「ニンテンドースイッチオンライン」 会員数急減の理由とは
任天堂が2024年度の第2四半期決算を開示し、その中で有料のネットワークサービス「ニンテンドースイッチオンライン」の会員数が「3400万以上」(2024年9月末時点)と明かされました。これまで会員数は発表のたびに増えており、1年前の2023年9月末は「3800万以上」でした。数パーセントならともかく1割減をどう考えるかですが、急減といっても差し支えないでしょう。なぜかを考えてみます。
会員数の鈍化・減少は、大げさに考えなくても良い……という意見もあるでしょう。“頭打ち”という意味では、ソニーの有料ネットワークサービス「プレイステーションプラス」も同様で、同サービスの場合は、5000万の大台が“壁”になっています。2023年3月時点で4740万人で、以前は四半期決算のときに数値を都度公表していましたが、今は非開示です。
この手の月額サービスは、まず会員数は右肩上がりで伸び、ピークに近づくにつれて伸びが鈍化するのは予想できることで、どこにピークがあるのかが注目点でした。「プレイステーションプラス」の会員数という「ものさし」に加え、両ゲーム機・サービスにおけるアクティブ・ユーザー数から考えると、「ニンテンドースイッチオンライン」は、もう少し伸びそうではありましたが……。
ただ、PS4やPS5はコアなゲームファンが中心なのに対して、ニンテンドースイッチは老若男女問わない幅広いがターゲットです。ゲームにお金をかけるのは前者の方でしょうから、それが有料サービスの会員数の差になった……と言われると、納得できる話ではあります。同時に世界的な物価高を受けて、ゲームに費やすお金をシビアに判断される事情も反映されているのではないでしょうか。
そして頭打ちになったからこそ、ここからが勝負どころです。会員数のこれ以上の離脱を防ぎつつ、どのような手を打って会員数を上積みしていくか。ゲーム機の出荷台数だけでシビアに考えると、まだ会員獲得の余地はあるわけです。
ただし任天堂の場合、「マリオカート8」のようにニンテンドースイッチの人気ソフトが長期間かなり売れる傾向にあります。「プレイステーションプラス」では、発売から時間が経過したソフトを、サービスの一環として提供していますが、スイッチで同じ手はなかなか使いづらいところでしょう。
もちろんファミコンやスーパーファミコンなど昔のソフトが遊べるのは「ニンテンドースイッチオンライン」の“武器”ですが、今加入してない人たちの目にどう映っているかです。そもそも、そういうサービスがあること自体、ライトユーザーにイマイチ理解されてない、知られてない……というのは、ありうる話です。
自社の情報を発信して顧客に的確に届ける難しさはどの企業も苦労しているわけで、そう考えると、今後どうやって会員数を増やすか……というのは、結構な難題です。先日発表された「ニンテンドーミュージック」はユーザーの反響が大きく、好評と言っても差し支えないでしょうが、厳しく言うと、会員獲得の貢献度は現時点では分かりません。
サービスの充実は、コストの問題が常に立ちはだかりますが、多くのコンテンツを長年にわたって積み上げてきた任天堂だからできるサービスに期待したいところです。老若男女を問わず「ゲームの理解者を増やす」という意味でも、ぜひとも頑張ってほしいと思います。