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NBAベテランスカウトが選ぶ”イースタン・カンファレンスのベストチーム”とは

杉浦大介スポーツライター
(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 現在、イースタン・カンファレンスは2.5ゲーム差以内に上位6チームがひしめくという大混戦となっている。そんな中で、本命視されるべきはどのチームなのか。

 今回、イースタン某チームのベテランスカウトに優勝争いの予想を求めた。このスカウトが所属するチーム名は明かせないが、匿名であるがゆえに、正直で大胆な意見が聞けるはずだ。

 鋼のタフネスを持つベテラン集団

 現時点で大多数の意見とは違うのかもしれないが、私はマイアミ・ヒートがイースタンのベストチームだと思っている。

 ヒートのディフェンスはイースタンでは最高級だ。トップチームのヘッドコーチ(HC)の中ではベストのコーチであるエリック・スポールストラに率いられているのも大きい。ジミー・バトラーの大舞台での勝負強さは証明済みだし、依然として過小評価されているビッグマンのバム・アデバヨも故障から復帰してきた。タイラー・ヒーローが成長したのに加え、もうすぐビクター・オラディポも戻り、オフェンスはさらに層が厚くなるはずだ。

 カイル・ラウリー、PJ・タッカーといった高齢の選手が多いが、その分、経験豊富で精神的に強い。イースタン内では誰よりも賢明なバスケットボールを展開し、一丸となってプレーできるのも心強い。

 彼らが負けるのはプレーを遂行できなかった時で、やろうとしたことが間違っているわけではない。ヒートが長い時間をかけて構築してきたシステム、フィロソフィーは常に統一されている。

指揮官の統率力もトップクラス

 トップチームの中ではNo.1と言ったが、スポールストラがリーグNo.1のコーチだと言いたいわけではない。ただ、トップ5に入るHCだと思う。

 トム・シボドー(ニューヨーク・ニックス)、ニック・ナース(トロント・ラプターズ)、クリス・フィンチ(ミネソタ・ティンバーウルヴズ)、ティロン・ルー(ロサンジェルス・クリッパーズ)も素晴らしいHCで、スポールストラもそのトップ中のトップに含まれる。あとはスティーブ・カー(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)、マイケル・マローン(デンバー・ナゲッツ)も優れたコーチだ。

フィリピン系アメリカ人のスポールストラ。北米メジャープロスポーツで優勝監督(HC)になった史上初のアジア系アメリカ人でもある。
フィリピン系アメリカ人のスポールストラ。北米メジャープロスポーツで優勝監督(HC)になった史上初のアジア系アメリカ人でもある。写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 それらのコーチたちの能力は、グレッグ・ポポビッチ(サンアントニオ・スパーズ)、クイン・スナイダー(ユタ・ジャズ)、マイク・ブーデンホルザー(ミルウォーキー・バックス)といった第2グループのHCのそれを上回っている。

 ポポビッチはとてつもない実績を残してきたが、本人の希望よりもう2シーズン多くチームの指揮をとっており、今季終了後にウィル・ハーディ(現ボストン・セルティックスのアシスタントコーチ)がその後を引き継ぐだろう。

 屈指のコーチであるスポールストラに率いられたヒートとバックスがイースタンの2強で、私は彼らがカンファレンス・ファイナルで激突すると見ている。ブルックリン・ネッツはチーム内の統率が取れておらず、一段落ちる。

 バックス対ヒートは激しいシリーズになるだろうが、現時点でイースタン王者の候補を1チーム選ばなければいけないのであれば、私はヒートを推したい。ヒートが今季のNBAファイナルに進むだろう。

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スポーツライター

東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、ボクシングを中心に精力的に取材活動を行う。『日本経済新聞』『スポーツニッポン』『スポーツナビ』『スポルティーバ』『Number』『スポーツ・コミュニケーションズ』『スラッガー』『ダンクシュート』『ボクシングマガジン』等の多数の媒体に記事、コラムを寄稿している

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