写真で振り返る決戦の投票日!「誰に投票した?」NYの人々に聞いてみたら・・・【米大統領選】
11月3日、アメリカではいよいよ大統領選の投開票日を迎えた。
ニューヨークでも1日中、大統領選のニュースで持ち切りだった。しかし今年はコロナ禍における選挙ということで、例年に比べてやや違う空気も漂った。
市内では110万人が期日前投票をしたと報道されている。それが功を奏してか、まず投票所前はスタッフばかりで、行列は見られなかった。道行く人の情報では「ハーレムの投票所は行列ができていた」というのもあったので、あくまでも「一部を除き」ということになるだろう。
筆者は1箇所の投票所の入り口付近で、中の様子を見ることができた。そこでも、投票に来た人はほんの数名で、スタッフの数の方が多かった。投票ブース同士は6フィート(約2メートル)を大幅に上回るほどの十分な距離が保たれていた。投票所自体が広いので「ガラガラ」な印象をさらに助長していた。
また投票所の管轄を行う選挙管理委員会オフィスも訪れたが、ここも混雑した様子はなかった。「老人ホームに入居している母のために投票用紙をもらいに来たのに、昨日で締め切られたみたい」と肩を落として帰る女性がおり、一部で混乱もみられた。
また例年であればこの日は多くの人が胸元やバッグなどに「投票しました」シールを貼っている姿を見かけるのだが、今年はそのシールを貼っている通行人もほんの一部だった。
コロナ禍におけるニューヨーク市内の大統領選は、うまく実施できたのではないだろうか。
一般有権者に聞きました。「誰に投票した?」
投票所から出てきた一般有権者に、誰に投票したかを聞いてみた。
ニューヨークは民主党寄りなので、質問した人全員が「バイデン」だった。理由としては以下のようなものが多かった。
- もちろんバイデンに投票。ほかの候補者は自分の選択肢に一切なし。
- トランプはLGBTQ、女性、移民に対してひどい差別主義者だ。
- トランプはひどい。史上最悪の大統領。
- 素晴らしいビジネスマンだが国のリーダーには適していない。
- この国が分断したのはトランプのせい。
- バイデンも理想の大統領とは言えない。物忘れもひどくなっている。それでもトランプよりマシ。
- 変化の時だからバイデンに票を入れた。
- LGBTQや中絶の権利を守るバイデンが、私たちZ世代には必要。
- トランプは納税で嘘をついていると思う。
民主党寄りのニューヨークでは予想通りと言うべきか、筆者が聞いた人はすべてがバイデンに投票し、その多くの理由は「トランプが嫌い」というものだった。
これは人間の性(さが)だが、他人を褒める際はそれほど熱意が入らないかもしれないが、非難する場合は嫌いな要素をことごとく論いがちになる。時にはヒートアップすることも。
私は反トランプ派の意見を聞きながら、“もし”自分がトランプを支持していたならば、『ここでは自分の気持ちを隠しておこう』と思い、投票所でそっとトランプにチェック印を入れるだろう」と思った。つまりニューヨーク州にもいるとされる「隠れトランプ」の気持ちがわかった気がしたのだった。
トランプ支持者はどこ?トランプタワーへ
あまりにもトランプ支持者に出会えないので、「投票しましたシール」を貼っている人に「トランプに投票した人を探している」と直接聞く声のかけ方に変えてみた。
1人だけ早足で親指を立てながら「(トランプに)投票したよ」という男性と出会ったが、彼はそれ以上を語らず、すぐにその場から立ち去ってしまった。
道行く人が「ニューヨークでトランプ支持者に会うには、アッパーイーストサイド(高級住宅街)か『あそこ』じゃない?」と教えてくれた、五番街のトランプタワーに向かってみた。ここは4年前の大統領選で、私が道ゆく人にインタビューした場所だ。「私はヒラリーには投票していない」と答えた人ばかりで驚いた記憶がある。
ここでやっとトランプ支持者に出会えた。大きな旗を掲げた人や、仮装した人、「トランプ仕様」の黒塗り車を走らせている人など、なかなか個性派ぞろいだ。
ここでも、なぜトランプに投票したのかその理由を尋ねると、以下のようなものが多かった。
- トランプは国土の安全を守ってくれ、より強い国にした。
- トランプは実績を残した。国の経済力を保ちこの4年で雇用数も増やした。
- コロナ対策はできる範囲のことをしてくれている。
- トランプは言われているような差別主義者ではない。
- 民主党に落胆し、今回初めて共和党に投票した。
- トランプはフェイクな大統領なんかじゃない!
上がってきた理由は、トランプを擁護したものが多かった。トランプに投票したのは、バイデンが嫌いだからではなく、「トランプを心から支持している」から投票したようだ。
そのほか、この日の様子
トランプタワー前では、トランプ支持グループとバイデン支持グループがやりあう場面も見られた。
選挙結果によっては、暴動が起こるかもしれないとして、店の多くは「再び」防護板を昨日から取り付け始めた。店の人に話を聞くと、「木曜日まで閉店する」ところから「昼間は通常営業だけど、夜間の略奪防止のため」とさまざまだ。
平和に無事に、今年の大統領選が終わることを願うしかない。
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(Text and photo by Kasumi Abe) 無断転載禁止