FacebookがMETA関連商標の買い取りに使ったダミー会社について調べてみた
先日の記事で、Facebook(Meta Platforms)が、米国においてBeige Key LLCという会社を経由してMETA関連の商標権を買いまくっていた件について書きました。
このBeige Key LLCという会社について調べてみました。Google検索してもほとんど情報がありません。デラウェア州の政府サイトの法人情報で調べるとエントリー(タイトル画像参照)はありましたが、2021年6月30日に設立されたということ以外、さしたる情報はありません。登記の代理人となっているCorporation Service Company (という名前の会社)は、企業向け法務サービスを提供している会社です。Beige Key LLC社の商標登録上の住所はこのCorporation Service Companyと同じです。要するに、登記住所(と郵便箱と電話受付)が提供されているだけのバーチャルオフィスです。言うまでもないですが、ダミー会社(英語だと"shell company"という言い方が一般的だと思います)以外の何物でありません。
なお、代表者や役員の情報はウェブからでは検索できず、デラウェア州役所に電話して問い合わせないといけないようなので断念しました(どうせ弁護士等が代表者になっているのだと思いますが)。ちょっと「いかがでしたか」系の記事のようになってしまいすみません。
さて、なぜ、ダミー会社を使うかの理由は明らかだと思いますが、Facebookの名前を出すことで(1)売り手に譲渡価格をふっかけられる、および、(2)FacebookがMETAという商標を必要としていることが早くから世間に知られてしまうのを避けるためです。しかし、売り手の立場から言うと、ダミー会社を経由して商標権を買い取ろうとしているということはよほど大きい企業がバックにいるのだろう(GAFAのどれかかな?)との類推は働いてしまうので、相場よりはふっかけてくるのかもしれません(契約条件は外部からは知りようがないですが)。
また、これも外部からは知りようがないですが、商標権の譲渡契約においては買い手(Meta Platforms)は売り手に対して権利行使しないという特約(グラントバック条項)が結ばれているはずです。つまり、売り手としては今までと同様に商標を使用でき(他社に権利行使できないだけ)、かつ、相場以上の金額で商標権を買い取ってもらったので、やはり「棚ぼた」と言える可能性が高いと思います。
繰り返しになりますが、もう少し独自性の強い名称(典型的には造語)を新社名に選んでいればこんな苦労はせずに済んだのにと思います。また、これだけ手間暇をかけているわりには、昨日の記事で書いた、シリコンバレー企業でよく行われているジャマイカ先行出願を行っていないと見られる点も気になるところです。