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ヤンキースがトレード市場で買い漁る!? 外野手に続き、先発投手とリリーフ投手も獲得

宇根夏樹ベースボール・ライター
フランキー・モンタス Jun 5, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 8月1日、ニューヨーク・ヤンキースは、2件のトレードを行った。シカゴ・カブスから、リリーフ投手のスコット・エフロスを獲得し、オークランド・アスレティックスからは、先発投手のフランキー・モンタスとリリーフ投手のルー・トリビーノを手に入れた。それぞれの見返りとして、カブスにはマイナーリーガー1人、アスレティックスにはルーキー1人(トレードの時点ではAAA)とマイナーリーガー3人を差し出した。

 エフロスは、スライダーとシンカーを主要2球種とする、右のサイドアーマーだ。左打者に対しては、チェンジアップも多い。メジャーリーグ2年目の今シーズンは、44.0イニングを投げ、奪三振率10.23と与四球率2.25、防御率2.66とFIP2.19を記録している。

 モンタスは、「今夏のトレード市場を賑わせる「先発投手ビッグ3」。いずれも数ヵ月のレンタルではなく…」で書いたとおり、この夏の「人気銘柄」だった。今シーズンは、104.2イニングを投げ、奪三振率9.37と与四球率2.41、防御率3.18とFIP3.36。4シーム、スプリッター、シンカー、スライダーに、カッターも交える。

 トリビーノは、32.0イニングで防御率6.47ながら、FIPは3.84だ。防御率が異常に高いのは、BABIP.451が理由の一つだと思われる。昨シーズンは、73.2イニングを投げ、防御率3.18を記録した。今シーズンの奪三振率12.66と与四球率3.94は、どちらも昨シーズンよりいい数値だ。

 FAになるのは、モンタスが2023年のオフ、トリビーノが2024年のオフ、エフロスは2027年のオフだ。

 これらのトレードに先立ち、ヤンキースは、カンザスシティ・ロイヤルズから、外野手のアンドルー・ベニンテンディを獲得している。それについては、「ヤンキースがトレードを成立させ、これから対戦するチームの外野手を獲得する」で書いた。

 打線、ローテーション、ブルペンのいずれにも、補強を施したということだ。しかも、モンタスがトレードで獲得できるトップ・クラスの先発投手だったのと同じように、ベニンテンディも、パワー・ヒッター以外の野手のなかでは、ベストかそれに近かった。高い出塁率を記録していて、守備も優れる。

 ちなみに、ベニンテンディは、2020年までボストン・レッドソックスでプレーしていて、2017年の新人王投票では、現チームメイトのアーロン・ジャッジに次ぐ2位にランクインした。この年、ヤンキースで票を得たルーキーはジャッジだけでなく、6位のジョーダン・モンゴメリーもそう。モンタスとモンゴメリーは、ローテーションに並ぶ。

 ヤンキースの補強がこれで完了したのかどうかは、まだわからない。あと1人か2人、リリーフ投手を手に入れようとするのではないだろうか。

 ブルペンのメンバーのうち、マイケル・キングは右肘を痛め、7月下旬にシーズンを終えた。アロルディス・チャップマンは、防御率もFIPも5.00以上だ。また、チャップマンに代わってクローザーを務めているクレイ・ホームズは、防御率1.77とFIP2.55ながら、直近の7登板のなかには、イニングを終えられずに降板した試合が2度ある。

 ヤンキースは、過去5年ともポストシーズンに進んでいる。だが、ワールドシリーズ進出と優勝は、どちらも2009年が最後だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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