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『競輪グランプリ2022』はどうなる?北日本4車結束で気になるのは守澤太志か─。

近藤隆夫スポーツジャーナリスト
5月の「全プロ記念」で優勝した守澤太志(写真:公益財団法人JKA)

北日本勢の決意

一発勝負で優勝賞金1億円超!

最注目レース『KEIRIN(競輪)グランプリ2022(12月30日・平塚競輪場)』が目前に迫っている。今年は、いかなるドラマが生まれるのか?

12月20日には都内ホテルで『競輪グランプリ2022』共同記者会見&前夜祭が開かれ、出場全9選手がモニター出席。車番が公表された後、各選手がコメントを発し並びが確定した。

まず車番は、次のように決まった。

1.古性優作(大阪・100期/『全日本選抜』『高松宮記念杯』優勝、2年連続2度目)

2.郡司浩平(神奈川・99期/賞金ランキング4位、4年連続4度目)

3.新山響平(青森・107期/『競輪祭』優勝、初出場)

4.守澤太志(秋田・96期/賞金ランキング5位、3年連続3度目)

5.松浦悠士(広島・98期/賞金ランキング2位、4年連続4度目)

6.平原康多(埼玉・87期/賞金ランキング7位、10年連続13度目)

7.新田祐大(福島・90期/『寛仁親王牌』優勝、2年ぶり8度目)

8.佐藤慎太郎(福島・78期/賞金ランキング6位、4年連続8度目)

9.脇本雄太(福井・94期/『日本選手権』『オールスター』優勝、2年ぶり4度目)

最内枠には、昨年のグランプリ覇者・古性が入った。対して北日本勢は外枠となり、近畿ラインがスタートを取りやすくなったが脇本は前受けを好まない。果たして初手の並びはどうなるのか、予想が難しい。

また共同記者会見では、北日本勢の並びに注目が集まっていた。

今回のグランプリには北日本から、新田、新山、佐藤、守澤の4選手が出場する。

4車で結束するのか、それとも新田─佐藤、新山─守澤に分かれて闘うのか。4車結束となった場合、新山─新田の後ろ、3番手を佐藤がまわるのか守澤が入るのか。

4選手は話し合いの末に「4車結束」を決めた。

全員にチャンスがあるようにと2車、2車で闘うことを選ばなかったのは、何がなんでも「北日本からグランプリ王者を出す」との決意の表れだろう。そして3番手は、実績上位の佐藤ではなく守澤がまわることになったのである。

並びを整理すると、次のようになる。

新山─新田─守澤─佐藤<北日本ライン>

脇本─古性<近畿ライン>

平原<単騎>

松浦<単騎>

郡司<単騎>

昨年の『競輪グランプリ2021』では、4番車の古性優作が最後の直線で突っ込み初出場初優勝を果たした(写真:公益財団法人JKA)
昨年の『競輪グランプリ2021』では、4番車の古性優作が最後の直線で突っ込み初出場初優勝を果たした(写真:公益財団法人JKA)

3番手から猛然と突っ込む

さまざまな展開が予想できるが、4車ラインとなった新山の先行が濃厚。それも、「誰も出させない」との強い思いを胸に抱く捨て身の逃げだ。となれば、番手をまわる新田が本命視されそうだが、私が気になるのは3番手の守澤である。

「(3番手は)責任の重い位置だと思っている。(佐藤)慎太郎さんが『俺の前をまわれ』と言ってくれた。ここまでの調整は順調、あとはグランプリに向けて仕上げるだけ。自覚を持って走り、(4車結束の)アドバンテージを活かしたい」

守澤は、そう話した。

実績では佐藤が上とはいえ、現状の力では守澤が勝る。妥当な並びではないか。さらに、ここにきて調子を上げてきている点も見逃せない。

10月のG1『寛仁親王牌』で準優勝、11月G3『四日市記念』優勝、そして同月G1『競輪祭』でも決勝に進出し北日本の後輩である新山の優勝に貢献する走りで魅せている。

昨年の守澤は直前のG3『広島記念』に出走し落車、鎖骨を折り体調が整わないままグランプリを走り6着に終わった。

だが、今年は違う。

ここにきて、さらに調子を上げ、立て脚に磨きがかかっている。新山が逃げて番手捲りをする新田の後ろからゴール前の直線で突っ込む可能性は十分にある。

思い起こすのは11年前、同じ平塚競輪場での『競輪グランプリ2011』。当時は愛知の所属であった深谷知広(静岡・96期)が打鐘から豪快に逃げ、浅井康太(三重・90期)が番手から捲り3番手の山口幸二(岐阜・62期/引退)が猛然と突っ込んだレースだ。同じようなシーンが生まれるかもしれない。

守澤は、こうも言った。

「平塚に特に良いイメージはないですね。でも4番は、グランプリの優勝が連続している車番。縁起がいいと感じています」

そう、昨年Vの古性、一昨年Vの和田健太郎(千葉・87期)も水色ジャージだった。

フィジカルの充実だけでなくメンタルにおいてもポジティブな守澤に「好機到来」の予感あり─。

<『競輪グランプリ2022』独自予想>は近日中に綴る。

スポーツジャーナリスト

1967年1月26日生まれ、三重県松阪市出身。上智大学文学部在学中から『週刊ゴング』誌の記者となり、その後『ゴング格闘技』編集長を務める。タイ、インドなどアジア諸国を放浪、米国生活を経てスポーツジャーナリストに。プロスポーツから学校体育の現場まで幅広く取材・執筆活動を展開、テレビ、ラジオのコメンテーターも務める。『グレイシー一族の真実』(文藝春秋)、『プロレスが死んだ日。』(集英社インターナショナル)、『情熱のサイドスロー~小林繁物語~』(竹書房)、『柔道の父、体育の父  嘉納治五郎』(ともに汐文社)ほか著書多数。仕事のご依頼、お問い合わせは、takao2869@gmail.comまで。

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