ペップとシメオネ。シティの「5エリアの攻略」とアトレティコの「5バック」の衝突。
今季のチャンピオンズリーグ準々決勝で、最も注目されているカードかもしれない。
マンチェスター・シティとアトレティコ・マドリー。ペップ・グアルディオラ監督とディエゴ・シメオネ監督が率いる2チームの対戦は、多くの意味合いでフットボールファンの興味を引き付けている。
(全2206文字)
■今季のアトレティコの戦いぶり
アトレティコの積極的な補強は、成功すると思われていた。
アトレティコは今夏、ロドリゴ・デ・パウル、マテウス・クーニャ、アントワーヌ・グリーズマンらを獲得。各ポジションに2選手を揃える陣容で、ディエゴ・シメオネ監督は新たなシーズンを迎えた。
昨季、リーガエスパニョーラを制したチームだ。【3−1−4−2】のシステムで、コケをアンカーに、インサイドハーフにマルコス・ジョレンテを据えるなど、シメオネ監督のスタイルにも変化が訪れていた。
だが今季のアトレティコは「どっちつかず」になっていた。【4−4−2】と【3−1−4−2】の2つのシステムの狭間で、シメオネ監督は揺れていた。
決戦となったチャンピオンズリーグ決勝トーナメント一回戦ファーストレグ、マンチェスター ・ユナイテッド戦で、指揮官は腹を括った。【4−4−2】のシステム。それだけではなく、ルイス・スアレス、デ・パウル、トマ・レマル、グリーズマンといった選手をベンチスタートにした。
左サイドには、ヘイニウド・モンドバとレナン・ロディが並んだ。ドブレ・ラテラル(ダブルサイドバック)である。
(アトレティコのダブルサイドバック)
シメオネ監督の目的は、対戦相手を「引っ張る」ことだった。ロディとジョレンテが高い位置を取り、攻撃時にはアンヘル・コレアやジョアン・フェリックスが前線で走った。
ただ、欲を言えば、【3−5−2】の形を可変で採りたかった。
ヘイニウド、ホセ・ヒメネス、ステファン・サビッチで3バックを形成して、シメ・ヴルサリコを上げ、ジョレンテをトップ下に移動させる。
試合中にこれができれば、ユナイテッドをより慌てさせられただろう。ユナイテッドの左SB(ショー)は攻撃型で、そこにジョレンテとヴルサリコがポジションを変えながらスペースを突いていったら、かなり対応は後手になっていたはずである。
この記事は有料です。
誰かに話したくなるサッカー戦術分析のバックナンバーをお申し込みください。
誰かに話したくなるサッカー戦術分析のバックナンバー 2022年4月
税込550円(記事9本)
2022年4月号の有料記事一覧
※すでに購入済みの方はログインしてください。