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ザ・ペニンシュラ東京で「共鳴の美食」 130年続く果樹園を継承したワイナリーとコラボレーション

東龍グルメジャーナリスト
(C) ザ・ペニンシュラ 東京

ラグジュアリーホテルでのコラボレーション

東京には素晴らしいホテルがたくさんあり、興味深いコラボレーションが開催されています。今注目したいのが、ザ・ペニンシュラ東京のステーキ&グリル「Peter(ピーター)」で2024年6月14日に行われる「Dine in Resonance(ダイン イン レゾナンス)」(28,000円)=「共鳴の美食」です。

ザ・ペニンシュラ東京は、アジア最古のホテルグループとして、「最高のプロダクトとサービスをご提供する」哲学を有しています。この哲学に“共鳴”する美食イベントとして「Dine in Resonance」が2020年10月から行われているのです。

同イベントでは、ザ・ペニンシュラ東京のブランド哲学と親和性の高いビバレッジブランドを、ホテルのビバレッジ ディレクターをはじめとしたプロフェッショナルチームが厳選し、コラボレーションしています。

第5弾となる「Dine in Resonance」

NIKI Hills Winery(ニキヒルズ ワイナリー) (ザ・ペニンシュラ東京より)
NIKI Hills Winery(ニキヒルズ ワイナリー) (ザ・ペニンシュラ東京より)

第5弾となる今回の「Dine in Resonance」では、北海道余市郡仁木町に位置する「NIKI Hills Winery(ニキヒルズ ワイナリー)」と協業。

「NIKI Hills Winery」は、準限界集落(地域人口の50%が55歳以上となった集落)となった仁木町の再生に向け、2014年に130年リンゴ果樹園として続いた耕作放棄地を受け継ぎました。整備してワイン用のブドウを育て、ワインの醸造から販売、施設内での提供を行い、付加価値を高める6次産業化を推進しています。

全33ヘクタールの敷地内には、ブドウ畑や醸造所の他に、ナチュラルフォレストやガーデン、レストラン、宿泊施設を完備。ワイナリー周辺の地域を盛り上げており、地方創生に尽力しています。

コース内容

今回のコースでは、シニア シェフ・ド・キュイジーヌのヨハン・ダコスタ氏が紡ぐ珠玉の料理とエグゼクティブ ペストリーシェフのパスカル・シャルデラ氏が創るデザートに、「NIKI Hills Winery」のワインがペアリングされていたり、料理に使用されていたりしています。

コース内容は次の通り。

アミューズ/Chardonnay Sparkling NV(シャルドネ スパークリング ノン・ヴィンテージ)
大根のマリネ グレープフルーツ サーモンタルタル いくら 紫蘇
黒大蒜が香るエリンギのクリスピーコーン カリフラワー アーモンド
牡丹海老の手毬寿司
ホワイトアスパラガスとフォアグラ 柚子胡椒ドレッシング 緑葉色野菜 鰹節コンフィ/NEIRO 2022(ネイロ 2022)
グリーンピースのスープ オレンジワインのフォームミント/Pinot gris, Orange wine 2022(ピノ・グリ オレンジワイン 2022)
北海道産帆立の炙り キャビアバターソース/HATSUYUKI 2022(ハツユキ 2022)
温泉卵 コーンのバリエーション クミンオイル/Pinot noir 2021(ピノ・ノワール 2021)
飛騨牛 フィレ肉のグリル 南瓜 レタスのブレゼ ディジョンマスタード ソース/Merlot 2019(メルロ 2019)
ブルーチーズのタルトレット ワインジュースのゼリー 胡桃 桃/はつゆき LATE HARVEST 2019(はつゆき レイト・ハーベスト 2019)
宮崎県産マンゴーとパッションフルーツのヴァシュラン 杏仁風味のミルクチョコアイスクリーム/はつゆき LATE HARVEST 2017(はつゆき レイト・ハーベスト 2017)

三大和牛にも挙げられる、評価の高い黒毛和牛の飛騨牛をメインディッシュとし、野菜や魚介類もふんだんに取り入れたコースに、様々なワインが使われています。

いくつかメニューを紹介しましょう。

アミューズ

アミューズ (C) ザ・ペニンシュラ東京
アミューズ (C) ザ・ペニンシュラ東京

3種類のアミューズに合わせたのが、クリーミーで繊細な泡をもつスパークリングワインの「Chardonnay Sparkling NV」。シトラス系フレーバーのグレープフルーツジュースとオリーブオイルでマリネした大根マリネ、ドライフルーツのような甘みをもつ黒大蒜が香る風味豊かなエリンギのクリスピーコーン、爽やかな花穂紫蘇をまとった北海道産牡丹海老の手毬寿司と、見た目も味わいもバリエーション豊かです。

ホワイトアスパラガスとフォアグラ 柚子胡椒ドレッシング 緑葉色野菜 鰹節コンフィ

ホワイトアスパラガスとフォアグラ 柚子胡椒ドレッシング 緑葉色野菜 鰹節コンフィ (C) ザ・ペニンシュラ東京
ホワイトアスパラガスとフォアグラ 柚子胡椒ドレッシング 緑葉色野菜 鰹節コンフィ (C) ザ・ペニンシュラ東京

繊細なホワイトアスパラガスの上には、北海道の雪をイメージした薄く削ったフォアグラのテリーヌ。グレープシードオイルで低温調理して旨味をアップさせています。ドライ鰹節や柚子胡椒ドレッシングで、日本の味わいを実現。すっきりとした「NEIRO 2022」とのペアリングが相性抜群です。

グリーンピースのスープ オレンジワインのフォームミント

グリーンピースのスープ オレンジワインのフォームミント (C) ザ・ペニンシュラ東京
グリーンピースのスープ オレンジワインのフォームミント (C) ザ・ペニンシュラ東京

北海道で見える美しい月を想起させる一品。グリーンピースの味わいが凝縮されたスープに「Pinot gris, Orange wine 2022」と温めたミルクを合わせたフォームをのせました。ピノ・グリ本来のフルーティーな香りに樽の深い香りが調和したワインは、グリーンピースの青味とマッチしています。

ブルーチーズのタルトレット ワインジュースのゼリー 胡桃 桃

ブルーチーズのタルトレット ワインジュースのゼリー 胡桃 桃 (C) ザ・ペニンシュラ東京
ブルーチーズのタルトレット ワインジュースのゼリー 胡桃 桃 (C) ザ・ペニンシュラ東京

プレデセールとして提供される、渾身のチーズ料理。タルト生地に完熟したフレッシュピーチをのせ、その上に「はつゆき LATE HARVEST 2019」のゼリー、香り高いブルーチーズ、生胡桃をトッピングしました。ブルーチーズにも同ワインで風味を付けており、味わい深く仕上げています。

宮崎県産マンゴーとパッションフルーツのヴァシュラン 杏仁風味のミルクチョコアイスクリーム

宮崎県産マンゴーとパッションフルーツのヴァシュラン 杏仁風味のミルクチョコアイスクリーム (C) ザ・ペニンシュラ東京
宮崎県産マンゴーとパッションフルーツのヴァシュラン 杏仁風味のミルクチョコアイスクリーム (C) ザ・ペニンシュラ東京

メインのデザートは、旬の宮崎県産マンゴーとパッションフルーツに、香味のある杏仁シード入りのミルクチョコアイスクリームと焼いたメレンゲ生地を合わせたヴァシュラン。ドライフルーツのような香りがある「はつゆき LATE HARVEST 2017」によって、洗練された上味になっています。

力を入れているイベント

左がシニア シェフ・ド・キュイジーヌのヨハン・ダコスタ氏、右がエグゼクティブ ペストリーシェフのパスカル・シャルデラ氏 (C) ザ・ペニンシュラ東京
左がシニア シェフ・ド・キュイジーヌのヨハン・ダコスタ氏、右がエグゼクティブ ペストリーシェフのパスカル・シャルデラ氏 (C) ザ・ペニンシュラ東京

今回のイベントは、2023年に企画がもちあがり、そこからワイナリーとペニンシュラのビバレッジチーム、ダコスタ氏とシャルデラ氏が、ゲストに最大限喜んでもらえるようにと、試行錯誤を積み重ねてきました。

ダコスタ氏は「今回、北海道余市郡仁木町で独自性の高いワインを手掛けるNIKI Hills Wineryとご一緒するにあたり、北海道で生活しフランス料理レストランでシェフを務めていた自分の知識や経験を生かした特別なコース料理を作りたいと考えました。ワインを試飲しながら試行錯誤を繰り返した料理は“日本の深い味わい”をテーマに、驚きというエッセンスを加えた最高の一皿に仕上げました。ぜひお楽しみください」、シャルデラ氏は「心地よい甘みとボリューム感が特徴のデザートワインと洗練されたマリアージュをご堪能いただけるよう、香りと味わいのバランスにこだわりました。最後まで、ペニンシュラでしか味わえない特別なひとときをお過ごしいただけると嬉しいです」と述べており、とても力が入っていることが窺えます。

アジアを代表するラグジュアリーホテルであり、食の評価も高いザ・ペニンシュラ東京。第5弾となる「Dine in Resonance」には大きな期待がもたれるので、是非とも体験してください。

グルメジャーナリスト

1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口で分かりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。

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