50年近く主要先進7カ国で労働生産性最下位の日本で障害者も介護者も一人親も働き続けられる京都の飲食店
東京医大問題の本質は長時間労働問題
東京医科大学が、女子受験生の点数を一律下げていたことが報道された。いま、渡航しているベトナム・ハノイでも、この問題がNHK Worldで報道された。番組では、公益社団法人 日本女医会 会長の前田佳子さんが出演されていた。
Twitterにも関連の投稿が増えている。
東京医大に限った話ではなく、他の国立大学でも同様の操作が行われている、と指摘する人もいる。
本質には、過剰なほどの長時間労働があると指摘し、これを改善するための議論を呼びかける人もいる。
外科医の中山祐次郎さんは、記事【東京医大問題】本質は医師のブラック労働環境 医師の視点で、医療現場の劣悪な労働環境を指摘している。
1970年からの約50年間、主要先進7カ国で労働生産性が最下位の日本
医療の現場は1日24時間体制だ。全員が一斉に休むことはできない。
だが、日本には、1日24時間働く必要のない職場でも、24時間労働を強いられている例がある。なのに、労働生産性は低い。
公益財団法人 日本生産性本部によれば、OECDデータに基づく日本の時間当たり労働生産性は46.0ドルで、OECD加盟35ヵ国中20位(2016年度のデータより)。主要先進7カ国でみると、データが取得可能な1970年以降、最下位の状況が続いているという。
2018年7月12日、幻冬舎が主催した社会人向けの「出口塾」で、講師の出口治明(はるあき)さんは「ヨーロッパは年に1,300時間働いて成長率2%。日本は年に2,000時間働いて成長率1%」「脳みその集中力は2時間しか持たない。頭を使う仕事では長時間働けない」「これ以上、長時間働いても儲からない」と強調していた。
筆者の個人的考えだが、働いているかのように見えて、実は、真の意味では働いていないこともあるのではないか。オフィスや職場に居ることは、イコール「働いていること」には必ずしもならない。往復何時間もかけて職場に行き来するだけで心身が疲弊するため、あたかも労働したように感じるが・・・
一日百食限定、京都の「佰食屋(ひゃくしょくや)」
飲食業界も、朝から夜遅くまで働く人でないとやっていけない、という印象がある。そんな中、京都市で3種類の店舗を展開している「佰食屋(ひゃくしょくや)」は1日100食限定。売り切れ御免、午後15時くらいに閉店する。
最初に開店したお店は、ステーキ丼のお店。
錦市場の中には牛寿司の店がある。
そして、すき焼き専科。
牛肉は、一括して仕入れており、余すところなく活用する。野菜の切り方を間違えたり、オーダーミスをしたりした場合、通常、飲食店では捨ててしまうことも多い。が、佰食屋では、従業員のまかないとして食べ、食品ロスにはしない。
健常者だけでなく、障害のある方や、家族の介護をしている方、一人親の方も働き続けることができている。なぜならば、長時間労働ではないからだ。このような働き方が注目され、佰食屋を運営する株式会社minittsの代表取締役、中村朱美さんは、これまでに数々の賞を受賞し、「働き方改革」全国放送のメディアや経済紙が取材にきている。
ある弁護士は企業の「強欲さ」を指摘
ある弁護士は、日本のフランチャイズにおいて、本部の粗利益が大きくなる仕組みについて、本部の「強欲さ」を指摘していた。適量販売し、適当な金額を儲けるというのではなく、「もっともっと」と、必要以上に儲けよう、稼ごうとする。その結果、時間があればあるだけ労働に注ぎ込み、組織の構成員である働く人に負担と歪みが生じてしまう。
モノや資源だけではなく、働く人の持続可能性こそ考える時機に来ている。
参考資料:
なぜシングルマザーや障害者も働くことができるのか 一日百食限定、京都女性社長の店から働き方改革を問う