子どもを叱る7つのポイントとよくない叱り方~元保育士パパが考える【子どもの上手な叱り方】
子育てをしていると、悩んだり迷ったりすることは誰でもあると思います。初めての子育てをしている人はもちろん、子どもを何人か育てた経験がある人でも子育ての正解はわからないと感じている人は多いのではないでしょうか。
子育ての悩みでよく挙がるのは、子どもの叱り方についての悩みです。一口に“叱り方の悩み”と言っても、「イライラして感情的に叱ってしまう」という人から「子どもの叱り方がわからない」「どんなときに叱ってよいのかわからない」という人などいろいろな悩みがあります。そもそも子育てで子どもを叱ったほうがよいのか、叱らないで育てたほうがよいのかわからないという人もいるでしょう。
今回の記事では、子どもの叱り方について解説します。各家庭によって教育方針は異なり、また子どもの性格やその場面においても叱ったほうがよいのか、どんな叱り方が適切なのかということは違うでしょう。ぜひ記事を参考にして、皆さんも叱り方について考えていただけたらと思います。
子どもを叱ったほうがよいの?
親は子どもを叱ったほうがよいのでしょうか。それとも叱らないほうがよいのでしょうか。
叱らないで済むなら叱らないほうがよいでしょう。子どもを叱りたいと思う親はいないと思います。叱らずに子育てができるなら、それに越したことはありません。
いろいろな性格の子どもがいるので、元気いっぱいやんちゃな子もいれば、おとなしい子もいます。一般的に元気のよい子は騒がしくしたりいたずらをしたりして注意されることが多く、おとなしい子はあまり注意されることはありません。
しかし“叱らない子育て”というのは、子どもを叱られないおとなしい子に育てるということではありません。子どもが悪いことをしても、何も言わないのも違います。
まずは普段から、叱らないで済むような子育てを心掛けましょう。(叱らないで済む方法については、子どもを叱らずに済む3つの方法~元保育士パパが考える【子どもを叱らない子育て】で解説しています。)
叱る必要があるときには叱り方に気を付けることと、その後のフォローを大切にしましょう。
子どもを叱るのはどんなとき?
各家庭それぞれに教育方針があるはずです。家庭の中で、子どもに身につけてほしいことや子育てにおいて大切にしたいことなどを明確にし、日頃からお子さんに伝えていくようにしましょう。よくないのは、「お父さんは注意するけどお母さんは何も言わない」「お父さんとお母さんで言うことが真逆」「子育てのことで、子どもの前で夫婦喧嘩をする」など、家庭の中で大人によって言うことが異なることです。そのときの親の機嫌で、同じことでも注意したりしなかったり一貫していないのもよくありません。
どんなときに子どもを叱るか、一般的に言われていることを2つ紹介します。
子どもを叱るとき① 危険なとき
親は子どもの命を守らなければなりません。しかし、いつも一緒にいて子どもを守ってあげられるわけではありません。子どもは経験や体験を重ねて危ないことを覚えていきます。何もケガをしないように危険が全くない環境だと安心ですが、ときには痛い目に遭って身をもって体験することも必要でしょう。
体験や経験も必要ですが、日頃から危険なことを伝えていくことも大切です。しかし、子どもは1度言われたことをすべて忘れず覚えていられません。「道路に飛び出さないこと」「信号を守ること」「親のそばから離れて1人で行かない」などの約束ごとを日頃から伝えていても、つい何かに夢中になると忘れてしまうこともあるでしょう。
命の危険につながるようなときは、危険だということを子どもが理解できるように真剣に伝えることが必要です。叱るというよりも、「大切なあなたの命がなくなったらお父さんもお母さんもどんなに悲しいか」「お父さん、お母さんにとってあなたはどんなに大切な存在か」ということをしっかりと伝えましょう。
子どもを叱るとき② 他人を傷つけたとき
人に迷惑をかけてはいけないということも、人が生きていくうえで大切なことです。「静かにしなくてはいけない公共の場所で騒ぐ」「心を傷つける(人が傷つくことを言う)」「身体的に傷つける(叩いたり噛みついたりする)」「弱い者いじめをする」など、子どもが人に迷惑をかけてしまったときは「どうしてその行為がいけないのか」「相手はどんな気持ちになるのか」「人に迷惑をかけたら謝らなくてはいけない」ということを、子どもが理解できるように伝えましょう。
“よい叱り方”と“よくない叱り方”
一般的に言われている子どもを叱る事例を2つ紹介しましたが、子どもを叱るのはこの2つのときくらいしかないとも言えるでしょう。次に“よい叱り方”と“よくない叱り方”を紹介します。
よい叱り方① 親の感情をぶつけない
「“怒る”と“叱る”は違う」とよく言われます。“怒る”とは“怒り”という感情をぶつけることで、自分のための行為と言えるでしょう。そして“叱る”は、相手のことを思って、今後のために冷静に伝えることです。まずは2つの違い理解し、子どもに向き合うときに意識しましょう。
もし、子ども行為に対して“怒り”の感情が沸き起こってしまったら、怒りの感情をそのままぶつけずに冷静になるよう努力することが大切です。怒りをコントロールする“アンガーマネジメント”のテクニックでは、怒りの感情が沸き起こったときには6秒待つとよいと言われています。
よい叱り方② 子どもの気持ちに寄り添う
よくない行為を一方的に否定するのではなく、まずは子どもの言い分を聞きましょう。「その行為が悪いとわかっていなかった」「よくない行為だとわかっていたのにふざけてやった」「よくない行為をするのに理由があった」など、さまざまなケースがあります。
友だちと喧嘩になり、叩いたり噛みついたりしてしまったら、相手が痛かったことや謝らなくてはならないことを伝えなくてはなりません。しかし、相手の友だちから傷つけるようなことを言われるなど、何かしら理由がある場合が多くあります。子ども自身も自分のしてしまったことがよくないことだと理解し、十分反省しているかもしれません。頭ごなしに叱る前に子どもの話に耳を傾け、子どもの気持ちに寄り添いましょう。
よい叱り方③ 真剣に伝える
“叱る”というよりも“伝える”“子どもに真剣に向き合う”という解釈をするとよいでしょう。伝え方のポイントは、短い言葉で簡潔に伝えること。子どもが理解できるまで、ついくどくどと話してしまいがちですが、長く話しても子どもは理解できないばかりか子どもを追い詰めてしまうこともあります。子どもにわかりやすく伝える工夫が必要ですが、そのときに子供が理解できていないとしても長く話すことは避けましょう。
よい叱り方④ そのときに“伝える”
時間が経ってから伝えるのではなく、そのときに伝えることが大切です。しかし、子どもが泣いていたり興奮していたりするときは、一生懸命話しても子どもは理解できないでしょう。そんなときは、子どもが落ち着くのを待ってから伝えたほうがよい場合もあります。
よい叱り方⑤ 理由を伝える
子どもは「なぜ叱られているのか」「何がいけなかったのか」が理解できなければ、同じことを繰り返すでしょう。その行為がなぜいけないのか、理由をきちんと伝えましょう。
よい叱り方⑥ 子どもに考えさせる
親が一方的に話すだけではなく、子ども自身に考えさせることも大切です。年齢や内容にもよりますが、「どうすればよかったのか」「今後どうしたらよいか」など子どもに問いかけたり一緒に考えたりしましょう。
よい叱り方⑦ 叱った後のフォローをする
叱りっ放しではなく、叱った後は「子どもを抱きしめる」「大好きだと伝える」など、しっかりとフォローすることが大切です。「あなたのことが大切だから、あなたのために伝えたのだ」ということが子どもに理解できるようにしましょう。
親も人間なので、感情的になってしまったり言いすぎてしまったりすることもあるでしょう。そんなときは、子どもに対し「ちょっと言いすぎちゃった」「怒りすぎてごめんね」など、素直に謝りましょう。親も間違えてしまうことがあるということがわかると、子どもは安心できます。そして、よくないことがあったらちゃんと謝るというお手本にもなります。
よくない叱り方
前述した通り、感情的になってはいけません。そのほかには、以下の点に注意しましょう。
- 大声で怒鳴る
- 頭ごなしに怒る
- 人格を否定するようなことを言う
- ほかの子と比較する
- 同じことを何度も言う
- 時間が経ってからも言う
- 気分によって言ったり言わなかったりする
まとめ
子どもに叱り方について解説しました。子どもの性格によっても、受け止め方は違います。親に叱られてもあまり堪えず平気という子もいれば、少し注意されただけでとても落ち込んでしまうという子もいるでしょう。その子の性格にも合わせて、言い方などを変えたり工夫したりすることも必要です。
子どもを叱るのは奥深く難しいことで、エネルギーも必要です。子どもを叱るときに、うまくいかないことや反省することもあるかもしれません。しかし、“怒り”の感情ではなく、“叱る”よりも”伝える“”理解させる“ということを意識して、失敗を繰り返しながら子どもとともに成長する気持ちで向き合いましょう。