Yahoo!ニュース

日本最大級のラーメンイベント「東京ラーメンショー」が進化した5つのポイントとは?

山路力也フードジャーナリスト
毎年秋に駒沢オリンピック公園で開催される日本最大級のラーメンイベント。

日本最大級のラーメンイベントが今年も

 日本全国の人気ラーメン店が集結し自慢の一杯を提供する人気ラーメンイベント「東京ラーメンショー2017」(主催:一般社団法人日本ラーメン協会・東京ラーメンショー2017実行委員会)が、今年も駒沢オリンピック公園中央広場にて開催されている(10月26日より11月5日まで)。2009年から毎年秋に開催されている東京ラーメンショーも9年目。前半後半でブースが入れ替わり、全部で36杯のラーメンが登場する、名実ともに日本最大級のラーメンイベントになっている。

第2幕では久留米の老舗「大砲ラーメン」と世界展開する「一風堂」がコラボレーションし、久留米豚骨ラーメン80周年を記念した一杯を提供。
第2幕では久留米の老舗「大砲ラーメン」と世界展開する「一風堂」がコラボレーションし、久留米豚骨ラーメン80周年を記念した一杯を提供。

 11月1日より第2幕がスタートし、新たな18ブースが出店。北は北海道から南は九州まで、さらには海外の店舗も登場し、全国各地で愛されている味を東京で楽しむことができる。また、コラボレーションなどここでしか味わえないラーメンが食べられるのもラーメンショーの魅力のひとつ。今回も人気店がタッグを組んで新たなラーメンを創作しているほか、主催する日本ラーメン協会の会員店によるご当地ラーメンの再現も話題になっている。

今年の東京ラーメンショー5つの新施策とは

 日本最大級を謳う一大ラーメンイベントである「東京ラーメンショー」だが、最初に開催した2009年から8年が経ったことで周囲の状況も激変している。「大つけ麺博」をはじめとするラーメンイベントが都内や関東近県でも増えたことや、外国人観光客の急激な増加、さらにはスマートフォンの普及によるライフスタイルの転換などである。そこで今年の東京ラーメンショーでは今の時代のニーズに対応すべく、新たな施策がいくつも導入されアップデートされている。

ラーメンチケットの半券を食べて美味しかった店に投票する「東京ラーメンショーグランプリ2017」。
ラーメンチケットの半券を食べて美味しかった店に投票する「東京ラーメンショーグランプリ2017」。

『1:人気投票システムの導入』  今年から導入されて話題になっているのが「東京ラーメンショーグランプリ2017」である。これはラーメンチケットの半券を食べて美味しかった店の投票箱に入れる「人気投票」で、第1幕第2幕それぞれで上位3ブースが発表されるという企画。

 東京ラーメンショー2017実行委員会の宮内孝典さんによると、毎年「どこのラーメンが良かったのか?」と聞かれることが多く、ランキングをつけて欲しいという客からのニーズも多かったので企画したとのこと。同様の施策はかつて「大つけ麺博」でも取り入れられて話題を集めたが、今回の東京ラーメンショーグランプリもSNS上やメディアの反応がとても良いという。

『2:女性客へのサービス充実』  開催期間中の平日17:00より「レディースサービスタイム」を導入。限定でトッピングやドリンクに使える100円クーポンを先着400名の女性限定で配布するほか、女性専用のイートインスペース「レディースエリア」の設置、さらには紙エプロンの用意など、女性客向けの施策を手厚くした。ここ数年でラーメンイベントに女性一人や女性だけのグループ客が増えていることへの対応だが、男性だけではなく女性にも多くラーメン店に足を運んで欲しいという店側の思いと、寒い季節の屋外イベントということもあり、どうしても平日夜の集客が弱くなることへの対策という運営側の思いも合致している。

年々増える外国人来場者向けに英語版のガイドマップを配布。
年々増える外国人来場者向けに英語版のガイドマップを配布。

『3:インバウンド対応』  年々増えている外国人来場者向けに今年より英語版のガイドマップを配布している。政府の観光促進政策によって年々増えている外国人観光客だが、外国人のあいだでもラーメンはブームになっている。東京ラーメンショーでもアジア圏や欧米圏など幅広いエリアからの外国人観光客が多数来場するといい、今年は一日100組ほどの外国人来場者がいるという(前出:宮内さん)。マップにはラーメンの写真と味、麺の太さ、スープの濃さなどが記されており、自分の好みの味にたどりつける工夫がなされている。

『4:SNS対策』  これまでも公式アカウントなどでSNSの発信をしてきた東京ラーメンショーだが、今年より東京ラーメンショーの情報や魅力を発信する「東京ラーメンショー2017公式アンバサダー」を設置し、多数の応募者の中から90名が公式アンバサダーに就任し、情報発信を行っている。運営側からではない客目線、ラーメンファン目線での情報拡散と共に、ラーメンショーを一緒に盛り上げているという一体感が感じられ、ラーメンショーファンを増やす意味でも効果的な施策になっている。

『5:スーベニア丼』  「ラーメンショーでの美味しい思い出を持ち帰って欲しい」(前出:宮内さん)という思いから企画されたのが、東京ラーメンショーのロゴが入ったラーメン丼「スーベニア丼」。「スーベニア丼&ラーメンチケットセット」(一セット2.000円/一日30セット限定)という形で販売される。この丼とチケットを好きなラーメンブースに持参すると、その丼でラーメンを作ってもらえる。テーマパークなどでもロゴやキャラクターの入った器とフードがセットになったスーベニア(おみやげ)フードが人気だが、ここでしか手に入らないラーメンショーのロゴ入り丼とあって、ラーメンファンを中心に評判も上々のようだ。

ラーメンの楽しさをぜひ感じて欲しい

 東京ラーメンショー2017実行委員長で、ラーメン評論家の大崎裕史さんはこう語る。「ラーメンの『美味しさ、楽しさ、面白さ』を体感出来るイベントにしたいと、一年かけて準備をしてきました。今回導入した新施策はおかげさまでどれも好評で、グランプリは多くの方が楽しんで投票して下さっていますし、レディースタイムの反応は私の予想以上の好評を頂いています。色々なラーメンを一度に食べられるのがラーメンショーの楽しさなので、ぜひお友達やご家族など複数で来場して頂いてシェアしながら一種類でも多くラーメンを食べて、ラーメンショーを楽しんで頂けたらと思っています」

 「東京ラーメンショー2017」は11月5日まで、駒沢オリンピック公園中央広場にて毎日10:00~21:00(5日は~18:00終了予定)で開催中。雨天でも台風などの荒天以外は原則として開催されている。会場への入場は無料で、入退場ともに自由。ラーメンを購入するには、前売りまたは当日会場内の販売所にてあらかじめラーメンチケットを購入する必要がある(一枚850円)。ラーメンチケットは好きなラーメン一杯と交換が可能で、追加のトッピングなどはブースごとに現金で支払う。なお、チケットは期間内ならいつでも使うことが可能だ。ぜひ自分好みのラーメンを見つけに、パワーアップした東京ラーメンショーに足を運んで頂きたい。

フードジャーナリスト

フードジャーナリスト/ラーメン評論家/かき氷評論家 著書『トーキョーノスタルジックラーメン』『ラーメンマップ千葉』他/連載『シティ情報Fukuoka』/テレビ『郷愁の街角ラーメン』(BS-TBS)『マツコ&有吉 かりそめ天国』(テレビ朝日)『ABEMA Prime』(ABEMA TV)他/オンラインサロン『山路力也の飲食店戦略ゼミ』(DMM.com)/音声メディア『美味しいラジオ』(Voicy)/ウェブ『トーキョーラーメン会議』『千葉拉麺通信』『福岡ラーメン通信』他/飲食店プロデュース・コンサルティング/「作り手の顔が見える料理」を愛し「その料理が美味しい理由」を考えながら様々な媒体で活動中。

山路力也の最近の記事