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佳子さまがギリシャご訪問へ 王政廃止から半世紀の「ギリシャ王室」と日本を結ぶ共通点とは?

つげのり子放送作家、ノンフィクション作家(テーマ:皇室)
佳子さま(写真:Natsuki Sakai/アフロ)

今月25日から秋篠宮ご夫妻の次女、佳子さまがギリシャを公式訪問される予定だ。佳子さまにとって外国公式訪問はこれで3回目。

去年11月にペルーを訪問された時は、その模様が連日のように報じられ、長旅の疲れも見せず、笑顔を絶やさない佳子さまの姿がとても印象的だった。今回もギリシャの地でたくさんの交流を重ねられ、話題を集めることだろう。

そんな佳子さまのご訪問によって、クローズアップされるであろう皇室とギリシャの関係。果たしてどのような繋がりがあるのだろうか。

◆皇室とギリシャの繋がりは…?

佳子さまの公式訪問は、今年、日本とギリシャの外交関係樹立125周年の節目にあたることから、ギリシャ政府からの招待を受けたものだ。

1999年の外交関係樹立100周年の際には、常陸宮ご夫妻が公式訪問され、2004年にも再びご旅行として訪れ、アテネオリンピックを観戦している。

日本もギリシャも古い歴史を持つが、意外にも皇室との交流はそれほど多くはない。その理由として考えられるのが、ギリシャにおける王制の消滅であった。

ギリシャ王室は1924年に国民投票で王制が一度廃止されたが、その後、一旦は復活する。ところが1967年に軍事クーデターが発生し、国王一家はイタリアへの亡命を余儀なくされた。

そしてついには1974年、国民投票によって2度目の王制廃止が決定。共和制へと移行となってすでに半世紀がすぎている。

しかし、ギリシャ王室はヨーロッパ各国の王室と血縁関係にあり、国家を代表する存在ではなくなっている今も、“ギリシャ王国の王族”として敬われている。

去年1月には、最後のギリシャ国王であったコンスタンティノス2世が崩御したが、その葬儀には、スペインのフェリペ国王夫妻、ベルギーのフィリップ国王夫妻、オランダのアレクサンダー国王夫妻、スウェーデンのカール16世グスタフ国王夫妻、デンマークのマルグレーテ元女王、イギリスのアン王女など、そうそうたるヨーロッパの王族たちが参列した。それだけヨーロッパでは、ギリシャの王族と各国の王室は密接な関係を築いているのだ。

日本の皇室も、王制が廃止されたとはいえ、ヨーロッパの王族人脈に多大な影響力を持つギリシャ王室はないがしろにはできない。またギリシャ王室と本国政府の関係性も融和的になっていると言われている現在、佳子さまのご訪問は両国にとって、さらなる友好のレベルを高め、なおかつヨーロッパ各国王室の注目を集める出来事となり、皇室への親しみを増幅させる機会となるだろう。

◆古代の繋がりを示す両国の神話

日本とギリシャを語る上で、無視できない共通点が「神話」だ。

「日本書紀」や「古事記」に出てくる神話が、「ギリシャ神話」の物語と、とても多くの共通点があり、よく似ていると言われている。

例えば、ギリシャ神話に登場するアポロンの息子のオルペウスが、毒ヘビにかまれて亡くなった妻を冥界(あの世)から救い出そうとする逸話では、後ろを振り返らないという約束を守れず妻を失ってしまう。

これは日本神話の国産みの神のイザナギが、出産の際に亡くなった妻のイザナミを取り戻そうと黄泉の国に行く話とほとんど一致している。イザナギもまた、イザナミから「振り返って自分の姿を見てはならない」と言われるが、約束を破ってしまい二人の間に亀裂を生じさせるのだ。

他にも、髪の毛が蛇になっている怪物メドゥーサを、英雄ペルセウスが退治した話も、日本神話では、スサノオノミコトが八つの頭を持つヤマタノオロチを、三種の神器のひとつ「天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)」で退治したという神話にそっくりだ。

なぜ、これほどまでに似通っているのかというと、研究者によれば、古代においてすでにギリシャ神話が大陸をわたり、日本に伝播したものではないかという。それだけ日本とギリシャは、昔から繋がっていたとも考えられる。

そして日本もギリシャも、歴史的価値を持つ世界遺産が少なくない。

歴史と文化、共通する神話。親日国としても知られるギリシャに、佳子さまのご訪問によって今以上に日本を身近な国として感じてもらえるようになり、経済的にもまた人的にも活発な交流が図られていくことだろう。

パルテノン神殿
パルテノン神殿写真:ロイター/アフロ

◆熱心な佳子さまの事前準備

ギリシャご訪問が決まって以来、佳子さまは旅立つ日に向けて精力的にさまざまな知識を積み、勉強をされているようだ。国内の友好団体である日本ギリシャ協会の理事や、ギリシャ文化に詳しい共立女子大学の名誉教授、ギリシャのオリンピア市と姉妹都市である愛知県稲沢市の市長などからご進講を受けられたとか。

今月16日には、佳子さまがギリシャ大使公邸の昼食会に招かれ、ギリシャ臨時大使代理と食事をされた。その際の佳子さまのお召し物は、ギリシャの国旗に合わせたブルーの装いだった。

ペルーをご訪問中、佳子さまのファッションが関心の的になったように、ギリシャではどんな装いをされるのか、今回も大きな注目を集めそうである。

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放送作家、ノンフィクション作家(テーマ:皇室)

2001年の愛子内親王ご誕生以来、皇室番組に携わり、現在テレビ東京・BSテレ東で放送中の「皇室の窓」で構成を担当。皇室研究をライフワークとしている。日本放送作家協会、日本脚本家連盟、日本メディア学会会員。著書に『天皇家250年の血脈』(KADOKAWA)、『素顔の美智子さま』『素顔の雅子さま』『佳子さまの素顔』(河出書房新社)、『女帝のいた時代』(自由国民社)、構成に『天皇陛下のプロポーズ』(小学館、著者・織田和雄)がある。

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