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隅田川花火のテレビ中継に思う

森田正光気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ会長
気象庁レーダー(平成25年7月27日20時00分)

土曜日の隅田川花火大会中止は残念でした。隅田川に限らず、関東地方では浦安をはじめ、十数か所で花火大会があったようですが、レーダー画像から判断すると、その多くの大会は雷雨の影響を受けたと考えられます。

隅田川の大会は、開始34分ほどで中止になり、まだ140 00発の花火を残したままだったということですから、関係者の方のご心情をお察しします。

ところで、この花火大会はテレビ東京で生中継されており、私も拝見していました。

当日の日中は晴れており、午後から急激に大雷雨になったわけですが、予報としては前日から雷雨の注意喚起を呼びかけており、かなり正確に当たったといえるでしょう。

当日の気象担当者は、大会途中で大雨が降ることを認識していたでしょうから、たぶん忸怩たる思いで開催を決定したのだろうと思いますが、その後の実況監視からの中止判断は的確だったと思います。

ある意味天気予報は 、こういう場面を想定してどう行動するかを事前に決めておくことに意義があるのでしょう。

ただ、今回のテレビ東京の生中継に関して言えば、私は一つだけ不満がありました。この大雷雨は予想出来ていたわけですから、事前に気象キャスターを手配しておいて、適宜、気象解説を入れるべきではなかったでしょうか。また去年の花火シーンよりも、いま現在降っている大雷雨をこそ、生中継することのほうに意義があるように思いました。

視聴率グラフをみると、中止になって生でない映像が出るようになってから、視聴者も離れていったようにも思われます。つまり、多くの人にとってはいま起きていることをそのまま伝えてもらうことが、生放送のメリットだと言えるのではないでしょうか。

それでもゲストの、中村獅童さんが「一生忘れません・・・」とおっしゃったのと、樹木希林さんの「笑うしかないですね・・」というコメントは秀逸でした。

途中中止は初めてということですが、天気関係者も、今回のような事例は頭に入れておいた方がいいと思います。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ会長

1950年名古屋市生まれ。日本気象協会に入り、東海本部、東京本部勤務を経て41歳で独立、フリーのお天気キャスターとなる。1992年、民間気象会社ウェザーマップを設立。テレビやラジオでの気象解説のほか講演活動、執筆などを行っている。天気と社会現象の関わりについて、見聞きしたこと、思うことを述べていきたい。2017年8月『天気のしくみ ―雲のでき方からオーロラの正体まで― 』(共立出版)という本を出版しました。

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