愛子さまや佳子さまも関わる喫緊の課題 女性皇族の将来に変化はあるのか?
共同通信が先月27日、天皇の即位5年を前に、皇室に関する全国郵送世論調査を行った結果によると、女性天皇容認は計90%にのぼり、国民の間では、愛子さまを念頭においた女性天皇の誕生を願う声がより高まってきている。
そんな中、5月17日には皇室の将来の在り方を議論するため、衆参両院の正副議長主催による、「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議に基づく政府における検討結果の報告を受けた立法府の対応に関する全体会議」が、13の政党・会派の代表者らを集めて行われた。
一読しただけでは何の会議なのか理解しづらいが、要するに、安定的な皇位継承を確保するために、「女性皇族が結婚後も皇室に残る案」及び「旧宮家(旧皇族)の男系男子を養子に迎える案」について、制度として可能かどうか具体的に論じようと設けられたのである。
すでに令和3年12月に、上記2つの案を検討すべしと、有識者会議を経て政府に報告されていたが、あれから一歩も前に進んでいなかった。
実はそこには、解決しなければならない高いハードルが、いくつも潜んでいるのだ。
◆結婚後も女性皇族としての地位を維持する案
皇室の方々は、連日のように公務や宮中祭祀に携わり、実に多忙な日々を過ごされている。天皇皇后両陛下、秋篠宮ご夫妻以外に、今、それらを担っているのが、独身の女性皇族方である。しかし、女性皇族は結婚すれば皇室から出て一般人となる定めだ。
このまま女性皇族方が結婚して外に出られれば、悠仁さまの世代になった時に、公務を十分に担うだけの皇族方がいなくなるのではないかという危惧が生じている。
そこでひねり出されたのが、独身の女性皇族方が結婚後も皇族の身分を保持してはどうかという案である。この制度が実現すれば、天皇皇后両陛下の負担を減らし、公務も十分に担えるはずだ。
しかし、クリアされなければならない問題もある。
まず夫となった男性は、皇族という身分ではないので、今までの職場で仕事をすることになるが、妻が皇族であることによる、私企業への便宜などがはかられる可能性が出てくるのではないか。
そして皇族方の住まいは、ほとんどが赤坂御用地内。結婚すれば一般の住宅地、あるいはマンションに暮らすことになるが、安全確保はどうするのか。夫は税金を払っているのに、妻は無税となるのか。夫の苗字を名乗ることができるのか。
さらにお二人の間に生まれた子供が、一般人のままでいれば、結局、皇族数の確保につながらないのではないか……などなど、些末ではあるが数えきれないほど、事前に決めなければならないことがあり、それらは必ずしも整合性を持つとは限らない。
もちろん、結婚後も皇室に残りたいのかどうか、女性皇族方の意思も十分に尊重されなければならず、強制することはできない。結婚して皇室を出たいと望まれているという佳子さまは、こうした制度に果たして賛成するだろうか。
◆旧宮家の男系の男子を皇族とする案
昭和22年(1947年)10月。当時、日本を占領していたGHQは、昭和天皇の弟宮である秩父宮家、高松宮家、三笠宮家の3宮家を除いた11宮家を「歳費の負担が困難」との理由で皇族から排除し、臣籍降下(一般人となること)を命じた。
それが今、皇室の将来にわたる存続のため、この旧11宮家の男系男子を養子として迎え入れたらどうかとの提案がなされているのだ。
今や三笠宮家や高円宮家は女性方しかおらず、いずれ存続の危機に陥ってしまう。とすれば、皇室と縁戚関係にある旧宮家の方が、現宮家の養子となって、将来も存続できるようにすることも有り得るのかもしれない。
ただ旧宮家の方々は、戦後から現在までずっと一般人として過ごし、自ら培ってきた社会的な地位や立場、家族との関係もあり、養子を提案されたとしても、おいそれと受け入れられない事情もあるはずだ。
また国民には馴染みのない方が、ある日突然「皇族になりました」と報道されたとしても、すぐには納得しづらいところがあるだろう。
現在の案では、養子に入ったとしても皇位継承権は与えられず、一皇族として天皇陛下をお支えする立場になるというのだが、この案も考えるといろいろ問題がある。
旧宮家の男子が単独、あるいは結婚している場合、夫婦で養子となるのならば、皇族ではあるが皇位継承権は持たないとしても問題ない。
しかし、もしも旧宮家の男子が現宮家の女性と結婚して養子となった場合、二人の間に生まれた子に皇位継承権は発生しないのか。
現在の皇室典範における皇位継承の条件である、「皇統に属する男系の男子」に当てはまると認定される可能性も残す。しかしながら、宮家の女性と婚姻し養子となっていることから、やはり女系の色合いが濃く、結局、女系天皇の道を開くことになっていくはずだ。
それならば、皇室典範そのものを改正した方が良いという意見も出てくるだろう。
女性皇族を巡り皇室の存続にかかわるこの問題は、ともすれば皇族方の人権にも影響を与えかねず、女性皇族方の一生をゆがめてしまう危険性すらある。慎重な議論を求めたい。
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