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選挙妨害か?選挙日に自宅待機を促す「大量不審電話」をFBIが捜査【米大統領選】

安部かすみニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者
イメージ写真。(写真:INGRAM PUBLISHING/アフロイメージマート)

投開票日から3日が経過しても結果がなかなか出ず、大荒れの2020年大統領選挙。選挙当日に、不審な内容のロボコール(自動音声スパム電話)が全米中の有権者にかけられていたことがわかった。

投開票日だった11月3日、大量の「ステイホーム」(自宅待機)を促す不審な電話が一般有権者にかかってきており、選挙妨害の疑いがあるとしFBIが捜査をしていると、ワシントンポスト紙などが報じた。

発信された誤情報は「安全を保ち、自宅にいてください」「選挙日の長い行列を避けたければ、投票は明日するように」と自宅待機を促すもので(当然ながら翌4日は、投票できない)、ロボコールとテキスト(SMSメッセージ)によって送信された。

同紙やプロパブリカによると、その不審なロボコールの数は、選挙当日だけで300万件以上にも上り、中でもミシガン州など6つの激戦州内にかけられた数は80万件だった。また選挙前の期間も含めると、約1000万件にも上るという。

通話とテキストの発信元は不明なままであり、現在FBIによる発信元の捜査が進められている。

ニューヨーク州司法長官、Letitia James氏も、ロボコールの発信元の調査に乗り出した。

  • 投票は私たちの民主主義の基本です。 誤情報を広めることで有権者の投票を妨害する試みは違法であり、容認できない。

ロボコール、米国では近年社会問題に

着信者にとっては迷惑の何者でもないロボコールはここ数年間で大幅に増えており、社会問題となっている。同紙によると、先月だけでも全米でかけられた全ロボコールは40億件にも上るという。

筆者のもとにも、以前より「〜が当選した」「お金が儲かる良いディールがある」など数々の怪しい儲け話、勧誘、悪質商法、また配送業者や銀行、クレジットカード会社、アマゾン、IRS(税務署のような機関)などと偽って、個人情報を盗み出そうとする内容のものが、1日に複数回かかってくることもある(中には生身の人間がかけてくることもあるが、近年は自動音声が主流になった)。

パンデミック中の4、5月はそのような迷惑電話がピタリと止まったのだが、新型コロナの感染拡大が落ち着いた6月ごろから再びかかってくるようになり、さらに不審な内容のテキスト(送信されたリンクをクリックすると何かが当選という偽情報)が以前より多く届くようになった。

ワシントンポスト紙の発表では、ロボコールを含むあらゆる迷惑電話は、1ヵ月あたり平均約50億件。パンデミック中の4月に発生した迷惑電話は、1月と比べて40%減少したとある。ユーザーへの通話を追跡しているNomoroboも、1月に発信されたロボコールは4490万件なのに比べ、4月には2370万件に減少したことがわかっている。

ロボコールの阻止として、YouMailやRoboKillerなどスマホ向けの対応アプリを利用する方法はある。筆者は何度かロボコール停止の措置をしたり着信拒否(メールは迷惑メール設定)をしているが、なんせ敵は多く手を替え品を替え違う手法で続々とくるため、あまり効果が実感できていない。筆者は怪しい着信電話、テキスト、メールには一切反応しないようにしている。

また解決法の1つとして、同記事ではこのように提案し注意を呼びかけている。

「着信電話を精査するなど、疑いのあるものへの対処法はすでに知っているかもしれないが、中には真偽を判断できないものもある。まずIRSのような機関が電話をかけてくることはないので、疑わしい場合は公式発表された番号に折り返す。メールやテキストにあるリンクや添付ファイルはクリックせずに即削除。ウイルス対策のため、PCやスマホなどのソフトウェアやアプリを最新にアップデートする。詐欺にあった場合は専門機関(アメリカ国内の場合)に届け出ること」

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(Text by Kasumi Abe) 無断転載禁止

ニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者

米国務省外国記者組織所属のジャーナリスト。雑誌、ラジオ、テレビ、オンラインメディアを通し、米最新事情やトレンドを「現地発」で届けている。日本の出版社で雑誌編集者、有名アーティストのインタビュアー、ガイドブック編集長を経て、2002年活動拠点をN.Y.に移す。N.Y.の出版社でシニアエディターとして街ネタ、トレンド、環境・社会問題を取材。日米で計13年半の正社員編集者・記者経験を経て、2014年アメリカで独立。著書「NYのクリエイティブ地区ブルックリンへ」イカロス出版。福岡県生まれ

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