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政策形成をDX化する…リキタスCEO栗本拓幸さんの挑戦(下)

鈴木崇弘政策研究者、PHP総研特任フェロー
DX化は新しい社会づくりでもある。(提供:イメージマート)

「政策形成をDX化する…リキタスCEO栗本拓幸さんの挑戦(上)」から続く…

自治体のDX化の動きや方向性について

鈴木(以下、S):現在の会社Liquitousは、すでに伺ったことにも関連しますが、そこで開発した仕組みが、最近では全国の自治体でも取り入れられ、そのトライアルや実践が始まっています。栗本さんは、そのような動き、方向性についてどのように考えたり、感じたりされていますか。

栗本拓幸さん(以下、栗本さん):率直に申し上げれば、多くの方々にご注目いただいていて、ありがたい限りです。私たちLiquitousは、取り組みを行うパートナーとして自治体さんを念頭に置いています。アプローチを本格的に始めてから、まだ1年しか経過していませんが、多くの自治体さんで取り組みが進んでいますし、お声がけをいただく機会も当初の想定以上にあります。

 とはいえ、現時点でご一緒させていただいている自治体の皆さんは、いわば「ファーストペンギン」(注1)として、さまざまなご調整を庁内でいただいたと伺っており、心から感謝しています。世の中の全体の流れは、行政デジタル化・DXを後押ししているとはいえ、現時点では、RPA(注2)による業務プロセス改革など、庁内のデジタル化・DXが中心です。このタイミングから、ぜひ一緒にやりたいとお話を進めさせていただいていますので、とても嬉しい限りです。

 また、大きな流れという意味でも、弊社にとって、追い風になりつつあります。今の岸田政権が進める「デジタル田園都市国家構想」基本方針では、「政策に対して意見表明できるオンラインプラットフォームの推進」という一文が明記されています。同時に、国政野党系の議員立法の法案にも、アジャイル(注3)型政策形成とICT活用等による市民参画が明記されるなど、与野党を問わず、ルールメイキング(立法)の世界での理解も進みつつあります。

 それは、法案等への明記を目的に、弊社単独でも、いわゆるパブリックアフェアーズに取り組んでいますが、同様の事業を進める他社さんとも、例えば合同でイベントを開催したり、ノウハウを共有したりしているのですが、それらの活動の成果とも言えるかもしれません。

 そして一般的に、このシステムの導入・利活用に関して、地方議会との役割分担にご懸念を示される方々もいらっしゃいます。ただ、弊社は明確に、議会・議員の皆さんにとっても有用なものだと考えています。私たちのツールが地域に根付いていけば、いわば「地方自治で、二元代表(注4)が共有する言葉をつくる」ことができます。現に、この価値にお気づきになって、こうしたツール導入をポジティブに捉えていらっしゃる地方議会議員さんは多くいらっしゃいますし、実際に議会の代表質問・一般質問等でも、前向きな質疑と答弁がなされているケースがあります。

海外の動きと日本国内における動きについて

S:なるほど、日本国内でも次第に、デジタルを活用して、広い意味で住民が政策形成にかかわる方向に動いているようですね。では、海外での動きや試みはいかがですか。確か、スペインのバルセロナや台湾でも動きがあるようですね。そのような海外の動きと日本国内における動きの関連性などについても、もしご存じなら教えてください。

栗本さん:日本国内では、スペイン・バルセロナの参加型合意形成プラットフォーム「Decidim」が注目されています。Decidimを基盤に実施されている、フィンランド・ヘルシンキの住民型予算編成プラットフォーム「Omastadi」も注目度が上がっています。なお、Decidimは、全世界で300以上の都市・団体で用いられているとされています。

 それ以外にも、台湾にはPol.isというサービスをもとに構築された「vTaiwan」(注5)という合意形成プラットフォームや、「Join」という陳情プラットフォームが存在しています。電子政府で知られるエストニアでは、「VOLIS」というシステムを用いて、地方自治体ごとに、住民参加型予算編成やデジタル陳情を実施しています。

 国外のベンチャー企業の取り組みとしては、ベルギーのCitizenLab社、イスラエルのRaizit社、アルゼンチンのDemocracyOS社をはじめ、いくつかの企業が同様のプラットフォームを開発しています。

海外の先進事例当事者とのディスカッションの様子。右は栗本さん。写真:「株式会社Liquitous(リキタス)」提供。以下同様。
海外の先進事例当事者とのディスカッションの様子。右は栗本さん。写真:「株式会社Liquitous(リキタス)」提供。以下同様。

 アカデミアでも動きがあります。EUが実施する研究イニシアティブ「Horizon2020」は、2016年に、ハイデルベルク大学やロンドン大学、トリノ大学といった研究機関、イタリア・トリノ市、イタリア・サンドナディピアーヴェ市、英国ロンドン・サザーク特別区といった自治体、そしてIT企業が共同で運営する「WeGovNow」プロジェクトを採択しました。  

 WeGovNowプロジェクトは、これからの「まち」のエコシステムとなるプラットフォームを構築しようとするものであり、これに「LiquidFeedback」というソフトウェアが組み込まれています。

 なお、LiquidFeedbackは、ドイツのInteraktive Demokratie(インタラクティブ民主主義協会)が開発したもので、液体民主主義(説明は後述)の発想に基づいた意思決定ソフトウェアです。

 また、”Radical Market”を共同執筆し、クアドラティック投票を提唱した、マイクロソフト・リサーチの研究員 Glen Weylとかかわりの深いイニシアティブである「Radical Exchange(RxC)」は、Pol.isを基盤に「RxC VOICE」というプラットフォームを開発しています。

 日本国内では、’90年代後半に、神奈川県藤沢市の「電子市民会議室」を皮切りに、電子市民会議室の取り組みが700自治体以上に広がりました。しかし、電子市民会議室は2000年代前半にはすでに全体的には収束してしまったと認識しています。

 直近のデジタル×市民参加の流れは、日本国内におけるスマートシティに関する取り組みが進む中で、まずは海外の先行事例としてDecidimがツールの1つとして認知され、コロナ禍直前に国内に「輸入」されたものと認識しています。

 そして前述の通り、コロナ禍で行政デジタル化・DXの必要性が社会的な共通認識として普及し、各自治体も(以前にも増して)取り組まざるを得なくなった結果、その具体的メニューの1つとして、取り組まれるようになってきていると認識しています。

 そして、株式会社自動処理が開発する意見募集プラットフォームである「アイデアボックス」は、2010年に、経済産業省からの受託事業として開始され、今ではデジタル庁や千葉市、横浜市などに採用されています。また、2008年ごろから、ハンマーバード社の国民・市民が社会課題のデータやファクトなどの知見を「知り、学び、考え、意思表示し、共有」すると共に、議員・政治家とも意思を照らし合わすということを継続的に行う仕組みである「ポリネコ(Political Needs Coordinationの頭文字からPoliNeCo/ポリネコの造語)」も活動を開始し、2017年には栃木県塩谷町で取り組みを実施しています。

 さらにまた、日本国内のPoliTech(注6)領域を代表するベンチャーであるPoliPoli社も、現在は行政と国民が共に政策を共創することができるプラットフォームである「PoliPoli Gov」を行政向けに提供し、群馬県や宮城県で取り組みを実施しています。直近では、Mond社も、島根県松江市で実証を実施していますし、Groove Designs社も地域で活動する人々のアクションと共創を支援する、コミュニティエンゲージメント・プラットフォーム「my groove」を開発し、長野県小諸市や神奈川県真鶴町で取り組みを実施しています。

 なお、前述の海外企業についても、個別に国内自治体に認知されたり、逆に個別に国内自治体にアプローチしたりしているケースがあるので、国内での海外ツール認知・流入の経路も必ずしも1つではありません。

 いずれにせよ、海外から輸入されたもの、国内発のものを問わず、日本国内にもいくつかの企業・団体が存在していて、その中で弊社も切磋琢磨させていただいているという状況です。

液体民主主義や民主主義のDX化について

S:それらは、広い意味での「デジタル民主主義」(注7)の流れであると思います。栗本さんも、その方向に社会を進展させている、キーパーソンの一人だと思います。特に若い世代の中では。その「デジタル民主主義」の流れの中で、栗本さんは「液体民主主義(liquid democracy)」という言葉を力説されています。その言葉は、御社の名称(Liquitous)にも関連しているかと思いますが、いまだ人口に膾炙されておらず、一般的にはわかりづらい言葉かと思います。一般の方々にもわかりやすくご説明願いませんか。できるだけ具体例を入れて、説明願います。

栗本さん:おっしゃる通り、私自身が会社を立ち上げた当時は「液体民主主義」に注目していました。液体民主主義は、特にオンライン上での個人情報・権利の保護に重点を置いた政策を標榜していた海賊党(Pirate Party)が、党内ガバナンスのシステムとして実験的に開始した試みでした。

 海賊党はいくつかの国に存在し、いずれの国に存在する海賊党かによって、細かい部分は異なります。大まかには「オンライン上のプラットフォームを利用して、誰しもが問題提起者となり、オンライン上で施策を提案し、他の参加者からの修正を経て最終的にオンライン上で投票を行うことができる。投票を行う際には、投票人が、信頼する者を代理人(delegate)とすることで自身の投票権の委任ができる」システムが、液体民主主義として呼称されていると理解されています。

 このシステム自体は、非常に興味深いものです。前述の通り、Interaktive Demokratieがこの発想に基づいて開発した、LiquidFeedbackは、EU「Horizon2020」に採択されたWeGovNowプロジェクトにも採用されました。また、ドイツ連邦議会のワーキンググループでも、液体民主主義の発想に基づいた取り組みがなされていました。

 本来、このシステムと、海賊党の政治思想は明確に切り分けて考える必要があります。ただ、現実には「液体民主主義≒海賊党」と認識されてしまうケースは少なくありませんでした。当然、私たちは、このシステム自体の有用性を認識こそしているものの、特定の政治思想・政策を支持していませんので、そのことは1つの大きな課題でした。

 加えて、すでに2010年代中盤から後半にかけての液体民主主義に関するさまざまな試みから学ぶこともできます。

 以上のような背景や知見・経験も踏まえてですが、私たちは直近では、参加型民主主義(注8)、熟議民主主義(注9)、およびそれらに対する批判、そして2010年代後半から現在に至るまでのさまざまな試みまで包摂した、今の代表制民主主義を「補完する」システムの社会実装を表現する用語として、直近では「民主主義のDX」という言葉を打ち出しています。

民主主義や政治および政策づくりのDXの今後の展望等について

S:わかりました。わかりやすくご説明いただきありがとうございます。では、その「民主主義のDX」や「政治や政策づくりのDX」における今後の見通しや展望、今後の可能性についても、栗本さんの見解や考え方を教えてください。

栗本さん:これから未来に向けて、少しずつ「民主主義のDX」、つまり「政策づくりのDX」が社会に実装されていく過程にあると考えています。海外のみならず、国内でもさまざまな取り組みの萌芽がすでにあります。「民主主義のDX」は、もはや小説や論文の世界の中だけのものではなく、社会に実装されていく過程にあるのです。

 そもそも、自治体におけるデジタルツールの活用は、もはやその是非や有無ではなく、どのように活用するかという方法論が問われる段階になってきています。各自治体で、業務の効率性を高め、同時に市民が参画できる民主主義の根幹にもかかわる冗長性や・代替性を確保しつつも、結果として可能な限り最適に資源を配分できるようにするために、行政デジタル化・DXは必須になってきているのです。

「Liqlid」の画面イメージ。
「Liqlid」の画面イメージ。

 その上で、さまざまな公共政策を進める点において、これまで今以上に理念ベースではなく実態を伴った意味でも、「誰一人取り残されない」ということが、今後より大切になっていくと考えられます。そしてまた、目の前に立ち現れている多様な価値観や思いをできる限り取り残さないためには、民主主義のDXは必須ですし、その際に私たちLiquitousの市民参加型合意形成プラットフォーム「Liqlid」のようなツールは必要不可欠になっていくでしょう。

 例えば、若年層の世代の皆さんの声が取り残されないことは大切です。私たちがご一緒している自治体の中には、人口の高齢化率が50%弱あり、まちの持続可能性の観点から、積極的に若い皆さんの声を集め、対話したいという思いで、私たちのプラットフォームを活用しようとしている自治体もあります。

 「デジタル」というと、年齢によるデジタルデバイド(注10)が避けることのできない大きな所与の問題と認識されることが多いかと思います。その場合、極端な強い言葉を使えば、ご高齢の方々を対象者から自動的に「排除」して考えるようなケースも少なくありません。

 しかしながら、その実態は、決して好ましくない状態や問題・課題だけではないのではないでしょうか。現に、弊社の取り組みでも、例えば高知県日高村や大阪府河内長野市では、60代以上の皆さんに活発に私たちのプラットフォームを積極的に活用いただいています。利用されている皆さんからは、「自分の頭の中にあることを、見えるかたちで発信できるのが嬉しい」というお言葉などを寄せていただいています。

年長者が「Liqlid」を実際に活用している様子。
年長者が「Liqlid」を実際に活用している様子。

 私たちのプラットフォームも含めて、デジタルツールだから、特定の世代や属性が取り残されても良いよね、と強く打ち出してしまうと、アナログな既存の仕組みは、デジタルの仕組みに対抗あるいは極端ないい方をすると敵対的なものとなってしまいます。そのようにして、もしそれらの間で競合してしまったり、相互に潰しあったり相殺しあったりしてしまうとすれば、デジタル・アナログの仕組み双方共に、公共的なものであるにもかかわらず、それらの排除性が改善されず、双方の良さが活かされなくなってしまう恐れすらあります。

 あるいは、特定の世代や属性を排除するのであれば、公共的なものとして、デジタルの仕組みは不適当だと判断され、実装が先送りにされてしまうようなことも起きうるでしょう。これでは、本末転倒であるといわざるを得ません。

 一見矛盾するようですが、民主主義のDXの本来のあるべき姿は、小説や映画などに出てくるような、デジタルで全て代替することを意味するものではなく、デジタルとアナログの適切な融合の状態だと認識しています。

 そして民主主義のDXが進めば、すでにある代議制民主主義(間接民主主義)を補完することができるシステムが生まれてくると考えています。それは、民主主義が発展する過程で成立した、多数決原則による代議制という仕組みを軸としつつも、代議制を補完する、数だけではない仕組みであると考えています。

 私たちLiquitousは、このシステムの社会実装をまずは各地の自治体で実現し、地方自治の本旨を現代的に追求することで、「一人ひとりの影響力を発揮できる社会」を目指していきたいと考えているのです。

栗本さんから同世代等へのメッセージについて

S:本日は、いろいろな意見や知見を伺えて、私も大変勉強になりました。最後の質問になりますが、若い世代として、栗本さんが社会そして同世代あるいはより若い世代に伝えたいことやメッセージをお願いします。

栗本さん:私は、きれいなモノやコトを素朴に「きれいだね」と共感できる人間でありたいと考えています。同時に、「〜であるべき」「〜がXX」と喝破するだけではなく、この国や社会をより良くするために、目指すべき頂を見据え、登り方を考え、実際に手足を動かし続けていきたいと思います。

 もしかしたら、「日本は課題先進国」といった言説を耳にするだけで、多くの方々、特に私たちと同じ若い世代は、鬱屈とした気分になるかもしれません。将来世代というだけで、一方的に問題解決を期待されて、しんどいかもしれません。何か一歩を踏み出したとしても、さまざまな慣行や偏見が立ちはだかるかもしれません。

 ただ放置したり、諦めたりしたら、状況は悪化の一途を辿るだけです。私たちの世代が、前に進んで、さまざまなトライアルを積み重ねてみる。そのことこそが、この国や社会を取り巻く現状をより良くするためにできる唯一の方策です。そして、せっかく前に進むならば、(歯を食いしばってでも)ポジティブでありたいと思います。私は、そうやって、これからも頑張っていくつもりです!

S:若い世代の栗本さんから前向きな言葉をいただき、私もまだまだ頑張り、次の世代のために、この社会を少しでもよいものにしていかなければならないと、再認識しました。本日は、ありがとうございました。

(注1)ファーストペンギンとは、「ベンチャー精神を持って行動する個人や企業を、尊敬を込めて呼ぶ言葉です。ペンギンは常に集団で行動しますが、群れを統率するリーダーやボスはいません。よくテレビなどで、氷上をペンギンたちが隊列を組んで移動する姿が映されますが、なぜあのような行動がとれるのかというと、最初に行動を起こした1羽に皆が従う習性があるからです。」(出典:「ファーストペンギン」(人事ポータルサイト「HRpro」)から引用)

(注2)RPAとは、「『Robotic Process Automation/ロボティック・プロセス・オートメーション』の略語で、ホワイトカラーのデスクワーク(主に定型作業)を、パソコンの中にあるソフトウェア型のロボットが代行・自動化する概念です。」(出典:「RPAとは?基本から導入の進め方までまとめて解説」(WinActor/WinDirector、2018年10月3日)の一部引用)

(注3)アジャイル(agile)とは、「柔軟で効率的なシステム開発によって、迅速なシステム提供を目ざすというソフトウェア開発手法の総称。アジャイル開発、アジャイル開発プロセスともいう。アジャイルは英語で、『素早い・機敏な・(頭の回転が)速い』などの意味をもつ。ソフトウェア開発の課題であった、開発期間の短縮化や低コスト化、柔軟で迅速な対応などを実現するための取り組みで、プログラマーなどの開発サイドから提唱された手法である。…(中略)…途中経過の成果を早い段階から継続的に顧客に引き渡すことで、開発途中での確認や仕様変更などに対応する。また、仕様書だけに頼るのではなく、顧客や開発チーム内でのコミュニケーションを重視することを原則としている。アジャイルは、計画重視のウォーターフォール型開発など、従来の柔軟性の低い開発プロセスにかわるものとして注目を集めている。」(出典:日本大百科全書(ニッポニカ)(小学館))

(注4)二元代表制とは、「立法府を構成する議員と、行政の長をそれぞれ住民の直接選挙で選ぶ制度で、『議院内閣制』とは対照的な概念。二元代表制では、議員は法律や予算などを審議・決定する権限をもつが、その執行は行政の長が責任をもつため、立法権と行政権の分離を徹底できる利点がある。日本では憲法93条で、地方自治体の首長と地方議員を住民が直接選挙で選ぶ二元代表制をとるよう定めている。一方、国政では直接選挙で選んだ議員で構成される議会が首相を指名し、その首相が内閣を組織する『議院内閣制』をとっている。…(以下、略)…」(出典:日本大百科全書(ニッポニカ)(小学館))

(注5)vTaiwanは、シビックテックのコミュニティであるg0v(Gov Zero、台湾版Code for Japan)が構築・運営する合意形成プラットフォームである。

(注6)PoliTechとは、「Politics(政治)とTechnology(技術)を組み合わせた造語で、テクノロジーを活用して政治の変革を目指す取り組みを指します。具体的には、政治家によるインターネットやSNSを利用した選挙運動、市民によるインターネットを利用した署名活動、政治に関する情報の収集と発信などが挙げられます。PoliTechが盛んなアメリカ合衆国では、インターネット広告やFacebookなどのSNSが選挙運動に積極的に採り入れられているほか、政治に関する情報の配信や議員に意見を伝える仕組みを提供するモバイルアプリなどが急速に広まっています。日本ではインターネットを使った選挙運動が2013年に解禁され、WebサイトやSNS、動画共有サービスなどを用いた選挙運動が可能になりました。」(出典:「PoliTech(ポリテック)とは」(ICT Business Online))

(注7)「デジタル民主主義」については、次の情報等を参考にしてください。

「【動画あり】デジタル民主主義って何?電子投票、高齢者スマホ教室…市民主体の新しい政治や政策の仕組みを考える」東京新聞 2021年11月18日

「デジタル民主主義…今こそ、新しい政治制度の構築を!」鈴木崇弘、Yahoo!ニュース、2021年9月10日

「デジタル民主主義(No.1525)」東京新聞 2021年9月3日

(注8)参加民主主義とは、次のようなものである。「従来の民主主義は代表(間接)民主主義であり、市民は選挙で代表者を選んだ後は、政治に直接関わることはできなかった。日本では地方自治体レベルで、首長の解任や議会の解散、条例の制定改廃について、直接請求が例外的に認められているに過ぎない。選挙の際の政党や候補者の公約が曖昧で、選ばれた後に公約を無視することが当たり前になると、市民の側は無力感に陥る。行政運営や政策の中身をチェックするというよりも、政治は代表者に任せ、住民は行政サービスを受け取りさえすればよいというお任せ民主主義の風潮も広がった。近年、行政の無駄を省き、社会の需要を的確に政策形成に反映させるには、市民の直接的な参加による参加民主主義を進める必要があるという認識が行政、市民の双方に高まっている。具体的には、政策形成過程において市民の発言の機会を確保するためのワークショップ、自由参加の審議会などが工夫されている。情報公開が定着し、政策の問題点が見えやすくなったことも、参加を促す要因となっている。」(山口二郎・北海道大学教授/2007年)」(出典:「知恵蔵」((株)朝日新聞出版発行))

 また直接民主主義(直接民主制)とは、「国民が直接に署名・投票行動などを通じて政治に参加し、国政・地方政治のレベルにおいてその意志を表明し立法や政策に関して決定できる制度。議会や代表を通じて立法や政策を決定する間接民主制、代表民主制、代議制に対する語。」[田中浩](出典:「直接民主制」日本大百科全書(ニッポニカ)(小学館))

(注9)熟議民主主義とは、「多数による横暴」に陥りかねない民主主義のあり方と対比され、他者の意見に耳を傾けながら自らの立場を修正しようとする態度を有しながら議論することを意味する「熟議」を重んじる民主主義の形態を意味している。

(注10)デジタルデバイド(digital divide)とは、「コンピューターやインターネットなどを使いこなせる立場と使いこなせない立場の間に生じる、雇用の機会や収入をはじめとするさまざまな格差。個人間の格差から地域・国家間における格差までを含む。◇「情報格差」ともいう。」(出典:IT用語がわかる辞典(講談社))

インタビュー対象者の略歴:

栗本 拓幸(くりもと・ひろゆき) 株式会社Liquitous(リキタス)最高経営責任者(CEO)

栗本拓幸さん 写真:本人提供。
栗本拓幸さん 写真:本人提供。

 1999年生まれ。市民の社会参加/政治参加にかかる一般社団法人やNPO法人の理事、地方議員コンサルタントなどとして活動。現場の声や自らの経験をもとに、デジタル空間上に、市民と行政をつなぐ「新しい回路」の必要性を確信し、2020年2月にLiquitousを設立。現在は、大阪府河内長野市・千葉県木更津市・高知県日高村などと連携協定を締結しながら、日本全国の20弱の自治体と取り組みを進める。慶應義塾大学総合政策学部休学中。

政策研究者、PHP総研特任フェロー

東京大学法学部卒。マラヤ大学、米国EWC奨学生として同センター・ハワイ大学大学院等留学。日本財団等を経て東京財団設立参画し同研究事業部長、大阪大学特任教授・阪大FRC副機構長、自民党系「シンクタンク2005・日本」設立参画し同理事・事務局長、米アーバン・インスティテュート兼任研究員、中央大学客員教授、国会事故調情報統括、厚生労働省総合政策参与、城西国際大学大学院研究科長・教授、沖縄科学技術大学院大学(OIST)客員研究員等を経て現職。経済安全保障経営センター研究主幹等兼任。大阪駅北地区国際コンセプトコンペ優秀賞受賞。著書やメディア出演多数。最新著は『沖縄科学技術大学院大学は東大を超えたのか』

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