今年10周年を迎えた「東京ラーメンショー」成功の理由とは?
日本最大級のラーメンイベントが10周年
日本全国の人気ラーメン店が集結し自慢の一杯を提供するラーメンイベント『東京ラーメンショー2018』(主催:一般社団法人日本ラーメン協会・東京ラーメンショー2018実行委員会)が、今年も駒沢オリンピック公園中央広場にて開催されている(10月25日より11月4日まで)。2009年から毎年秋に開催されている東京ラーメンショーも今年で10周年。前半と後半で店舗が入れ替わり、全部で36杯のラーメンが登場する、名実ともに日本最大級のラーメンイベントになっている。
人気のラーメンがファン投票で「再登場」
10月31日より第2幕がスタートし、新たな18ブースが出店。北は北海道から南は九州まで、全国各地で愛されているラーメンを東京で一度に楽しむことが出来る。また、コラボレーションなどここでしか味わえないラーメンが食べられるのもラーメンショーの魅力のひとつ。今回も人気店がタッグを組んで新たなラーメンを創作しているほか、今回は10周年記念として、過去9回に登場したラーメンの中からファン投票によって選ばれたラーメンが「アンコール出店」という形で再登場しているのも話題になっている。
第2幕で連日一番人気となっているのが『蒙古タンメン中本』と『博多一風堂』の人気店によるコラボレーションラーメン。2010年に登場して人気を集めたラーメンがアンコール出店によって復活した。「頂上ラーメン 爆うま!!」と名付けられたラーメンは、蒙古タンメン中本の特徴である「辛味」と、博多一風堂の特徴である「シルキー豚骨」が融合した辛旨ラーメン。肉厚のチャーシューもたっぷり乗って、野菜も麺と同じだけの量が乗るというボリューム感のある一杯になっている。
「ラーメンショーは商売ではなくて『お祭り』。だから、正直なところ原価はあまり考えていません。日頃の感謝を伝えてお客様に喜んでもらうのがテーマです」(博多一風堂 創業者 河原成美氏)
新たな施策を打ち出しマンネリを防ぐ
2009年の第1回目から10年が経った今年も、会場には多くの人が詰めかける人気のラーメンイベントとなっている東京ラーメンショー。都市型フードイベントとしては先駆的な存在だが、この10年で『大つけ麺博』をはじめとするラーメンイベントや、『肉フェス』などのフードイベントが都内や関東近県でも増えたこともあり、ここ数年は客足も停滞気味だった。しかし今年は例年よりも2割増の動員を維持しているという。なぜ東京ラーメンショーは10年経った今も人気を集めているのだろうか。
東京ラーメンショーではマンネリを防ぐために、昨年より新たな施策を次々と投入している。ラーメンを食べた人がお気に入りの一杯を選ぶ人気投票「東京ラーメンショーグランプリ」や、東京ラーメンショーのロゴが入ったラーメン丼でラーメンが食べられて、丼はお土産として持ち帰ることが出来る「スーベニア丼&ラーメンチケットセット」(一セット2,000円/一日30セット限定)も好評だ。
他にもアイドルやミュージシャンのライブや、ステージでのトークショーなど様々なイベントを行うことで、ラーメンを食べるだけではない楽しみを提供。また、年々増えて来ている外国人観光客への対応として英語版のガイドマップを配布するなど、インバウンド対策も進めている。ラーメンファンだけではなく、幅広い客層への地道なアプローチが好調な動員に寄与していると言えるだろう。
ちょい呑みやレディースタイムで「夜」の動員が増加
さらに、これまで弱かった夜の動員を強化すべく様々な企画をスタートさせている。昨年よりはじまった「レディースサービスタイム」では、開催期間中の平日17:00よりトッピングやドリンクに使える100円クーポンを先着400名の女性限定で配布するほか、女性専用のイートインスペース「レディースエリア」の設置、さらには紙エプロンの用意など、女性客向けの施策を手厚くしたサービスを導入した。
さらに今年からは、ビールやハイボールなどを提供する「ちょい飲み処 なると亭」を設置。赤坂の人気餃子ダイニング『GYOZA IT.』とのコラボレーションで、焼きたての餃子も楽しむことが出来るようになり、会社帰りのサラリーマン客などが立ち呑み感覚で利用している姿が見られた。これらの施策はこれまで動員が弱かった夜間や、女性客へのアプローチとして効果が出ており「新施策はおかげさまでどれも好評で、今年は例年よりも夜の動員も増えています」(東京ラーメンショー2018実行委員長 大崎裕史氏)という。
11年目に向けた東京ラーメンショーの課題
これらの新しい施策を導入するなど、マンネリを打破して進化し続けることで10年という長い期間人気を保ち続けた東京ラーメンショー。今年の動員が好調なのはこれらの新施策の効果ももちろんあるだろうが、今年は10周年というメモリアルイヤーだったこともあり、例年以上にメディア露出が多かったこと、さらに例年だと台風や荒天とぶつかることが多かったが、今年は連日好天続きだったことも客足が伸びた要因になっていると考えられる。いずれにせよ、10年目の東京ラーメンショーは「大成功」と言っていいだろう。
11年目に向けてさらに魅力的なラーメンイベントとなっていくには何が必要なのだろうか。言うまでもなく東京ラーメンショーの主役は「ラーメン」である。今年の第1幕では18種類のラーメンのうち1/3の6種類が海老や蟹などの甲殻類を使ったラーメンが並ぶなど、ラーメンのラインナップにはやや疑問を感じたのも事実だ。またイベントに不慣れなラーメン店の提供スピードの遅さなども運営側のサポートなどで改善する必要があろう。さらに食べ終わった丼などを放置する来場者も少なくなく、マナーの意識向上も問われている。
「来場されるお客様に美味しいラーメンで喜んで頂くのが東京ラーメンショー。今年出た反省点を踏まえて、来年はもっと良いイベントにしていかなければならないと思っています」(東京ラーメンショー2018実行委員会 宮内孝典氏)
『東京ラーメンショー2018』は11月4日まで、駒沢オリンピック公園中央広場にて毎日10:00~21:00(4日は~18:00終了予定)で開催中。会場への入場は無料で入退場ともに自由。ラーメンを購入するには、前売りまたは当日会場内の販売所にてあらかじめラーメンチケットを購入する必要がある(一枚850円)。ラーメンチケットは好きなラーメン一杯と交換が可能で、追加のトッピングなどはブースごとに現金で支払う。ぜひ自分好みのラーメンを見つけに、10周年を迎えた東京ラーメンショーに足を運んで頂きたい。
※追記(11/4):3日に約30,000杯のラーメンが提供されたことにより、4日は各ブースとも18:00よりも前に売り切れる可能性があります。足を運ばれる方は早めの来場をお勧めします。
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※写真は筆者の撮影によるものです。