45億年後に衝突するアンドロメダ銀河から既に星々が到来中と判明!?
どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。
今回は「アンドロメダから既に星が到来しているかも」というテーマで動画をお送りします。
アンドロメダ銀河は、天の川銀河から約250万光年ほど離れた場所にあるとされる、巨大な銀河です。
そんなアンドロメダ銀河の運動を調べると、天の川銀河に対して秒速約120kmという速度で接近していることがわかっており、今から約45億年後には2つの銀河の円盤が衝突を開始すると考えられています。
そんな中、最近の研究により、天の川銀河内にある一部の「超高速度星」は、アンドロメダ銀河からやってきた可能性が高いことが判明しました。
アンドロメダ銀河円盤部との衝突により、星々が一斉に流れ込んでくるのはまだまだ先ですが、衝突が起こる何十億年も前である現時点でも、星々の交換が既に行われているかもしれません。
●超高速度星について
地球から29000光年ほど彼方の天の川銀河内に、1755km/sというとてつもない速度で星々の間を駆け抜ける「S5-HVS1」という恒星が発見されています。
あまりに速いため、天の川銀河の重力を振り切って銀河外に飛び出していくそうです。
このように1000km/sを超えるほどに移動速度が速く、天の川銀河の重力に拘束されていない恒星は「超高速度星」と呼ばれ、他にもいくつか発見されていますが、S5-HVS1は中でもずば抜けた速度を誇ります。
2つの恒星から成る連星の一方がブラックホールに飲み込まれると、もう一方が重力で超高速で投げ飛ばされる可能性があります。
こうして投げ飛ばされた恒星が超高速度星の正体であると考えられています。
S5-HVS1を含む多くの超高速度星が、天の川銀河中心にある太陽の430万倍重い超大質量ブラックホール「いて座A*」によって投げ飛ばされたようです。
●アンドロメダ銀河の星が既に到来中!?
先述の通り、天の川銀河内の超高速度星の起源は天の川銀河中心部であることが多いですが、中には銀河中心部から離れる方向に移動する超高速度星もあり、これらの起源は銀河外にあると考えられます。
2024年3月に発表された論文では、天の川銀河から遥か250万光年も彼方にあるアンドロメダ銀河中心部を起源とする超高速度星が天の川銀河に存在するのかどうかが検証されていました。
研究チームはまず、天の川銀河とアンドロメダ銀河それぞれの相対速度や、全体の正確な重力分布などを反映させたコンピュータシミュレーションを用意しました。
なお、2つの銀河の質量が等しい場合と、天の川銀河の方が半分の重さである場合の2通りの設定のシミュレーションが用意されました。
シミュレーションを用いた具体的な分析方法としては、まずアンドロメダ銀河中心部に超高速度星を1800万個生成し、そのうち天の川銀河にやってくるものがどれくらいあるのかを調べます。
その際、超高速度星の初期位置はアンドロメダ銀河中心部付近のランダムな位置であり、進む方向もランダムです。
分析の結果、いずれのシナリオのシミュレーションにおいても、アンドロメダ銀河中心部付近から弾き飛ばされた超高速度星のうち約0.01%が、現在の天の川銀河の中心から半径約15万光年以内に存在していることが判明しました。
また、いずれのシミュレーションにおいても、多くの超高速度星がその初期速度を保っていることがわかりましたが、中には天の川銀河に捕らえられるほど速度を落とすものもあったそうです。
そしてシミュレーションで得られた超高速度星の分布データと、ガイア望遠鏡による実際の観測で得られた超高速度星のデータと比較すると、それらが一致することが判明しました。
よってこの研究から、アンドロメダ銀河中心部から弾き飛ばされた超高速度星が、現在の天の川銀河内に存在している可能性が高いことがわかりました。
具体的には現在の天の川銀河内に10個以上のアンドロメダ銀河由来の超高速度星が存在する可能性が高いとのことです。
そして反対に、天の川銀河からアンドロメダ銀河へと移動している星も存在すると考えられるため、衝突が起こる何十億何も前にもかかわらず、遥か250万光年の距離を経て星々の交換が行われているのは驚きです。
今後さらに多くの星々の詳細な速度などの性質を調べることで、アンドロメダ銀河由来の超高速度星が実際に発見されるかもしれません。