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『放課後カルテ』でAEDで命を救った転校生。松下洸平と朝ドラ以来の共演の13歳・岡本望来に初取材

斉藤貴志芸能ライター/編集者
『放課後カルテ』に出演中の岡本望来 (C)日本テレビ

松下洸平が小学校の学校医となった医師役で主演する『放課後カルテ』。病院で担当していた子どもの姉という転校生が序盤で目を引いた。演じているのは13歳の岡本望来。しっかりした良い子に見えて、「弟を見放した」と学校医の牧野には複雑な想いを抱く。倒れていた高齢者を周りに誰もいない状況でAEDを救おうとするシーンは胸を打った。初めてのインタビュー取材を受けてくれた岡本自身は、明るく元気で話が止まらない少女だった。

家でおままごとをして遊んでました

――大阪出身なんですね。

岡本 はい。今も住んでます。

――小さい頃はどんなところで遊んでました?

岡本 おうちでお人形さんで、おままごとやお母さんごっこをしてました。お人形さんが大好きで、夜も一緒に寝ていたり。今はしてませんけど(笑)。

――望来(みく)さんというお名前は字が珍しいですね。

岡本 オーディションに行って「みらいさん」と呼ばれたり、学校でキラキラネームと言われたりします(笑)。希望が来る、という感じで画数がすごく良いみたいです。自分では気に入っていますけど、友だちには「おかみく」と呼ばれます。

目立つことが好きだったんです

――仕事も小学生の頃からやっていました。

岡本 小学1年生くらいからです。幼稚園の頃からテレビやCMを観て「やりたーい!」と言い続けていたんです。お母さんとお父さんがいろいろ調べてくれて「やってみようか」となりました。

――出たい番組があったとか?

岡本 番組がどんなふうに作られているのか、裏側が気になっていたのと、目立つことが好きだったんです(笑)。みんなの前でバンバンしゃべってましたし、学習発表会で音楽劇をやったときも、主人公を「やります!」と手を上げました。サラダを作って、病気のお母さんを元気にする役でした。

――『仮面ライダーセイバー』に出ていた頃は、どんな気持ちでした?

岡本 朝がめちゃめちゃ早いのは大変でしたけど、撮影現場では大人の俳優さんたちに囲まれて、差し入れのお菓子を食べて、楽しくやっていました。その頃は本当に無邪気だったので、お仕事でもただ楽しいとしか思っていませんでした。

テンカラット提供
テンカラット提供

しゃべらなければかわいいと言われます

――『放課後カルテ』で演じている冴島啓は、クラスで「大人っぽい」と言われる転校生。望来さんも中学でそんな感じですか?

岡本 しゃべらなかったらかわいい、と言われています(笑)。授業中は静かにしていますけど、しゃべり出したら、もうダメみたい(笑)。バーッと話してしまって、休み時間は廊下でふざけて暴れん坊みたいになって、毒舌とも言われます。

――どんなことを言うんですか?

岡本 先生に「黒板が見えないですー」とか(笑)。

――啓が牧野先生を睨んでいたように?

岡本 私は睨んだりはしません(笑)。

――友だちとはどんな話をしていますか?

岡本 私の学校はお弁当で、「玉子焼きは塩か出汁か砂糖か」みたいな話ばかりしています(笑)。

――望来さんは玉子焼きは何派なんですか?

岡本 塩派です! お母さんがずっと塩で作ってくれていたので、甘い玉子焼きは「何これ?」となってしまいます。塩辛とかおつまみも好きですけど、コーヒーは飲めません。

(C)日本テレビ
(C)日本テレビ

中学では本当の自分を出してしまおうと

――部活とか係はやっていますか?

岡本 係を決めるときに今回のお仕事で行けなくて、勝手に花育係に決められてました(笑)。花壇に水をあげに行かないといけなくて、みんな面倒がって、休んでいたら押し付けられたみたいです。

――花を育てるのはいい仕事ではないですか?

岡本 教室から花壇まで遠いんです。片道2分くらいかかって。

――2分なら近くないですか(笑)?

岡本 でも、10分間の休み時間に往復で5分くらい取られて、放課後に早く帰りたくても5分遅くなるので(笑)。

――学級委員をやるタイプではないですか?

岡本 小学5年生のときにやりました。委員長が決まらないと終わらない感じだったので、「じゃあ、私がやります」と。

――それも目立ちたい一環だったり?

岡本 高学年になると目立つのが恥ずかしくなってきました。だから、小学校ではおとなしい子を装っていたんです。中学は受験して、みんな知らない子からスタートしたので、本当の自分をパーンと出してしまおうと、うるさくなりました(笑)。

目が合って「よろしくね」は言えません

――中学受験をしたくらいだと、勉強も頑張っていたんですね。

岡本 中学はお姉ちゃんを追い掛けて受けました。お姉ちゃんは塾に通ってましたけど、お父さんに「望来は塾なしでいける」と言われて。

――それだけ頭が良かったから?

岡本 頭は良くなかったんですけど、性格的にそうだと。芸能活動はお休みして、勉強に専念しました。塾と違って自分のやる気次第なので、ちょっとサボってお母さんに怒られたりしながら(笑)、頑張ってました。

――4月に中学生になって、転校してきた啓みたいに、すぐクラスに馴染めました?

岡本 私は目が合った子に「よろしくね」とは言えません(笑)。啓ちゃんはすごいなと思います。オープンスクールで仲良くなった子と、入学したらみんな別のクラスになって。ポツンとしてましたけど、何やかんやで友だちができて馴染めた感じです。

ダンス部を休部して体がなまってました

――小学校時代と変わったことは多いですか?

岡本 ありますね。小学校では授業を受けてノートを取っていれば良かったのが、中学では中間試験、期末試験に向けて、ちゃんと勉強しないといけなくて。あと、私は運動が苦手なのに体を動かすコースを選んで、運動する授業が連続であるとイヤになってしまいます(笑)。

――なぜそのコースにしたんですか?

岡本 ダンスはやっていたんです。それもお姉ちゃんを追い掛けて、小さい頃に習っていて。部活もダンス部に入ったんですけど、基本はバレエで、私がやっていたのはチアダンスだったから真逆でした。しかも、『放課後カルテ』の撮影で休部していたから、全然体を動かしてなくて。2学期の初めの運動の授業では、なまっていて地獄でした(笑)。

――小学校のドッヂボールはどうでした?

岡本 早く当たって、外野に逃げてました(笑)。

「誰かいませんかー?」をマネされます

――『放課後カルテ』で出番の多かった2・3話は、リアルタイムで観ました?

岡本 東京に一緒に来ていたお母さんと観ました。自分があんなに出たことは初めてだったから、恥ずかしくて。ベッドに伏せてチラッ、チラッと観ていました(笑)。

――学校でも「観たよ」とか言われたり?

岡本 はい。知らなかった先輩が「もしかして?」と話し掛けてくれたり、保健室の先生が「すごかったね」と喜んでくれたり。友だちにはAEDのシーンをマネされます。廊下で膝をついて「誰かいませんかー?」と大きい声で言われて、「やめて~!」となりますけど、観てくれてありがたいです。

――もともと芸能の仕事をしていることは知られていたんですか?

岡本 クラスで「芸能人がいないかな」と全員の名前を検索した子がいて、バレました(笑)。「『スカッとジャパン』に出てたの?」とか聞かれて。『放課後カルテ』に出ることは言ってなかったんですけど、「名前が出てる。休んでいたのはこれのため?」みたいな。「録画したよ」と言ってもらいました。

現場でお姉さんっぽく頑張ってます

――啓役はオーディションで決まったんですか?

岡本 はい。1次はたくさんの人が受けに来ていて、事務所の方に「他の人と違う演技をすると印象に残る」とアドバイスをいただいて。それで、みんながキレていたところを1人だけ真顔でやったりして、2次に行けました。2次では弟とのシーンがあって、めちゃくちゃ緊張しましたけど、そこで啓ちゃん役をやりたいなと思いました。

――それで合格に?

岡本 そのあとに最終オーディションがありました。結果が出るまで長い待ち時間があって、自分が呼ばれるか怯えながら、手足が震えていました。最後に残った子で雑談みたいなことをして、このメンバーがクラスメイトになるのかなと予想したんですけど、大阪に帰ってから私は啓ちゃん役に決まったと連絡が来て、「やったー!」となりました。

――6年2組の児童役では、望来さんはお姉さんのほうですか?

岡本 そうです。小5、小6、中1といて、私は中1なので。

――大人っぽい子の役と意識しなくても、あの中だと自然にそうなる感じ?

岡本 私は性格が子どもっぽいと言われていて(笑)。野外学習のシーンのとき、広いところだったので、休み時間に小学生の子たちと一緒に走り回っていました。でも、ふとしたときに「ちょっと静かにしようね」と言ったり、お姉さんっぽく頑張っています(笑)。

真顔から不自然な笑顔に切り替えて

――啓は先生の前では良い子な顔をして、学校医の牧野先生は睨みつけたり、表情を変えていましたね。

岡本 監督さんに「優等生の笑顔がうまいね」と言われました。不自然な笑顔にしてほしいということで難しかったです。でも、私も小学校でおとなしい子を装っていたときは、先生に敬語を使いながらウソっぽい笑顔を向けていたので、そういう感じかなと思いました。

――森川葵さんが演じる篠谷先生に呼ばれて振り返ったときも、急に笑顔になっていました。

岡本 前を向いていたときは真顔で、呼ばれて笑顔をちゃんと作ってから、振り返るようにしました。その切り替えが啓ちゃんらしさなんですよね。

――牧野先生を睨みつけるところは?

岡本 オンエアを観たお母さんからは「素で妹を睨むときはもっと怖い」と言われました(笑)。妹は口が達者で「そんな言葉、どこで覚えたの?」と思って、よくケンカになってしまいます。

必死さを出したくて素で泣けました

――2話の神社前で倒れていたおじいさんを1人でAEDで助けようとするシーンは、10分1カットで撮ったとか。

岡本 その前に予備日を使ってリハーサルをしてくださいました。流れを確認して「頑張ろうね」と言われて。前日は「できるかな……」とすごく緊張しましたけど、監督さんが細かく気持ちを作ってくださったので、素で泣けたと思います。

――演じているときは啓になり切って、1人で何とかしなければと切羽詰まっていた感じですか?

岡本 あんな状況を経験したことはないので、難しかったです。たくさんリハーサルをしてもらったので、ちゃんとやらなければという気持ちもありましたし、役になり切っても手順を忘れてしまうのは怖くて。でも、監督さんには「忘れても戸惑っている感じが出るから大丈夫」と言っていただきました。

――「どうして誰も来てくれないの?」には切実な不安を感じました。

岡本 自分では牧野先生が来てくれるのは知ってましたけど、必死さは出したくて。監督さんに「大きい声を出したら必死に見える」とアドバイスをもらったのが、助けになりました。

――他にも、3話で家出して保健室で膝を抱えているシーンや、お母さんに叩かれた頬を触れられて「痛かったね」と言われるシーンで、涙が流れていました。

岡本 普段は泣くことはあまりないんです。笑っていることのほうが多くて。弟のことを思って泣くところは、松下さんから「悲しいところを思い浮かべるのでなく、笑顔を思い出したほうが泣けるよ」と教わりました。あとは、お母さん役のソニンさんがすごく気持ちを作ってこられるので、一緒に演じていると、こちらも自然に泣けてきました。周りの方たちに助けられています。

弟とのシーンはかわいくて癒されます

――他に自分で好きなシーンはありますか?

岡本 弟の直明(土屋陽翔)とのシーンは、すごく癒されながら演じていました。直明くん、かわいいんです。「UNOやる?」と聞かれて、私はルールを知らなかったので、直明くんに教わりながらやったんですけど、それで私が勝ってしまって。大人気なくて、ちょっと恥ずかしくなりました(笑)。

――番組のSNSでも腕相撲や指相撲を楽しそうにしている動画が上がっていますが、すぐ仲良くなったんですか?

岡本 最初はちょっとしゃべらない子で、それもかわいいなと思っていましたけど、UNOをしたりして打ち解けけて。直明くんの撮影がいったんお休みに入るところで「バイバーイ」って帰っていったので、また戻ってくるのが楽しみです。

――本当に弟思いな役ですが、実の妹さんは睨んでいるんですね(笑)。

岡本 絶対に直明くんのほうがかわいいと思ってましたけど、久しぶりに大阪に帰って、妹に普通に「お帰り」と言われて、「あっ、かわいい」と思いました(笑)。ケンカはやっぱりしますけど、実の妹の力は大きいですね。

まだ子どものままでアオハルしたいです

――ちょっとしたシーンだと、教室で代理ミュンヒハウゼン症候群の説明をしようとして、男子から投げられたチョークをナイスキャッチしたところは、うまくいったんですか?

岡本 何本かチョークを割っています(笑)。私はキャッチボールも苦手なんです。リハーサルのとき、(児童役の)一希くんが監督さんに「チョーク投げていいですか?」と言って、「えっ? 私はキャッチできないけど」みたいな。リハーサルで2本くらい取り損なってカラーンと落ちて、本番は距離をちょっと短くしてもらいました。それでも何本か割ってしまいましたけど、やっとキャッチできたときは、心の中で「取れた!」とめちゃめちゃ喜んでました(笑)。

――啓は牧野先生に「早く大人になろうとして無理が生じる」と言われていました。望来さんは早く大人になろうとはしていますか?

岡本 私はそんなに思いません。まだ子どものままでアオハルしたいです(笑)。

――今はどんなアオハルをしていますか?

岡本 放課後に仲の良い友だちと購買に行って、ラスクやカステラを買っています。それを一緒に食べているときが一番いいなと思います。

覚えていただいてたのが嬉しくて

――『放課後カルテ』の現場で、松下洸平さんとはさっき出たアドバイス以外にも、話はしているんですか?

岡本 たくさんお話しできています。以前(朝ドラの)『スカーレット』でご一緒していて、「あのときは小さかったね。楽しかったね」と言ってくださって、「覚えていただいてたんだ!」と嬉しくなりました。

――望来さんも『スカーレット』での松下さんのことは覚えていて?

岡本 はい。遊んでもらうシーンがあって、カットが掛かってもずっと構ってくださって。すごく楽しくて、いい思い出になっています。また共演できるのが楽しみでした。

――松下さんと共演して、友だちには羨ましがられるのでは?

岡本 そうですね。「イケメン?」と聞かれて「すごくカッコいいよ」と言うと、「いいなー、私も会いたい」と言われます(笑)。

コメディは素のままでいけそうなので

――女優の仕事は将来も続けていくんですよね?

岡本 続けていきたいです。いろいろなジャンルに出られるようになりたいと思っていて。コメディの面白い役のほうが素のままでいけそうなので(笑)、やってみたいです。

――どんなコメディが好きなんですか?

岡本 『今日から俺は!!』は観てました。橋本環奈さんがかわいいのに面白くて、あんな顔をされるのを見ると、私もやってみたくなります(笑)。

――変顔もできると。

岡本 抵抗ないです。普段から友だちといると、変顔を挟んでいるので。授業中もわからなくなったら、白目をむきます。誰も見てなくても(笑)。どちらかと言うと、写真を撮るときにかわいくニコッとするほうが苦手です。『放課後カルテ』の現場で台本を持った写真を撮るときも、とっさに変顔をしてしまって、お母さんに「ちゃんとかわいい表情をして!」と怒られました(笑)。

電車でカップルを見ていいなーと

――先ほどアオハルの話が出ましたが、青春ものはどうですか?

岡本 恋愛系もやってみたいですけど、できるかな? ヒロインの方がすごくかわいい表情をしますよね。自分がやったら、恥ずかしくなってしまいそう(笑)。でも、いつか挑戦したいです。

――『おとななじみ』では久間田琳加さんが演じたヒロインの幼少期の役でした。

岡本 そうでしたね。本当は男の子と手を繋いで写真を撮るシーンがあったんですけど、私がテレてしまって繋げなくて、ただ並んで写真を撮りました(笑)。

――かわいい(笑)。

岡本 今は電車に乗ってカップルがいると、いいなーと思います。映画の中で恋がしたいです。

――憧れの女優さんもいますか?

岡本 杉咲花さんが好きです。あと、この前、朗読劇の『ハロルドとモード』を観に行かせていただいて、深川麻衣さんの声が聴きやすくて素敵だなと思いました。子どもにもすごくやさしく接してくださるので、私もあんな人になりたいです。

テンカラット提供
テンカラット提供

サンタさんは信じてないと来てくれないので

――『放課後カルテ』がクライマックスに入ると年末に差し掛かってきますが、クリスマスは盛り上がりますか?

岡本 家でケーキを食べてプレゼントをもらいます。友だちにパーティーに誘われたりもしますけど、外は寒いので(笑)。家で暖かい格好をして、家族と盛り上がるのが好きです。

――中学生になってもサンタさんは来ますかね?

岡本 来ると思います。去年は来て厚底ブーツをもらいました。お母さんに「サンタさんはいると信じてないと来なくなっちゃうよ」と言われるので、ちゃんと信じています(笑)。

――今年欲しいものはありますか?

岡本 お父さんがサンタさんにお手紙を持っていってくれると言うので、何をお願いするか考えています。楽しみですね。

――去年は厚底ブーツとのことでしたが、現在151cmの身長も伸ばしたいところですか?

岡本 そうですね。踵に刺激を与えると伸びると聞くので、一生懸命ジャンプしてます(笑)。

Profile

岡本望来(おかもと・みく)

2011年10月13日、大阪府出身。ドラマ『スカーレット』、『仮面ライダーセイバー』、『大奥』、映画『おとななじみ』などに出演。ドラマ『放課後カルテ』(日本テレビ)、『記憶を売る店』(Vigloo)に出演中。

『放課後カルテ』

日本テレビ系・土曜21:00~

公式HP

(C)日本テレビ
(C)日本テレビ
芸能ライター/編集者

埼玉県朝霞市出身。オリコンで雑誌『weekly oricon』、『月刊De-view』編集部などを経てフリーライター&編集者に。女優、アイドル、声優のインタビューや評論をエンタメサイトや雑誌で執筆中。監修本に『アイドル冬の時代 今こそ振り返るその光と影』『女性声優アーティストディスクガイド』(シンコーミュージック刊)など。取材・執筆の『井上喜久子17才です「おいおい!」』、『勝平大百科 50キャラで見る僕の声優史』、『90歳現役声優 元気をつくる「声」の話』(イマジカインフォス刊)が発売中。

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