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福島・鮫川村の仮設焼却施設で爆発

関口威人ジャーナリスト
鮫川の仮設焼却施設の図面(環境省のウェブサイトから)

環境省が除染廃棄物などの焼却処理実験を行うため、福島県鮫川村に設置した仮設焼却施設で29日午後2時半ごろ、大きな爆発音があった。

同省によると、爆発は焼却炉から灰を取り出すためのコンベヤーで起こり、コンベヤーを覆う囲いの一部が破損。けが人はなく、焼却灰そのものは飛散していない。周辺の放射線モニタリングポストの値にも変化はないという。

施設は今月19日に本格稼働したばかり。1キロ当たり8000ベクレルを超える放射性物質を含む稲わらや牧草などを平日の午前八時から午後五時まで、傾斜回転床炉という特殊な構造の焼却炉で焼却、灰をセメント固化して一時保管する計画だった。爆発は焼却炉本体からセメント固化装置の間で発生、詳しい原因は調査中だという。

プラントメーカーの日立造船の作業員が初期対応に当たり、環境省や消防、警察、村を通じて住民らに連絡が回ったというが、「周辺住民に連絡は一切なかった」という住民もいる。環境省の報道発表も午後7時以降だった。

廃棄物・リサイクル対策部は「連絡は手順を踏んで行った。早急に原因を突きとめるが、現時点で再稼働は未定」としている。

施設は着工後に住民説明会が開かれ、地権者の一部は同意書に判を押したことがないとして環境省などを相手に告訴状を提出するなど、住民から反発を招いていた。同省は村を通じて住民に説明をしているというが、さらに反発が大きくなることは必至だ。

破損したコンベヤー。垂直方向に約3m、特に上部が大きく裂けている(赤い矢印)
破損したコンベヤー。垂直方向に約3m、特に上部が大きく裂けている(赤い矢印)

【追記】------------

翌30日、周辺住民の方々が鮫川村役場を訪れて抗議した際の村側の説明や、環境省からの補足取材を「オルタナ」の記事としてまとめました。

福島県の仮設焼却施設で爆発事故、「連絡ない」と住民抗議(オルタナ)

環境省はコンベヤーを覆う金属製の囲いに「かなりの力がかかって」長さ3メートルほどにわたって裂けるように破損した、と説明。現地で直接取材したフリーライター畠山理仁さんからも現場の写真を提供していただきましたので掲載します。

ジャーナリスト

1973年横浜市生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科(建築学)修了。中日新聞記者を経て2008年からフリー。名古屋を拠点に地方の目線で社会問題をはじめ環境や防災、科学技術などの諸問題を追い掛ける。東日本大震災発生前後の4年間は災害救援NPOの非常勤スタッフを経験。2012年からは環境専門紙の編集長を10年間務めた。2018年に名古屋エリアのライターやカメラマン、編集者らと一般社団法人「なごやメディア研究会(nameken)」を立ち上げて代表理事に就任。

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