ダメな中途社員と優秀な中途社員の決定的な差 組織に革新をもたらす中途社員とは?
中途で入社した社員から、
「1日でも早く上司や先輩のように仕事ができるよう、頑張ります!」
という言葉を聞く。どのクライアント企業の現場でもそうだ。マジメな姿勢だが、本当にそのような心掛けでやっていたら職場のためにはならないだろう。
今回は、ダメな中途社員と優秀な中途社員の決定的な差について解説していく。最近転職した人はもちろんのこと、中途社員を受け入れる職場のマネジャーもぜひ最後まで読んでもらいたい。
■『素人発想・玄人実行』とは?
どういう中途社員がダメで、どのような中途社員が優秀なのか? 中途社員を受け入れる職場の側から考えてみればいい。今の時代、単なる「人手」はほとんどの場合、必要がない。現在の組織メンバーのコピーが増えても意味がないのだ。
とくに歴史があり、技術力があるような企業は組織の硬直性が高い。だからガチガチに硬くなった組織を柔らかくしてくれるようなメンバーの登場を心待ちにしている。昔からいるメンバーでは、どうしても新しい発想を出すことができないからだ。
私は現在、多くの日本企業では『素人発想・玄人実行』の考え方が必要だと思っている。ロボット研究の世界的権威である金出武雄氏が提唱した思想だ。つまり、
「素人のように発想し、玄人のように実行する」
という意味である。
素人のように発想するというのは、制約を感じずに自由な思考でアイデアを出すということだ。先述したとおり、現メンバーでは難しい。
いっぽう玄人のように実行するとは、そのアイデアを熟練された技術と方法で具現化することを指す。素人発想とは逆で、新しいメンバーでは難しい。
つまり『素人発想・玄人実行』を実現するためには、
・素人発想 → 新規のメンバー
・玄人実行 → 熟練のメンバー
のタッグが必要だ、ということだ。『素人発想・玄人実行』をひとりで完結させることは難しすぎるからだ。
■ダメな中途社員ほど従順である
では中途社員は、どうすればいいのか? とても簡単だ。ものすごい発想力など必要ない。思い付いたこと、疑問に思ったことを積極的に発言すればいい。
「この商品は、こうやって売ったほうがよくないですか?」
「どうしてお客様のデータベースが、一元管理できていないんですか?」
新しく社会に出たばかりの新入社員なら難しいが、他の会社、他の業界で働いた経験のある中途社員なら、こういったアイデア、疑問はすぐに浮かび上がるはずだ。
優秀な中途社員は
「自分には、この職場における経験がゼロだ。だからこその強みがある」
と思い、ドンドン発言する。その点、ダメな中途社員は、
「いろいろと疑問を感じる点は多いが、実績も上げていない時期から発言したら角が立つ」
と思い、最初の1年や2年は黙って従おうとしてしまう。これからの時代、従来のやり方をそのまま真似しようとする人に価値はない。職場に革新をもたらさないからだ。ロボットやAIに置換されてしまうだろう。
したがって、ダメな中途社員ほど「長い物には巻かれよ」的な発想をしてしまう。その職場において「素人」であることの価値をわかっていないからだ。
■受け入れる側の課題とは?
最後に、中途社員を受け入れる職場側に伝えたいことがある。それは「心理的安全性」を高くすることだ。
「職場に慣れていないうちから、そんな発言しても誰も耳を貸さないよ」
だなんて言ってはならない。優秀な中途社員ほど、すぐに辞めてしまうだろう。そして「玄人実行」するための仮説思考力を磨くことだ。新しいアイデアを形にするためには、高速な「仮説検証サイクル」を実行できるスキルが不可欠だからである。
<参考記事>