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遺留分とは?遺言書の内容に不満がある場合、どうしたら良い?

父が亡くなった後、遺言書が見つかりました。

遺言書にはこう書いてあります。

「すべての財産は長男に相続させる」と。

この一家には、他に母、長女がいます。長女は障害があり、これまで父親が生活の手助けをしていました。

どうやら父としては、長男に全部相続させるから、母、長女の面倒を見てほしいという気持ちがあったようです。

しかし長男は遺言書があることをいい事に、すべての財産を自分の好き勝手に処分しようと企んでいるようです。

この場合、母、長女は遺産を一切もらえないのでしょうか。

遺言書の内容に不満がある場合、遺留分を請求できる

結論から言うと、今回の場合、母と長女は遺留分を請求することができます。遺留分とは、法定相続人に最低限保証された相続分のことです。

相続財産(遺留分を算定するための財産の価額)に対する遺留分の割合は以下の通りです。

  • 直系尊属のみが相続人である場合 3分の1
  • 上記以外の場合 2分の1

直系尊属とは、両親、祖父母のことです。つまり、今回のように配偶者と子が相続人の場合は2分の1が遺留分となり、遺留分に本来の相続分を乗じた割合が各相続人の遺留分となります。

なお、相続人が兄弟姉妹の場合は遺留分はありません。

遺留分侵害額請求権には時効がある

遺留分権利者は、遺留分侵害額の請求をすることができますが、いつまでも遺留分を請求できるかというと、そうではありません。

遺留分は以下の場合に時効によって消滅します。

・相続の開始及び遺留分の侵害を知ったときから1年

・相続開始のときから10年

遺留分があると安心していても、請求しなければ時効にかかってしまう可能性があるので注意が必要です。

ちなみに、遺留分の権利があるからといって、必ず遺留分をもらわなければいけないというものではありません。

遺留分をもらわない場合、特段手続きは不要です。

遺留分侵害額は金銭で請求する

遺留分は金銭で請求しますが、相続財産には、不動産や有価証券、負債もあれば生前贈与なども含まれます。不動産は、その評価額の計算が必要です。

遺留分侵害額の算定にはルールがありますので、遺留分の請求を検討する場合、弁護士などの専門家に相談する方がよいでしょう。

ただ、遺留分を請求すると、相手方との関係が悪化する可能性があります。遺留分請求を回避するためには被相続人の生前に対策を取るほかありません。

今回の例のように、家族の中に生活の助けが必要な方がいる場合は特に、生前の話合いが重要になると言えるでしょう。

司法書士とは不動産などの大切な権利を守るための専門家です。司法書士の視点から不動産、相続、終活を中心にわかりやすく役に立つ記事をお届けします。AFP2級ファイナンシャルプランナーでもあり、行政書士、宅建士の有資格者です。

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