Yahoo!ニュース

宮内庁のインスタ開始から半年あまり 国民の心をつかむ試行錯誤の背景は…? #専門家のまとめ

つげのり子放送作家、ノンフィクション作家(テーマ:皇室)
皇室の方々(写真:ロイター/アフロ)

今年4月1日に宮内庁のインスタグラムがスタートしてから、半年あまりが過ぎた。現在、フォロワーは180万人で、若年層にも反響が広がっており、まずは成功といえるのではないだろうか。

この半年あまりを振り返ると、筆者の主観ではあるが、予想していたレベルよりも日を追って充実度が増しているように感じる。特に天皇皇后両陛下のイギリス公式ご訪問は、ニュース番組で見ることが出来ない映像や画像が充実し、とても楽しめるものであった。

宮内庁広報室の戦略的なインスタグラムへの挑戦は、どのような背景があって進められてきたのか、関連するニュースから紐解いていきたい。

ココがポイント

デジタル時代にまったく関与していなかった著名なロイヤルファミリーは、おそらく(日本の皇族が)最後だ
出典:BBC NEWS JAPAN 2024年4月3日(水)

宮内庁のインスタ好調、フォロワーは1日で「首相官邸」超え…眞子さん結婚機に積極広報
出典:読売新聞 2024年4月8日(月)

「宮内庁SNSの救世主」はサッカー日本代表の広報担当
出典:NEWSポストセブン 2024年4月15日(月)

受注元はやっぱり「電通」か…宮内庁が進める「インスタグラム強化」のウラ事情
出典:現代ビジネス 2024年9月11日(水)

エキスパートの補足・見解

宮内庁の公式インスタグラムは、皇室の活動を積極的に情報発信するためにスタートした。新聞を読まず、テレビも見ず、SNSしか目にしない若者たちに皇室に関する情報を伝えるツールとして機能させようという狙いは、当然の流れと言えるだろう。

一方、宮内庁インスタでの発信強化も含め、2025年度の広報充実のための費用に3400万円などを盛り込んだ概算要求が報じられ、これをめぐっては様々な声が上がっているが、日々の情報発信を今以上に充実させるには、実際、経費はかかる。

今はまだオフィシャルな範囲に限られている印象があるが、今後はもう一歩踏み込んだ発信に期待したいと思う。国民に対して生き生きとした皇室の姿を発信できるよう、たとえば地方公務で地域の人たちと触れ合った際には、両陛下が交わされた微笑ましい会話の内容や、その土地ならではの名物を食した時の感想などを撮影するのも一つの方法だろう。

普段、ニュースなどであまり報じられない、宮家の方々のご様子もぜひ発信していただきたいと思う。

【関連記事】

皇室の方々がSNSで発信する時代は来るのか 宮内庁広報室の対応どうなる

放送作家、ノンフィクション作家(テーマ:皇室)

2001年の愛子内親王ご誕生以来、皇室番組に携わり、テレビ東京・BSテレ東で放送中の「皇室の窓」で構成を担当。皇室研究をライフワークとしている。西武文理大学非常勤講師。日本放送作家協会、日本脚本家連盟、日本メディア学会会員。著書に『天皇家250年の血脈』(KADOKAWA)、『素顔の美智子さま』『素顔の雅子さま』『佳子さまの素顔』(河出書房新社)、『女帝のいた時代』(自由国民社)、構成に『天皇陛下のプロポーズ』(小学館、著者・織田和雄)などがある。

つげのり子の最近の記事