ド根性も幸せも祭りも詰め込んで。TEAM SHACHIがレーベル初アルバムに込めた出発の想い【後編】
名古屋発のアイドルグループとして12年に渡り活躍を続けているTEAM SHACHI。一昨年にプライベートレーベル「ワクワクレコーズ」を発足後、初のフルアルバムとなる『笑う門には服着る』のインタビュー後編。先行配信以外の新曲について語ってもらった。多彩な楽曲に挑んだ中で、新たな顔を見せた4人の「ここからまた旅立ち」との想いも込められたという。
*インタビュー前編はこちら
歌詞が多くて速い挑戦曲が多くて
――アルバムの新曲の『FANTASTIC MIRAI』は疾走感のあるロックで、作曲の松隈ケンタさんは「4人の凶暴な面を出す楽曲」とコメントしています。
坂本 松隈さんに前のEP『AWAiTiNG BEAR』で4曲作っていただいて、今回もまたディレクションまでしてもらったのが嬉しくて。曲のテンション的には、今までのシャチにあまりなかったですね。
大黒 『AWAiTiNG BEAR』の楽曲たちとも、また全然違った方向性ですけど、ハル(坂本)がずっと松隈さんの曲を聴いていただけあって、めちゃくちゃ馴染んでいました。
坂本 嬉しい。初めてメンバーの感想を聞きました。自分でも歌っていて、改めて松隈さんの曲が好きだなと思いました。
――速い曲という点では、皆さんはお手のものですか?
大黒 速さで言うと、『おとなりさん』もサビとかだいぶ速いんです。
秋本 音程もコロコロ変わって。
秋本 このアルバム、難易度の高い挑戦曲は多かったです。『縁爛』のAメロも速く感じますし。歌詞が多くて速い曲が多かった印象です。
対バンで「絶対に1人10人は落とそう」と
――『FANTASTIC MIRAI』にある<負けず嫌い>や<ドがつく根性>は、皆さんが持っているものですか?
坂本 シャチといえばドがつく根性です(笑)。
秋本 歌っていて気持ちが入りますね。
大黒 入る入る! ドがつく根性を<見せてやろう>というのがシャチっぽくて。
――どんなときに見せていますか?
咲良 今も回っているツアーはもちろん、対バンやフェスだと、30分くらいで初めましての人たちに、どれだけシャチを好きになってもらえるか。みんなの目が違います。
大黒 「絶対に1人10人は落とそう」と言って挑みます。歌っている声がもう、いくさボイス(笑)。戦って高め合って、最後に行くにつれて、どんどん上がっていく。
――ロックフェスとかアウェイなほど燃えるんですよね。
秋本 昔からそうです。
大黒 『FANTASTIC MIRAI』はシャチのそういうトゲトゲしたところが表れていて。これからのキーになる1曲だと思っています。
メンバーのいくさボイスに奮い立たされます
――普段から負けず嫌いが出ることも?
大黒 たまにあるよね。
坂本 10周年の配信のロケで、みんなでボウリングに行ったとき、スコアに納得いかなくて。
秋本 めっちゃヘタだったので(笑)。
坂本 スケジュールはちょっと押していたのに「もう1回やりたい!」と言いました。もう1回やっても、やっぱりヘタでしたけど(笑)、全員揃ったとき、そういうのが出るかもしれません。
咲良 1人1人はド根性系女子ではない気がします。結構すぐ諦めてしまったり。でも、グループのことになると変わるんです。
――おっとりガールの帆華さんも、やるときはやると?
秋本 ライブ中は、メンバーのいくさボイスに私も奮い立たされます。
大黒 ほーちゃん(秋本)の声は一番わかりやすく変わります。普段はかわいくておっとりした声なのが、勝ちにきているときはドスが利いて、「我ヲ称エヨ!」とか。
咲良 『舞頂破』の2サビ前ね。
秋本 そこはメンバーに「良かった」と言われてから、意識するようになりました。
ギリギリだったのが余裕を見せられて
――『愛のニルバーナ』は楽曲提供の浅野尚志さんのコメントで、メンバーから「歌詞サイコ~」との評をもらったとありました。歌詞のどの辺が良かったですか?
秋本 始まりからいいよね。<ピーニャカ ピーニャ>とずっと言っていて(笑)。
大黒 「何これ?」と(笑)。
坂本 浅野くんには結成当初からお世話になっていて、今出た根性のような私たちの尖った部分とか、「行けんの? やれんの?」みたいな強気な楽曲が多いんです。でも、今回は「行けんの?」から行き切ったあとに<みんなでハピネス>、幸せになろうというところまで来ました。
秋本 めっちゃ吹っ切れていて。
坂本 そう。今まではギリギリのところで歌っていたのが、ちょっと余裕を見せられました。
秋本 全体的にハッピーで、歌っていて自己肯定感が高まります。今のシャチが超楽しいことが出ていて、ファンの方とライブで共有できるのが嬉しいです。
――<シャチっていったらライブだね ライブといったらシャチだよね>とも歌っていて。
大黒 それをデビュー当時から見てくれている浅野くんに歌詞にしてもらえたのが嬉しくて。私たちの絆があるからこそできたハッピーソングで、ライブで盛り上がるので大好きです。
和風の曲は上品で奥ゆかしい感じに
――先ほど出た和風お祭りソングの『縁爛』は、難易度が高かったわけですか。
大黒 歌詞も和で読み方が難しかったし、譜割りも歌ったことがない感じ。大変ではあったんですけど、新しいことに挑戦できて、このレコーディングも思い出に残っています。
――<可惜夜>とか<皎々>といった言葉があって。
咲良 知らない言葉で、読み方を細かく調べました。言葉づかいも現代っぽくなくて、ていねいな歌い方をしています。キー的にも声を張り上げるところはそんなになくて、上品さを意識しました。サビはにぎやかですけど、AメロやBメロはそこで盛り上げるために、控えめで奥ゆかしい感じにしています。
――それは菜緒さんの引き出しにあったもの?
大黒 もちろんですね。菜緒は奥ゆかしさ担当なので(笑)。
秋本 大和撫子ですから。
咲良 頑張りました(笑)。
大黒 お祭りの曲なので、レコーディングの合間もハッピーな感じを持続させるために、ハルと新大久保に行きました。韓国料理、大好きなので(笑)。
秋本 歌詞は難しかったけど、本間(昭光)さんに作っていただくのが『Rocket Queen(feat.MCU)』以来の2回目で、それぞれが光るキーも知ってくださっていて。歌いやすかったし、この曲のメンバーの声の色が私は好きです。本間さんと作詞のMIMiNARIさんでガヤも入れていただきました。
大黒 あと、私たちのチームのブラス民(ホーン隊)も参加してくれて。和なんだけどブラスが入っているのが新しいし、よりカッコ良くなりました。
咲良 にぎやかだよね。
原点回帰から夢に向かって進む旅にします
――他にも何かに挑戦した曲はありますか?
大黒 1曲目の『Voyage』は一番心して挑みました。Novelbrightさんの沖(聡次郎)さんが書いてくださった曲で、事前にみんなで大阪城ホールのライブを観に行って、パワーをいただいてからのお話だったんです。私たちはキーが高い曲が多いですけど、この曲はより高くて、さらに転調もしていて。それが旅の始まりの勢いに繋がっていると思います。
――確かにファルセットも入っていますが、皆さんがナチュラルに歌っていて、それほど高いようには感じませんでした。
咲良 そういうふうに聴いていただけたなら、嬉しいです。
坂本 苦しげに聞こえたら困りますから。私も仮歌を聴いた耳ざわりや鼻歌ではあまり高いと感じてなくて、行けるかなと思ったんです。レコーディング前のボイストレーニングで声を出したら、めちゃめちゃ高くてビックリしました。
秋本 いろいろなシャチを見せるアルバムの1曲目にピッタリで、「旅が始まる。みんなで一緒に行こう」という感じの歌詞が大好き。少年マンガ感があって刺さりました。
――海賊王になるマンガっぽいですね。
秋本 そうなんです。振りの最初がTEAM SHACHI海賊団の旗を表しています。そこも注目してほしい。
――皆さん自身も12周年を経て、さらに新しい世界へ船出する気持ちはありますか?
大黒 去年の夏の「シャチサマ」で「満員の日本武道館でまたライブをしたい」と決意表明をしました。ツアーも原点回帰みたいな形で、ライブハウスを回らせていただいてます。そういう意味では、私たちの中でも出発感はすごくあって。夢に向かってグイグイ進んでいく旅にしたいです。
咲良 航海の先に、夢見た未来があると信じています。
TEAM SHACHI(チームシャチ)
ももいろクローバーZ、私立恵比寿中学に続くスターダストプロモーションのアイドルグループとして、愛知県出身のメンバーで結成。2012年にチームしゃちほことして名古屋城で路上デビュー。2013年に『首都移転計画』でメジャーデビュー。2018年に改名。2022年にプライベートレーベル「ワクワクレコーズ」から、EP『舞いの頂点を極めし時、私達は如何なる困難をも打ち破る』をリリース。『TEAM SHACHIのF&Cミュージック』(FM AICHI)に出演中。
『笑う門には服着る』
2月14日発売
Mカード 3000円(税込)
3CD+Blu-ray 19800円(税込)*受注販売=予約終了