【Yahoo!ニュース エキスパート】編集部が選ぶ9月の月間オーサー記事が決定 #MVA
Yahoo!ニュース エキスパート オーサー編集部が選ぶ、9月の「オーサーMVA(Most Valuable Article)」が決定しました
オーサー記事が目指す世界観、「発見と言論が社会の課題を解決する」「文化の発展に寄与する」 を体現している記事を選出する「オーサーMVA」。 厳選した3本の記事を、筆者の受賞コメントとあわせてご紹介します。
今月の受賞者
・加山竜司さん
・川崎大助さん
・木俣冬さん
MVA受賞記事とあわせて、選出理由と受賞者のコメントをご紹介します。
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■7歳で初めて買ったMANGAは『よつばと!』。海外在住のまま日本でデビューしたマンガ家の歩みとは(加山竜司)
アメリカ在住で日本語はまだ勉強中ながら、日本の月刊誌で連載を持つマンガ家・ineeさん。デビュー前から現在の創作活動に至るまで、SNSやYouTubeが大いに活用される一方、伝統的な手法へのこだわりやリスペクトの持ち主でもあります。国際化するマンガクリエイターの"今"を伝えてくれるインタビューです。
編集部の選出理由
日本の輸出産業における重要なソフトの1つに位置付けられるマンガコンテンツ。世界市場における日本作品の翻訳版のシェア拡大はもちろん、海外在住クリエイターが日本の商業連載作家として活躍するような時代となりました。本記事は、インターネット活用を制作面での中心としながらも、根底に伝統的なマンガ文化への敬意やマインドを持ち合わせるineeさんへの取材を通して、本当の意味でマンガが国境のないクリエイティブになろうとしている未来を読者に感じさせてくれます。
加山竜司さんの受賞コメント
アメリカ在住のまま日本でマンガ家デビューした『ラブ・バレット』の作者ineeさんにインタビューを行いました。マンガ制作のデジタル化と、コロナ禍で急速にリモート作業環境が整備されたことにより、ineeさんのようなケースは今後も増えるでしょう。海外から新しい才能がマンガ業界の門戸を叩いてくることを望んでいます。
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■追悼セルジオ・メンデス、ブラジル音楽界の巨匠が「ポピュラー」の世界で成し遂げた不世出の偉業とは?(川崎大助)
9月に亡くなったブラジル出身のミュージシャン、セルジオ・メンデスさんの功績を紹介し、彼の音楽が日本や世界にどのような影響を与えたかについてまとめられた記事です。
編集部の選出理由
1960年代に発表した「マシュ・ケ・ナダ」などのヒットでブラジル音楽を世界的にポピュラーなものにし、音楽シーンを牽引してきたセルジオ・メンデスさん。彼が手がけた楽曲や当時の音楽シーンについて、専門的な視点からしっかりと掘り下げ、ブラジル音楽の魅力や文化的影響について、余すことなく伝えています。音楽を聴きながら楽しめる構成で、動画を通じて実際の楽曲を体験できる点も大きな魅力です。
川崎大助さんの受賞コメント
あまりにも長期間、あまりにも巨大な業績を残した人物がセルジオ・メンデスでした。しかし僕は当記事で、彼の音楽性の細密な分析やキャリア全般の点検はおこないませんでした。そっちにはあまり深く踏み込まず、逆にもっと大掴みの「ポピュラー音楽として」の彼の大成功の側面にフォーカスして書きました。類稀なる大衆音楽家としての評価が、まずもってセルジオ・メンデスに最も相応しいものであると考えたからです。60年代~80年代にかけて大きく発展したポピュラー音楽、当時のスーパースターが鬼籍に入っていく例が近年とみに増えました。そうした訃報について書くとき、いつも自分は、その人物に対しての弔辞を記す意識で挑んでいます。セルジオ・メンデスに対しての僕のそれがこのように評価されたこと、とても嬉しく思います。創造者が去っても、音楽は残り続ける。聴く者がいるかぎり……と肝に銘じ、今後もこうした批評的弔辞を書き続けていこうと思っています。
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■史実を取材し続けるNHK解説委員が「虎に翼」のフィクションにどう向き合ったか 4分間の判決文は本物(木俣冬)
実在の人物であり、日本で最初の女性判事・三淵嘉子さんの半生を元に作られたNHK連続テレビ小説「虎に翼」。このドラマの元になった「家庭裁判所物語」の著者であり、並行して放送されたNHKの解説番組では三淵嘉子さんの真実を紹介したNHK解説委員の清永聡さんに、このドラマはどのようにして作られたのかを語ってもらった記事です。
編集部の選出理由
実在の人物やテーマを長く取材してきたジャーナリストでNHK解説委員の清永聡さんにドラマについての話を聞いたことで、主人公のモデルとなった三淵嘉子さんやその他の登場人物の史実が紹介されることになり読み応えがある内容となっています。また、フィクションの部分についても遺族や関係者にも内容について確認をとり理解を得た上で進められたことについても紹介されており、ドラマ制作の苦労や工夫がよく分かる記事でした。
木俣冬さんの受賞コメント
「虎に翼」の前半、帝人事件をモデルにした共亜事件の展開の鮮やかさ、家庭裁判所パートの生き生きした描写は、確たる取材に基づいているからこそと感じました。NHKの解説委員・清永聡さんが取材で参加していると知り、どのくらいドラマ作りに関わっているのか知りたくて取材を申し込みました。NHKの解説委員として日々、ニュースや情報番組の解説もされてご多忙のなか、司法の部分はしっかり伝えたいからと取材を受けてくださったことに感謝します。また、清永さんが、自身の著書を引用しただけで記事を作るのではなく自分の足で話を聞きに来たことを評価してくださったことが印象に残っています。この記事では、「虎に翼」の主人公のモデルになった三淵嘉子さんが原爆裁判に関わっていたことについてメインで聞いています。記事の後編「『虎に翼』最終週にてんこ盛り過ぎる問題をNHK解説委員に丁寧に解説してもらった」ではドラマのクライマックスに登場する少年法や尊属殺人について伺いました。史実を元にしたフィクションにおける史実と創作の配合はどのくらいが適切か正解はないと思いますが、清永さんのインタビューを通して史実への認識や理解が深まり、ドラマや映画の視聴の助けになることを願います。
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Yahoo!ニュース エキスパートの「オーサーMVA」は、毎月中旬に「Yahoo!ニュース エキスパート公式」の記事で発表しています。
コメンテーターコメントから選出した「MVC」も同時に発表していますので、ぜひあわせてご覧ください。