「鈴木武蔵はしゃべりがうまくて安心感がある」コンサドーレの社長が語る今年飛躍した2選手の評価
株式会社コンサドーレ代表取締役社長CEO、野々村芳和氏へのインタビュー連載コラム。鈴木武蔵選手、進藤亮佑選手に対する評価について話を伺った(取材日:2019年12月11日)。
進藤亮佑の評価は「まだまだ」
アシシ:このオフシーズン、北海道のメディアだったりイベントだったりに進藤(亮佑)選手が出演しているのを多く見かけます。
野々村:進藤は地元が北海道だからではないですか。オフシーズンになるとみんな、実家に帰ったり海外に行ったり、道外に出ちゃいますから。
アシシ:それもあるとは思いますけど、日本代表に選ばれてからというもの、進藤はコンサドーレの看板選手みたいになってきましたね。
野々村:彼がコンサドーレの看板だとは全く思っていませんよ(笑)。
アシシ:なんと。進藤に対して社長は厳しめの評価ですか。
野々村:別に厳しいってことでもないけれど、チームの顔になるまでは、まだまだだろうなとは思っています。将来的には看板選手になってほしいですけど。
アシシ:あの進藤が日本代表に選ばれたのは、社長としてもサプライズだったんではないですか?
野々村:サプライズといえばサプライズですね。ただこの時期はワールドカップまでだいぶ時間があって、若い選手で可能性があると思われる選手は、結構呼ばれるタイミングだから、その中の1人というふうに僕は思っています。
アシシ:進藤のメディア対応などを見ていると、うまい返しをしたり、メディアが喜ぶような発言をしたり、喋りに関してはすごく上手な選手だなと感じます。
野々村:そうだとは思いますが、どこかで1回や2回、痛い目にあうと思いますよ。
アシシ:進藤は既に10月にツイッターで炎上して、謝罪ツイートしてましたね(笑)。
野々村:そうなんですね。普段のコミュニケーションの仕方を見ていると、そういうリスクはあるなと感じます。
アシシ:メディア対応の仕方などを社長が直々に伝授する、なんてことはクラブ内でやったりするんですか?
野々村:特にメディア対応に関して自ら何かを選手に対して言うことはほとんどないですけれども、普段の会話の中で、例えば目上の人に対してのリスペクトが足りないようなことがもしあったなら、それは彼がギャグで言ったとしても、がつんと怒ることはあります。
アシシ:そういったことが今まであったと。
野々村:彼はそういう返しをするタイプではないですか。
アシシ:空気を読まないキャラではありますよね。
野々村:でもそれはプロ生活の中で多分、直っていくというか磨かれていくことですから、そうやって失敗することに関しては問題ないと思っています。
鈴木武蔵のメディア対応には安心感がある
アシシ:(鈴木)武蔵のメディア対応はどう評価されますか?
野々村:武蔵も喋りがうまいですよね。武蔵のほうが安心感はあります。彼は結構、礼儀的な部分がしっかりしていますから。
アシシ:E-1選手権で日本代表初ゴールを決めた試合のヒーローインタビューで「コンサドーレあっての自分なので」と武蔵は発言していました。サポーターが喜ぶ内容をしっかりわかってますよね。
野々村:でも多分彼は、本当にそう思っているのではないかと思います。やはりミシャ(ペトロヴィッチ監督)の下で今のサッカーをやっているから良く見えるというところが、絶対あると思うのです。
アシシ: ミシャの指導のおかげで代表になれたと。
野々村:その点は菅(大輝)も進藤も同じように思っているはずです。
0円提示無しはクラブ史上初
アシシ:今季はまだ0円提示の選手が出ていませんよね。
野々村:今年はいないですね。
アシシ:クラブ史上初ではないですか。
野々村:たぶんそうだと思います。他のクラブでもあまり聞いたことがありませんよね。
アシシ:投資に例えるなら、「損切り」を一切しないということですよね。試合に出られていない選手はほぼ若手で、今後のポテンシャルを買われているわけで、コストに対する稼働率という観点でいくと、非常にパフォーマンスが高いと感じます。来季に向けて、新たな戦力を獲得する意向はありますか?
野々村:来季加入が内定している大卒の3選手(田中駿汰、金子拓郎、高嶺朋樹)以外に、誰か新たに獲ろうという話は今のところないですね。主力が移籍してしまったら、その穴を埋める補強は動くと思いますが。
アシシ:去年のように大金を積まれて選手を強奪されるようなことは、このオフシーズン、ありそうですか?
野々村:オファーがひとつもない、なんてことはありませんが、現状はみんな、来季もコンサドーレでやりたいと思ってくれている、という感触ですね。
アシシ:では、今いる選手にプラスアルファの大卒ルーキー3選手で2020年シーズンは戦っていくと。
野々村:基本路線はそうですね。
2020年は重要なシーズンになる
アシシ:ピッチ以外のことも聞きたいのですが、来季に向けた経営者としての抱負を聞かせてください。
野々村:外からはなかなか見えないことかもしれませんが、このクラブが次のステージに進んでいくための体制を、僕がしっかり作っていきたいなと考えています。
アシシ:次のステージというのは、具体的に言うとどういうことですか。
野々村:クラブのサイズをもうワンランク上げて、少しでも勝率を上げられる体制を取りたいです。来年がひとつ勝負の年だと思っています。
アシシ:経営という観点で行くと、今季はラグビーW杯で札幌ドームが使えない時期があり、今度は来季、オリンピックで札幌ドームが夏に使えません。今年来年と種をまいて、2021年以降、札幌ドームがフル活用できる時期に、そこから出てきた芽を収穫していくイメージですか?
野々村:そうですね。ピッチレベルでの、何位になるとかは現場に任せていますが、クラブにとって2020年は結構大事なシーズンになると思うので、そちらはみなさんにわかりやすく何かが見えることはないかもしれないけれども、もう1度気を引き締めてやっていきたいなと考えています。
(第2回 了)