「トロルの舌」に子連れ外国人登山客 危険との認識薄く/ノルウェー絶景
北欧ノルウェーの絶景として観光客が倍増している絶景の岩「トロルの舌」。到着地点である岩の写真ばかりがSNSで広がっているが、「本格的な登山で、徒歩で往復10時間」という事実が外国人観光客の間でしっかりと理解されておらず、問題化している。
現場までは「簡単にたどり着ける」、「なんとかなる」、「なにかあれば助けてもらえる」、「店などが途中にある」と誤って認識する人もいる。しっかりとした装備をせずに登り始める外国人が多く、途中で地元の救助隊が出動するニュースはノルウェーで毎年の定番となった。
自然に囲まれた地形でアウトドア好きな人が多いノルウェー。国民は山での移動に慣れているが、「外国人もそれくらいわかっているだろう」という認識が、外国語での情報周知不足にも影響している。
13日、ノルウェー国営放送局NRKと地元のハルダンゲル・フォルケブラ紙によると、3才の子どもを連れた夫婦がトロルの舌を登ろうとし、現地の複数の救助隊が出動した。家族を発見するまでには時間がかかり、発見時(12日夜)には保護者は大きな問題はないと主張した。家族はノルウェー人ではないが、詳しい国籍は明らかにされていない。
トロルの舌では、昨年も1才の子どもを連れた英国人家族が下山できなくなり、救助隊が出動。
現場では早朝には気温が4度に下がることもあり、十分な服装や食料が必要とされている。
救助隊の赤十字社リーダーであるノンダル氏は、「トロルの舌への子連れ登山は事前に十分に考えるべき」と地元メディアに話す。
ノルウェーには「プレーケストーレン」など絶景とされる自然スポットがほかにもいくつかある。記念撮影をする場所として人気がでる一方、赤ん坊や子どもを連れてくる保護者もおり、柵のない岩場に子どもを置いて撮影しようとする行為は物議を醸している。
今年のトロルの舌への登山者はおよそ10万人に及ぶのではないかと推測されている。観光客の増加を喜ぶ一方、準備不足で来る外国人の増加に地元の人々は頭を悩ませている。
Photo&Text: Asaki Abumi