金与正の「汚物」がさらけ出してしまった北朝鮮の窮状
北朝鮮の金正恩総書記の妹、朝鮮労働党中央委員会の金与正(キム・ヨジョン)副部長は21日、談話を発表し、自国の国境付近に「またもや汚い紙くずと品物がばらまかれた」「国境付近の田と貯水池のほとり、果樹園で汚い品物が発見されたのである」などと指摘した。これは、韓国の脱北者団体が北朝鮮に向けて飛ばした、ビラ入りの風船を指すものと思われる。
また「確かにするなと言った事をまたもやしでかしたのだから、しなくてもいい仕事が生じるのは当たり前である」として、報復措置を取る意思を示した。
そして24日と25日の2日間、韓国で、連続して北朝鮮から飛来したと思われる汚物入りの風船が発見された。韓国軍当局によると風船の数は250個に達し、うち韓国に落下したものは100個だった。北朝鮮による一連の汚物風船攻撃はこれで6回に達した。
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仁川国際空港では、旅客機に接触する危険性があるとして、離着陸が3時間にわたって見合わされた。風船1個に入っている汚物の重さは10キロを超え、急降下すると危険だと軍当局は警戒を呼びかけた。
風船の中からは「北朝鮮の今」を示す様々なものが発見された。
統一省は24日、北朝鮮の飛ばした風船70個の中身を分析した結果を発表した。
中身は細かく切り刻まれた古紙、ビニール、ハギレなどで、ツギハギだらけの手袋や靴下、布2枚を縫い合わせて作ったTシャツなども見つかった。ミッキーマウス、くまのプーさんなどの絵が描かれた靴下や下着も発見された。
北朝鮮では人民班(町内会)、学校を通じて有給資材、つまりリサイクル用の古着、ボロキレなどを集める事業が頻繁に行われているが、風船に入っていたものもこのような形で集められたと考えられる。
ペットボトルも見つかったが、ラベルはすべて剥がされていた。これについて統一省は「商品情報の露出を防ごうとする痕跡と見られる」と分析した。
さらに、回虫、鞭虫、糞線虫などの寄生虫も発見された。
北朝鮮では化学肥料の生産、輸入が需要を満たせていないことから、毎年1月に「堆肥戦闘」と称して、人糞を集め、肥料代わりの堆肥を生産するキャンペーンを大々的に行う。それを使って栽培した野菜を食べる北朝鮮国民は、多くが寄生虫に感染していると言われているが、風船の中身はそんな北朝鮮の食糧事情の現状を示したものと言えよう。
北朝鮮は、本来なら外部に知られたくないはずの自国の窮状を、わざわざ風船に込めて全世界に知らしめている形だが、もはや開き直り、韓国に対する嫌がらせを続けているのだろう。