Jリーグの2023年の観客動員数を集計してみた
明治安田生命Jリーグの2023年シーズンのリーグ戦日程が終了した。リーグ戦に限定した観客動員数をひとつの指標として、2023年のJリーグを振り返ってみたい。
まずはJ1リーグの動員数を見てみよう(以下、データの出典元:J.LEAGUE Data Site、表は筆者作成)。
J1リーグの平均観客数は2019年と比べて8.5%減
こういったデータ分析は前年との比較を行うのが通例だが、2020年~2022年はコロナ禍による入場制限があり、前提条件が異なるため、コロナ禍の制限がなかった4年前、2019年のデータと比べる。下地グレーは2019年に所属していたカテゴリーが2023年と異なることを示している。
J1全体では、2019年シーズンと比べて観客動員数が合計537,694人減少した。2019年はJリーグ史上最多の動員を誇ったシーズンだったが、そこからコロナ禍を経て、減少率を8.5%に食い止めたのは、十分健闘した結果と言えるのではないか?
18クラブ中、2019年より平均観客数を増やしたのは10クラブ。上昇率トップとなる京都は新たに建設されたスタジアムの効果が絶大だったと言えるだろう。
J2も微減、J3は25.3%アップ
続いてJ2リーグ。
2019年のデータが「-」となっているクラブは、2020年以降Jリーグに参入したチームとなる。
J2の平均動員数は2019年と比較して、3.8%減となった。22クラブ中、2019年より平均観客数を増やしたのは9クラブ。J2優勝を果たした町田は2019年比でJ2リーグ中ベスト3に入る伸び率だった。
J3は、観客動員数の平均が25.3%の大幅アップとなった。
20クラブ中、2019年より平均観客数を増やしたのは6クラブだったが、Jリーグ屈指の動員力を誇る松本が今年J3所属だった点も大きく影響した(松本は2019年、Jリーグ全体でも11位の動員力があった)。
J1、J2、J3全体での平均観客数は8.7%減
最後に60チーム全体の表を作成した(平均観客数の順で並び替えてみた)。
まずは1位から30位まで。
続いて31位から60位まで。
J1、J2、J3全体の観客動員数平均は2019年比で8.7%減となった。
全60クラブ中、2019年より平均観客数を増やしたのは25チーム。動員を減らしたのは30チーム(残りの5クラブは新規参入クラブ)。
クラブ個別に見ていくと、コロナ禍前より観客を増やしているクラブが25/55=約45%も存在する点は評価すべきであろう。
COVID-19が日本国内で2類相当から5類感染症という位置付けに変わったのが2023年5月。そういう意味では、2023年シーズンの序盤はまだコロナ禍の影響を受けていた時期とも言える。
2024年シーズンに向けて、コロナ禍の影響で離れてしまった顧客をいかに取り戻すかがJリーグの経営課題とも言えるだろう。
来季以降、各クラブがテコ入れ策としてどのような経営施策を打ち出してくるか注目したい。