コンサドーレの2023年をデータで振り返る 後半戦失速の理由は?
北海道コンサドーレ札幌は明治安田生命J1リーグの2023年シーズンを12位で終えた。
ミハイロ・ペトロヴィッチ監督(愛称ミシャ)が札幌の指揮を執るようになって6シーズンが経過したが、この6年間の成績を一覧化すると以下のようになる。
6シーズンの中で、今季は最多得点&最多失点となった。初年度こそACL出場権争いに加わることができたが、それ以降は5年連続10~12位の中位レンジに収まる形となっている。
今年のコンサドーレの順位変動は以下の通りだ。
シーズン前半で7勝5分5敗、勝ち点26を獲得していたのに、シーズン後半で3勝5分9敗、獲得した勝ち点は14(前半戦の勝ち点のほぼ半分)にとどまり、後半戦で大きく失速した格好となった。
後半戦で失速した理由
後半戦に低迷した要因としては、ドリブルポイントがJ1リーグで最多を誇るMF金子拓郎が、夏の中断期間に海外移籍してしまったことが挙げられる。
金子は1対1の局面でボールを受けることができれば、ほぼドリブルで仕掛けて、圧倒的な勝率で相手DFを翻弄できる逸材だった。サイドをえぐってクロスもあげられるし、内に切り返してフィニッシュも行けるし、彼が右WBでスタメンした試合では、ほぼ右サイドを「制圧」できていた。
後半戦で思うように勝ち点を積み重ねることができなくなった要因は、金子拓郎という攻撃の大黒柱を夏に失った点が極めて大きいと言えるだろう。
その他にも夏の移籍ウインドウが開いている間に、FW中島、GKクソンユン、MF田中宏、DF西が他クラブへ移籍し、計5人がOutしたのに対して、InしたのはGK高木のみだった。
更に怪我人増加、累積警告による出場停止、アンダー世代の日本代表招集などが重なった第29節では、フィールドプレーヤーが足りなくなる非常事態となり、GK2人がベンチ入りする異例の出来事が起きた。
夏のウインドウで失った戦力を的確に補強できなかった点も、後半戦失速の要因ととらえることができるだろう。
フロントとサポーターとで目線を再度合わせることが重要
J1とJ2を行ったり来たりすることで、「エレベータークラブ」と揶揄されていた時代を知っているサポーターからすると、来季で8年連続J1となる今のチーム状態は非常に素晴らしい成果とも言える。
ただ2018年のACL圏争い、2019年のルヴァン杯ファイナリストという実績を見ると、最近の「万年中位」の札幌は物足りなく感じることも事実だ。
実際にシーズン終盤には札幌ゴール裏からフロントへのリクエストメッセージが描かれた横断幕が掲げられた。
ここ数年、クラブの現在地とサポーターの期待値に乖離が生まれてきているのを実感する。
2015年に当時社長だった野々村芳和氏が「コンサドーレの未来を考える会」を開催し、経営規模(予算)と順位が比例する点、現状の札幌の予算規模はまだJ1に上がれない点を実際のデータを出しながら、懇切丁寧にサポーターに説明してくれた。
あれから8年が経った。今一度、フロントとサポーターが目線を合わせる必要があるように筆者は感じる。
とはいえ、当時の野々村氏は代表取締役社長という肩書きで「現場の目標には関与しないが、経営規模の話はできる」というスタンスだった。現在の三上大勝氏は代表取締役GMという肩書き。経営も現場もどちらにも関与する立場なので、説明の難易度が高くなりそうだ。
三上氏が来季以降、どういった形でサポーターの期待値との乖離を埋めていくか、しっかりと見守っていきたい。