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コロナ禍の忘年会や新年会でさえも、無断キャンセルやドタキャンが許されない4つの理由

東龍グルメジャーナリスト
(写真:アフロ)

居酒屋倒産が過去最多

帝国データバンクの調べでは、居酒屋倒産が過去最多を更新し、第3波の影響で年末需要が消失、倒産ペースが加速すると報じられています。

「Go To トラベル(Travel)」や「Go To イート(Eat)」が実施され、飲食店が復調してきている中で、新型コロナウイルスの感染が再び拡大し、厳しい状況に逆戻りしています。

本来であれば12月は忘年会があり、飲食店にとって1年で最も大きな書き入れ時。しかし、感染が拡大していては、残念ながら忘年会の需要も少なくなっています。

今年の忘年会の傾向

今年の忘年会の傾向は、大手飲食店予約サービスのTableCheck(テーブルチェック)によると次のような傾向があるということです。

・小規模化(少人数・小皿料理・短時間)

・貸し切り(人数加減撤廃・個室利用)

・店外需要獲得(テイクアウト・EC販売)

・その他(感染対策強化、会員強化 他)

感染リスクの軽減を目的としたミニマムプランが中心であると分析しており、飲食店は再び厳しい状況に陥っていると危惧しています。

コロナ禍では余計に許されない

これまでにも、ドタキャン(直前キャンセル)やノーショー(無断キャンセル)に関する記事を書いてきました。

忘年会や新年会のシーズンは予約が多くなるだけに、特にドタキャンやノーショーに対して注意を促してきたつもりです。

今年はコロナ禍の中にあるだけに、余計にドタキャンやノーショーには気を付けてもらいたいと考えています。

その理由を詳しく説明していきましょう。

営業時間が短くなっている

新型コロナウイルス感染拡大を受けて、飲食店は営業時間短縮を要請されています。大阪では21時まで、東京では22時まで、協力金はそれぞれ、1施設につき50万円と1事業者につき40万円。

協力金があるのはまだよいですが、2週間から3週間という長い期間なので、規模が大きな飲食店や客単価が高い飲食店であれば、この金額では足りません。しかし、感染が拡大するといけないからという配慮から、多くの飲食店が協力しているのです。

ドタキャンやノーショーが起きた時、何とかしてその席を埋められることもあります。ただ、突然不意に襲うという性格上、早い時間からドタキャンやノーショーの埋め合わせをすることは容易ではありません。

ましてや、営業時間が短くなっていれば、飲食店はますますその機会損失を挽回することが難しくなるでしょう。

したがって、営業時間が短縮されている飲食店でドタキャンやノーショーを行うことは、特に避けるべきことです。

客席が少なくなっている

新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、5月に「新しい生活様式」が発表されましたが、今ではだいぶ浸透し、一般的な認識になってきたのではないでしょうか。

大皿ではなく個別盛りにしたり、飲み物のお酌や回し飲みを控えたりすることは難しくありません。しかし、必ず横並びに座るようにし、会話を最低限に控えることは容易ではないでしょう。

また「Go To イート」に参加する飲食店が守るべき感染症対策として、テーブル間隔を2メートル空けることが推奨されていますが、よほどのグランメゾンでなければ不可能。最低でも1メートルとありますが、現実的な指標ではありません。

しかしそれでも、多くの飲食店は少しでもテーブル間隔を広げるために、席数を減らしています。

そして、これによって1席あたりの重要度が増しているので、これまでよりもドタキャンやノーショーの被害が大きくなっているのです。

席数が少なくなっているコロナ禍にあっては、1席あたりの責任が重くなっていることを自覚しなければなりません。

客単価が低くなっている

アルコールが入ると陽気になり、飛沫がたくさんでるという理由から、お酒が悪者のように指摘されることがあります。

営業時間が短くなったことから、コースではフルコースよりもショートコースを選んだり、アラカルトでは少なめの皿数しかオーダーできなかったりしてしまいがちです。

このように、料理もお酒もオーダーが少なくなってしまえば、当然のことながら客単価は低下してしまいます。

客単価が低くなっても、家賃や人件費が以前と同じであれば、当然のことながら利益は減ってしまいます。

飲食店は通常時に比べると薄利多売になっているので、少しでも多くの利益を上げるために、1人でも客を失うわけにはいきません。

そのため、ドタキャンやノーショーで機会を損失してしまうと非常に困るのです。

閑散期が目前

日本で新型コロナウイルスの感染が拡大し始めたのは、2020年2月くらいから。そこから事態は急激に悪化していき、4月の緊急事態宣言に至ったのは周知の事実です。

飲食店の書き入れ時は一般的に3月と4月の歓送迎会、そして忘年会の12月といわれています。反対に閑散期といれているのが2月と8月。1月や5月もあまりよくありません。

もちろん同じ飲食店であっても、業態や立地によって異なりますが、基本的にこの通りであると考えてよいでしょう。

新型コロナウイルスの影響で、飲食店は3月と4月の書き入れ時で売上を失いましたが、第3波のせいで、最大の書き入れ時である12月も十分な果実をもぎとることができません。

そして次に控えているのが、閑散期の1月と2月。

ドタキャンやノーショーを行えば、飲食店が極めて苦しい立場に置かれることはよく理解できるのではないでしょうか。

特に気をつけるべきこと

これまで、コロナ禍でドタキャンやノーショーを行うことは、いつも以上に飲食店を苦しめることになると説明してきました。

では、どのように気をつければよいのでしょうか。

1つ目は、幹事が責任をもって確認すること。ノーショーは絶対に行ってはなりませんが、ドタキャンもしないにこしたことはありません。加えて、人数の増減があればすぐに連絡することを、普段以上に徹底することが重要。全体を仕切っている幹事は、参加者としっかりコミュニケーションをとり、変化をいち早く察知るべきです。飲食店に必ず連絡をとってノーショーにならないようにし、人数の増減があれば少しでも早く連絡しなければなりません。

次に気をつけるべきことは、強制参加にしないこと。会社の上司と部下、プライベートの先輩・後輩など、上下関係がある場合には、忘年会や新年会に強制的に参加させられることがあります。明言されていなくても、暗黙的なプレッシャーや雰囲気があれば同じこと。

上下関係がなくとも、コロナ禍なので飲食店へ訪れることが気になる人もいるでしょう。できるだけ飲食店に訪れてもらいたいと思っていますが、気が進まずに参加を表明し、ドタキャンやノーショーするくらいであれば、最初から欠席した方がよいです。幹事はこういった時期であるからこそ、少しでも強制的なニュアンスを漂わせてはなりません。

最後は、やや消極的な選択肢ですが、テイクアウトやデリバリーも考えること。色々なことが気になり、ドタキャンやノーショーする可能性が高そうであれば、その飲食店でテイクアウトやデリバリーをオーダーした方がまだよいでしょう。

飲食店が復調するためには、店内飲食が活気を取り戻さなければなりません。しかし、ドタキャンやノーショーが発生すれば、飲食店は大きな損害を受けてしまうのです。そうなる可能性がありそうならば、最初から店内飲食ではない形で確実に飲食店の助けとなる手段を選ぶべきでしょう。

コロナ禍のドタキャンやノーショー

先行きがみえないコロナ禍において、ドタキャンやノーショーでさらに支出が増え、機会も損失するとなれば、飲食店の経営状況はより苛烈を極めていきます。

厳しい環境にある飲食店を助けるために、是非とも1人でも多くの方に食べに行ってもらいたいと思いますが、だからといってドタキャンとノーショーが許されるわけではありません。

これまで人類が直面したことがないコロナ禍にあって、当の飲食店だけではなく、飲食店を訪れる客も試されているのではないでしょうか。

飲食店を訪れる自由と責任を今一度噛み締めながら、楽しく外食してもらいたいと考えています。

グルメジャーナリスト

1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口で分かりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。

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