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「虎に翼」に「ブギウギ」の茨田りつ子(菊地凛子)登場。史実では愛の裁判所PR計画に協力した人物は

木俣冬フリーライター/インタビュアー/ノベライズ職人
「虎に翼」に出演する茨田りつ子(菊地凛子) 写真提供:NHK

「虎に翼」「ブギウギ」「花子とアン」がつながっている

これぞ朝ドラユニバース。朝ドラこと連続テレビ小説「虎に翼 」(NHK) の第 64 回に、朝ドラ前作「ブギウギ」の登場人物・茨田りつ子(菊地凛子)が登場した。

茨田は、「東京ブギウギ」の福来スズ子と並ぶ人気歌手。家庭裁判所を広報するために、寅子(伊藤沙莉)と多岐川(滝藤賢一)が準備している「愛のコンサート」に、久藤(沢村一樹)の紹介で出演することになった。その流れで、家庭裁判所のポスターモデルにもなる。

「ブギウギ」と「虎に翼」サプライズコラボの実現の経緯を、制作統括の尾崎裕和チーフプロデューサーはこう語る。

『虎に翼』に茨田りつ子が登場です!
初回で寅子が梅丸少女歌劇団に入りたいと願った時から気づいていた方もいらっしゃったかと思いますが、『虎に翼』と『ブギウギ』は同じ時代、そして世界を描いています。今回、茨田りつ子役の菊地凛子さんにご出演いただき、その登場シーンの脚本は足立紳さんにご協力いただき、ついに『ブギウギ』と『虎に翼』のコラボが実現しました。果たして愛のコンサートはどうなるのか? 明日の放送をぜひご覧ください!

茨田りつ子は第65回 にも続いて登場するという。愛のコンサートで歌声を聞かせてくれるのだろうか。曲はやっぱり「ブギウギ」でおなじみの「別れのブルース」だろうか。

菊地凛子さんはこのようにコメントを寄せた。

みなさん、お忘れではないでしょうか? 茨田りつ子でございます。
ひさしぶりに“朝ドラ”の舞台に戻ってまいりました。『ブギウギ』から『虎に翼』、別の作品ですが、同じ時代、しかも同じ役を再び演じられるのは本当にうれしく、役者冥利に尽きます。
趣里ちゃん演じるスズ子とはまた違う「強さ」をもっている寅子。そんな彼女を演じる伊藤さんは、強さとしなやかさ、かわいさ、たくさんの魅力を兼ね備えていて、朝ドラ の主人公を演じる方はやはり素敵だなと、改めて感じました。

史実で、家庭裁判所のポスター、チャリティ興行、ラジオに関わったのは

史実では、家庭裁判所のポスターのモデルは初代・水谷八重子である。

「虎に翼」の取材を担当している清永聡の著書「家庭裁判所物語」を読むと、殿様判事こと久藤(沢村一樹)のモデルであろうと思われる内藤頼博がコネを生かして依頼したものとある。このエピソードを、茨田りつ子にアレンジしてドラマにしたようだ。

順番としては、ポスター制作のあと、ラジオでさらに裁判所のアピールを強化している。そのラジオのパーソナリティは誰あろう「赤毛のアン」の翻訳者・村岡花子。つまり、朝ドラ「花子とアン」(14年度前期)のヒロイン(吉高由里子)のモデルであった。

また、多岐川のモデルであろうと思われる宇田川潤四郎は、京都少年審判所に勤務していた時代、日本初のBBS 運動(若者たちが少年の相談にのるボランティア活動)の資金作りのために、主として京都の劇場でチャリティの免税興行を行っていた。そこにはスター・二葉百合子や轟夕起子、中村メイコなどが出演し、巨額の資金を集めることに成功した(参考:「家庭裁判所物語」)。

多岐川と寅子が出演したラジオの場面で花子まで登場したら、朝ドラユニバースも極まったことだろう。そこまでの実現はしなかったが、同時代に、朝ドラヒロインたちがそれぞれの思いを胸に懸命に生きていたと思うと胸が熱くなる。

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連続テレビ小説 「虎に翼」(NHK)
毎週月~土曜 午前8時00分(総合) ※土曜は一週間を振り返ります
毎週月~金曜 午前7時30分(BS・BSプレミアム4K)
【作】 吉田恵里香
【出演】伊藤沙莉 ほか

フリーライター/インタビュアー/ノベライズ職人

角川書店(現KADOKAWA)で書籍編集、TBSドラマのウェブディレクター、映画や演劇のパンフレット編集などの経験を生かし、ドラマ、映画、演劇、アニメ、漫画など文化、芸術、娯楽に関する原稿、ノベライズなどを手がける。日本ペンクラブ会員。 著書『ネットと朝ドラ』『みんなの朝ドラ』『ケイゾク、SPEC、カイドク』『挑戦者たち トップアクターズ・ルポルタージュ』、ノベライズ『連続テレビ小説 なつぞら』『小説嵐電』『ちょっと思い出しただけ』『大河ドラマ どうする家康』ほか、『堤幸彦  堤っ』『庵野秀明のフタリシバイ』『蜷川幸雄 身体的物語論』の企画構成、『宮村優子 アスカライソジ」構成などがある

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