『やすらぎの郷』 脚本集にあった松岡茉優の海水浴シーンが変更になっていた 水着じゃなくて残念
帯ドラマ劇場『やすらぎの郷』(テレビ朝日 月〜金 ひる12時30分 再放送 BS朝日 朝7時40分〜)
第12週 60回 6月23日(金)放送より。
脚本:倉本聰 演出:唐木希浩
イケメンだけじゃない
『やすらぎの郷』の前番組『徹子の部屋』のゲストは、この日、向井理だった。彼は、ちょうど『やすらぎの郷』に今週からイケメン俳優・シノ役で出演しはじめたところだ(まだ、イメージシーンだけだが)。
トークの最後に、向井が祖母の手記を映画化した『いつまた、君と 何日君再来』(深川栄洋監督、6月24日公開)の話になると、黒柳徹子が声をつまらせた。戦中戦後を生き抜いた向井の祖母と家族の物語は、若い人に観てほしいというようなことを語る黒柳と、ごくごく一般の人の生活の話を伝えていくべきというような話をする向井。そこから、の……『やすらぎの郷』。「シノさんのことが可愛くて可愛くて仕方ないのかって……」という姫(八千草薫)の場面につながった。
礼儀正しく知的な雰囲気もある向井に対して、黒柳徹子も好意的であるような印象を受けたし、向井は、女性に絶大な人気があるシノにピッタリではないか。姫の想い人(亡くなった千坂監督)の愛用の香り・ヘチマトワレも似合いそうではある。
69話は、シノの話は進展せず、中心になったのは、女性従業員たちが水着でビーチを走り回る場面だった。マロ(ミッキー・カーチス)を中心に、大納言(山本圭)と、菊村栄(石坂浩二)がテラスから、若い女性のカラダを双眼鏡で観て、「眼福、眼福」と顔をほころばせる。
女性視聴者向けにイケメンを出し、男性視聴者向けには若い女子の水着。男女平等である。
八千草薫は宝だ
さて、この場面、双葉社から出ている脚本集と読むと、オンエアとは少し違っている。まず、脚本集では、ビーチで泳いでいるのは、ハッピーちゃん(松岡茉優)と姫の付き人の夕子(松本ふみか)だったが、オンエアでは、ふたりに代わって、コンシルジュの奈々(東松史子)と風間ぬい子(広山詞葉)が水着で海辺にいる。ハッピーちゃんは、私服でビーチボールをもって、夕子と共にテラスにいる。井深凉子にならって「脱いじゃいましょう」という台詞はあるが、それだけ。
脱ぎは無理としたって、松岡茉優、水着にならないのか! と、朝ドラ『ひよっこ』で、ヒロイン有村架純ほか美少女たちが水着を買ったエピソードはあるにもかかわらず水着シーンがなかった時と同様、とてもがっかりした(正確には、水着とはト書きに書いてないが、「泳いでいる」と書いてあるので、水着を期待してしまったのだ)。
脚本集では井深凉子もいることになっていた。だが、オンエアでは登場しない。野際陽子は、58話でクランクアップしたのかと思ったら、その後のバー・カサブランカの場面には出てきて、ああ、まだ野際さんのシーンがあるのだと少しホッとした。
バーでは、井深がハダカで海に入ることを、理事のみどり(草刈民代)がとがめる。ひと目につかない夜ならいいのかと反論すると、「夜は天使だって 悪魔に変えます」とみどりが名言を吐き、それをメモる井深。
名言といえば、その後の、姫だ。
夜中にまた菊村を訊ねて来て、血圧が高く体調が悪いと、やんわり訪問を拒否する菊村に、夕子が泳いでいるところを見たせいと思い込み、「あの娘小っちゃいけど意外とグラマーなのねよ。あれ見せられたら。ねえ」(間)「でもすぐ治まるわ」と言う。いったい何が治まるのか。八千草薫の終始淡々とした喋り方と、「ねえ」と「でもすぐ〜」の間合が最高だった。日本の俳優の宝である。
野際陽子を失ったことによって、残された俳優たちの大切さがいっそう染みる。長生きしてほしい。
60話は、若い女の子たちの肢体がかけがえのないものであることを感じさせる話だったが、と同時に、長く生きて、功績を残した女優たちのかげがえのなさも痛感した回だった。
6月24日(土)午前10時から、関東ローカルのみ、6月分の総集編が放送される。
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