目の前に広がる太平洋の大パノラマ! 土讃線 安和駅(高知県須崎市)
香川県の多度津駅から高知県の窪川駅までを結ぶ四国の大動脈・土讃線は須崎市内で太平洋に沿って走る。土讃線は198.7キロメートルにも及ぶ長い路線だが、そのほとんどが内陸部を走っているので、海を走る区間はほんの一瞬と言っていい。そんな貴重な海沿い区間にあるのが安和(あわ)駅だ。
ホームに降り立つと、太平洋の大パノラマが迎えてくれる。遮るものはなにもない。同じ四国にある予讃線(愛ある伊予灘線)の下灘駅よりも海に近いのではないだろうか。
ホームの向かいには椰子の木が植えられていて南国らしい雰囲気だ。高知県にある安和駅は本州最南端の潮岬よりも緯度の低い位置にあるので、当然気候は温暖だ。
駅から見える海岸は駅名と同じ「安和海岸」という。湾の奥にあるので、多島海のような雰囲気も感じられる。ただし、外洋の太平洋なので、瀬戸内海と比べて海は荒々しい。
安和駅の開業は、昭和14(1939)年11月15日。当初は有人駅だったが、昭和45(1970)年10月1日に無人化されている。駅舎は無人化後に撤去され、ホームも今は一本だけだ。駅周辺は明治の町村制で高岡郡新荘村(→須崎町→須崎市)が成立するまでは高岡郡安和村だった。
駅舎に替わって設置された待合所には、平成26(2014)年11月24日に「らぶらぶベンチ」が設置された。座る部分が中心に向かって傾斜しており、二人で座ると自然と引っ付いてしまうというベンチだ。JR四国では他に予土線江川崎駅、土讃線坪尻駅、大歩危駅、予讃線下灘駅にも設置されている。観光客でいつも賑わっている下灘駅と違い、安和駅は朝夕を除けば人もおらず静かな雰囲気だ。二人きりで海を見ながら過ごすにはうってつけの穴場と言えるだろう。