コレア・セガが終焉。ツインズが敗者復活戦で、リスク回避&低コストのUターン再契約に成功。
大リーグのストーブリーグを騒がせ、米国で「コレア・セガ」(Saga 物語)と称されたカルロス・コレア内野手のFA移籍が、ついに、最終章を迎えた。米メディアは10日(日本時間11日)、「コレアが古巣ツインズと6年総額2億ドル(約265億円)」で合意に達したと一斉に報じ、身体検査をパスすれば、正式発表に至る見込みだ。
年末年始を挟み、FAの目玉遊撃手の新天地候補は、ミネソタ、サンフランシスコ、ニューヨークとアメリカ大陸を縦横無尽に巡った挙げ句、ブーメランのように、出発点のミネソタに戻ってきた。コレア陣営とツインズ球団がたどり着いた6年総額2億ドルの落とし所を探る前に、まず、「コレアFA移籍物語」の大筋をおさらいしておこう。
コレアが昨シーズン1年契約で所属したツインズとの2年総額7020万ドル(93億円)のオプションを破棄してFAとなったのが、昨年11月7日(同8日)。ツインズは10年総額2億8500ドル(378億円)の再契約オファーを出したが、コレアは12月13日(同14日)にジャイアンツと13年3億5000万ドル(464億円)の史上4番目の高額年俸契約で基本合意。だが、身体検査で問題が発覚し、12月20日(同21日)に予定されていた入団会見がドタキャンされると、一夜明けた翌21日(同22日)、メッツと12年3億1500万ドル(418億円)で電撃合意。だが、今度も身体検査で引っかかる。米報道では、マイナー時代の2014年に負傷した右足首に懸念があると伝えられる中、古巣ツインズが争奪戦に再参戦。合意の運びとなった。
ツインズにすれば、最初のオファーは蹴られたものの、ジャイアンツ、メッツの相次ぐ交渉頓挫で巡ってきた敗者復活戦で勝ち上がったようなもの。しかも、米メディアに報じられた契約詳細によると、低コスト、リスク回避の両側面で球団にメリットがある好条件だ。
まず、最低保証の年数が、ジャイアンツの「13年」、メッツの「12年」に比べて、「6年」と大幅に抑えられ、長期契約のリスクを大きく回避した。7年目以降、4年間は、打席数をクリアする条件で、年々翌年の契約を更新するオプションが付いた。右足首に問題がなく、毎年、健康体で打席数をクリアすれば、最長で10年総額2億7000万ドル(358億円)となる。ツインズが出した最初のオファーと比較しても、10年保証する所を約半分に抑え、10年満了時の総年俸でも1500万ドル(20億円)のコスト減となった。また、契約は途中のオプトアウトを含まず、2028年までは、ゴールドグラブ賞受賞の強打者を軸にチーム作りを進めることが出来る。
2桁年数の大型契約は契約最終年が近づくにつれて、高齢化した選手のパフォーマンスの低下に伴い、年俸が見合わなくなるケースが多い。コレアの場合、内野手としてピークを過ぎたとも見なされる34歳以降の4年間の年俸は、総額で7000万ドル(93億円)とかなりの格安となり、ツインズの負担は大幅に軽減される形となっている。
身体検査の後、メッツは最初の6年間を年俸総額1億5750万ドル(209億円)で保証する見直し案を提示したと報じられており、コレアは、メッツより6年の差額で4250万ドル(56億円)の上積みとなるツインズを選んだようだ。ジャイアンツ、メッツの身体検査で問題がなければ、あり得なかったUターン再契約。資金力豊かな球団の前に、一度は涙を呑んだツインズだが、紆余曲折の結果、リスクヘッジされ、総コストも抑えた好条件で、これからプライムタイムを迎えるスーパースターを再びチームに迎え入れる結果となった。