 どうなんですか? 私たちも聞きたい(笑)。
秋本 3パターンくらい録った中で、一番ナチュラルなのが選ばれました。
坂本 これがナチュラルなの⁉
大黒 「あざとっ!」と思った(笑)。他にどういうパターンを録ったの?
秋本 もっとブリブリで「ねえ~、ダメぇ~?」みたいな、ハートがいっぱい付いているのだったり。
――使われているのもハートが付いてる感じですけど(笑)。
秋本 もっとすごいハートでした。
大黒 普段からハートを出しているからね(笑)。
秋本 ライブでは、もっとハートいっぱいバージョンが聞けるかもです。
咲良 このアルバムの前に出したEP『AWAiTiNG BEAR』ではロック系が多くて、帆華の力強い歌が開花したんです。そこからの「ねえ、ダメ?」なので、よりかわいく思えました。
台詞の担当から脱落しました(笑)
――ここは最初から帆華さんが担当と決まっていて?
咲良 もともとパートは決まってなくて、全部歌ってます。
大黒 台詞もひと言ずつオーディションで、<ねえ、ダメ?>を勝ち取ったのが秋本さんでした。
咲良 私は脱落しました(笑)。
――菜緒さんはどう言ったんですか?
咲良 ハートいっぱいではなかったかも。行って帆華の普通くらい。さっぱりめだった気がします。
大黒 クールなお姉さんということ?
咲良 相手の体を揺らして「ねえ! ダメ?」って(笑)。
大黒 それも聴いてみたい! レコーディング風景を動画で撮っていたからね。
咲良 ファンクラブかどこかで聴いてもらえる機会があったら、嬉しいです。
口先だけの声量でしゃべるように
――他のところでの菜緒さんも、いつもよりかわいめですよね。
大黒 2番の初めの<一周回って>とか。
咲良 私は私で頑張りました(笑)。<一周回って>は2回しか録っていません。上手にできすぎたのか(笑)。
秋本 菜緒はDメロの<脇役じゃないけど>からのところも歌っていて。
大黒 そこは「素直な自分になって」と言われましたけど、どう挑んだんですか?
咲良 最後の<ねえ>はかわいくしました。『おとなりさん』は歌詞の量が多くて台詞寄りで、このDメロが唯一歌っている感じなんです。いつものレコーディングは高く太く声を出すことが多くて、ここまで口先だけの声量は初めてでした。
大黒 メロのところも台詞っぽいからね。
咲良 そう。しゃべり声に近い歌い方で、そのボリューム感は調整が難しかったです。でも、かわいくなりました(笑)。
妹というポジションは意識しました
――遥奈さんの<教えてよ>もキュンとさせます。
坂本 語尾を伸ばしてないナチュラルなバージョンも録りましたけど、たぶん無邪気さや妹感が伝わるテイクを選んでいただきました。私はみんなと1歳しか違いませんけど、いちおう妹というポジションは意識しました。
大黒 坂本家でも妹だし、シャチでも妹。
秋本 出だしの<かわいいね>のことも聞きたい!
咲良 そこは一番大事だから。
大黒 ニュアンスが難しかったよね?
坂本 まず誰の目線なのか。曲を作ってくれたヤマモトショウさんにお聞きしたら、内気な女の子が自分ができないあざといことを普通にしている子を見て、「かわいいね」と言っていると。だから、もっと嫉妬混じりで「フン!」という感じでも録りましたけど、意外と落ち着きめで言ったのが使われました。
推しメンのあざとい写真を置いて録って
――柚姫さんの<ごめんやっぱなし>もかわいいです。
大黒 台詞をかわいく言うのは、あまりやったことがなくて。
坂本 今回は全体的に、ブリッとキュルルンめだよね(笑)。
大黒 推しメンのとびきりあざとい写真を置いて、レコーディングしたんです。かわいさ溢れる空間にして、今までにないくらいぶりっ子してみました(笑)。
――その推しメンというのは……。
大黒 =LOVEの野口衣織ちゃんです! スタジオに来るときも『しゅきぴ』とかイコラブさんのかわいい曲をいっぱい聴いてました。髪も巻いて、自分の持っている中で一番かわいい服を着て、形から入りました。
――MVでは<かわいいはずで>のところで、両手をアゴに当てて小首をかしげていたり。
秋本 すごくかわいかった。
大黒 かわいいポーズのバリエーションがなくて、画像を検索したり、いろいろ考えました。手でいろいろな大きさのハートを作ってみたり。
――テレはありませんでした?
大黒 楽しかったです。ぶりっ子っていいなと(笑)。
長年一緒にいて見てなかった姿がありました
――MVもかわいさ全開に仕上がりました。
大黒 ストーリー仕立てで、最初は内気で着飾ってなくて、途中からセットも服も派手になります。表情も抑えめだったのが、ぶりっ子全開になりました(笑)。1曲の中でいろいろな自分になれて、衣装でのダンスパートもあって、何回も観返しています。
咲良 シャチはずっと、メンバーそのままの個性が活かされてきたグループなので、ここまで自分でない人になっているのは、すごくレアだと思います。
――菜緒さんと帆華さんはメガネを掛けていて。
咲良 メガネは似合うとよく言ってもらいます。
秋本 メンバーからすると、普段の菜緒は現場にメガネを掛けてくるので、いつも通りな感じがします。
咲良 オフ感が出ていいかなと。
坂本 今回の衣装が全員黄緑で、1人1人形は違いますけど、フリフリでドレッシー。10何年も見ているメンバーでも、ふと向こうから歩いてきた瞬間「かわいい!」と思いました(笑)。
秋本 「アイドルだ!」って。
坂本 こんなに長年一緒にいて、まだ見てなかった姿がありました。しかも、女の子が一番見てほしいかわいいところに振り切ったからこそ、見せられた部分だったので。ファンの方にも喜んでもらえると思います。
*インタビュー後編はこちら
TEAM SHACHI(チームシャチ)
ももいろクローバーZ、私立恵比寿中学に続くスターダストプロモーションのアイドルグループとして、愛知県出身のメンバーで結成。2012年にチームしゃちほことして名古屋城で路上デビュー。2013年に『首都移転計画』でメジャーデビュー。2018年に改名。2022年にプライベートレーベル「ワクワクレコーズ」から、EP『舞いの頂点を極めし時、私達は如何なる困難をも打ち破る』をリリース。『TEAM SHACHIのF&Cミュージック』(FM AICHI)に出演中。
『笑う門には服着る』
2月14日発売
Mカード 3000円(税込)
3CD+Blu-ray 19800円(税込)*受注販売=予約終了