円安・年金減・インフレ三重苦を乗り切る 「変化する世界秩序に対処するための原則」(レイ・ダリオ)解説
こんにちは。シンガポール在住、ファイナンシャル・プランナーの花輪陽子です。4月から公的年金の支給額が改定され、0.4%減額されます。
年金額は現役世代の賃金や物価の変動に合わせて毎年改正されるからです。コロナの影響で現役世代の賃金が減ったために、2年連続の引き下げとなりました。
公的年金、4月分から0.4%減額…受給開始年齢は60~75歳に拡大
令和4年度の新規裁定者(67 歳以下の方)の年金額の標準的な例は夫婦で月額21万9593 円に(令和3年度の月額22万496円より903円の引き下げ)。
また、日本生命保険は企業から預かる年金保険の予定利率を2023年4月に年1.25%から0.50%へと引き下げます。日本生命の契約企業は約5200社で、運用額は5.6兆円に及ぶといいます。
日本生命が企業年金利率下げ 1.25→0.5%、5200社影響
エネルギー価格や食品価格などの上昇から物価が上がっている中での年金額の引き下げはリタイアメントプランをきびしくします。
このような環境から年金生活者への5000円給付が議論されましたが、6月支給は事務作業が間に合わずに見送りになりそうです。
今回の年金改革で年金の受給開始年齢を75歳まで先送り(繰り下げ)できるオプションが加わりました。繰り下げれば月額は増えますが、もらえる期間は短くなります。
75歳男性の平均余命は12.18年、女性の場合は15.79年です(平成29年)。確率的には女性が繰り下げをしたほうがよいのかもしれません。
在職老齢年金の見直しなどもあり、高齢者はより働きやすくはなりました。アルバイトをする、株式投資をして配当を得るなどをして、支出以上に収入を増やす努力をする必要がありそうです。
このように改悪の微調整を重ねて年金システム自体は維持されるのでしょう。新型コロナ対策での日本の医療システムのように、システムは維持されても国民のためにはならない制度を延命させることになるのかもしれません。
しかし、国民の暮らしはゆっくりと蝕まれていきます。輸入物価やエネルギー価格などは確実に上昇していくからです。
円安の進行に関しては夏に1ドル135円という声も専門家の間では出ており、更なる輸入物価の上昇も考えられます。
「トルコ中銀の独自理論が招くリラ安」に類似も
日銀は大量の国債を抱えているために金利を急激に上げることができず、金融引き締めに動いている米国を始めとした先進国とは対象的に緩和を続けています。
金利が急激に上がれば、借金を抱えている国、住宅ローンを変動金利で借りている国民が利払いで困窮することになります。
円キャリー・トレードは有効か
日本円で借り入れをして、外貨で運用をする円キャリー・トレードも復活しています。日本円が弱くなれば弱くなるほど、借金が目減りしていくからです。
円キャリートレードとは、相対的に金利が低い円建てで資金を借り入れ、その資金を外貨に転換して運用する取引のことです。
しかし、為替はあっという間に巻き戻ることもあります。リーマン・ショックのような自体になると急激に円高になるリスクもあるからです。
そのために、レバレッジをかけて外貨取引をする場合は為替ヘッジをするなどのリスク管理を徹底させるべきでしょう。
儲けが出る時は為替益と運用益の両方が取れますが、投資家が円キャリーを手仕舞うクラッシュが発生した時には反対のことが起きるからです。
円安とコストプッシュインフレはわるいことばかりなのか
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