なぜ国民民主党は若者に人気なのか?
最近、国民民主党の若者人気がすごい。
特に、玉木雄一郎代表の人気が高い。
筆者の周りの高校生や大学生でも「ファン」になっている若者が多く、ネット上でも高い評価となっている。
昨年末、2021年に活躍した国会議員を若者に聞いた際には、「玉木雄一郎」の名前が最も上がった。
今回の参院選においても、若い層だけで見れば、自民党が圧倒的な人気であることは間違いないが(自民党は全世代でダントツ)、野党第一党の立憲民主党にも引けを取らず、若い世代が国民民主党を支えている。
ちなみに、立憲民主党は、高齢世代からの支持が多い。
その理由については、昨年の衆院選後に書いた通りだ。
立憲民主党はなぜ若者の支持を得られなかったのか?(室橋祐貴)
党の代表選を経て、党執行部は変わったものの、党の性質としては、あまり大きな変化はない。
国民民主党が若者から支持を得ているワケ
では同じルーツ(民主党)を持つ国民民主党はなぜ若者から人気なのか?
大きくは下記に分類できる。
・「対決よりも解決」への共感(改革志向が強い)
・党として若者世代を重視
・玉木雄一郎代表など執行部が人気
「対決よりも解決」への共感
昨年、衆院選の後、日本若者協議会の会員メンバーに対して、各党に投票した理由を聞いたが、そこで最も上がっていたのが、「批判ばかりではない」「現実路線」といった「対決よりも解決」という党の姿勢への共感だ。
日本に余裕のあった20世紀後半なら理想主義の方が若者に人気が出たかもしれないが、近年の日本は、多くの課題が表面化しており、若い世代は特に身近な課題を感じている。
具体的には、学費の負担(奨学金の返済)や長時間労働の割に給料の上がらない(生産性の低い)労働環境、子育て環境の大変さ、いじめや自殺などだ。
とにかく、課題解決をしてほしい、その切迫感を抱えている。こうした状況から、現実主義な傾向が強く、一つでも課題を解決してくれる政党を求めている。
それが、「対決よりも解決」を掲げる国民民主党のスタンスにマッチしている。
実際、近年話題のヤングケアラーや生理の貧困など、若い世代の声を受けて、国民民主党が推進した政策課題は多い(逆に同じ要望を届けても、立憲民主党の動きは鈍い)。
選挙期間中にも、2020年はじめに書いた記事が多く読まれていたが、下記の記事が、国民民主党と立憲民主党のスタンスの違いをよく表している。
若者が自民党を支持していることから、よく「若者は保守化している」と言われるが、実際は現実主義かつ改革志向だ。
読売新聞・早稲田大学の調査にある通り、若者にとって改革政党は自民党であり、改革色の弱まった岸田政権になってから、若者の支持率が下がっていることもそれを裏付けている。
「自民党こそリベラルで革新的」——20代の「保守・リベラル」観はこんなに変わってきている(室橋祐貴)
また、国民民主党の予算案賛成に対して、政界、特に他の野党や、政治評論家からはかなり低い評価となっていたが、国民からは、前向きに評価されている。
日本経済新聞社が3月25~27日に行った世論調査によると、「評価する」と答えたのは56%で、「評価しない」の28%を上回った。
世代別にみると、特に現役世代からの評価が高く、「評価する」は18~39歳が63%、40~50歳代が65%、60歳以上は51%だった。
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党として若者世代を重視
次に、単純に、国民民主党が若者世代を重視しているという点が挙げられる。
昨年の衆院選から掲げている「給料が上がる経済」というのはまさに、現役世代をメインターゲットとした政策であるし、教育国債の発行などもそうだ。
今回の出口調査でも、若い世代が重視する政策は「教育・子育て政策」、「景気・雇用」、「外交・安全保障」が高くなっているが、国民民主党はそこを重点政策として掲げている。
一方、立憲民主党も確かに「国公立大学の授業料を無償化」を掲げているのだが、財源がイマイチ不透明で、実現性が乏しいのに加え、党首討論を見ても、物価高対策として年金受給者への対策をよく訴えたりと、やはり高齢世代を重視している印象が否めない。
玉木雄一郎人気の理由
最後に、玉木雄一郎代表など執行部の人気が高い。
冒頭で紹介した「若者が選ぶ、2021年活躍した国会議員はだれか?」では、一番目の玉木雄一郎代表に続き、二番目が副代表の伊藤孝恵参議院議員になっている。
中でも人気なのが、玉木雄一郎代表だが、なぜ若者から、玉木雄一郎代表が人気なのか?
周りの意見やネット上の反応を見ると、大きくは下記の理由が考えられる。
・明るい
・前向き、柔軟(否定から入らない)
・国民(特に若者)を重視しているから
こうした印象は、日経テレ東大学の玉木雄一郎代表の回と立憲民主党の泉健太代表の回を見比べればよくわかる。
【ひろゆき&成田悠輔】衝撃結末!野党党首に前代未聞の刺客【国民民主党 玉木雄一郎の野望】|Re:Hack
【ひろゆき&成田悠輔】日本を立憲民主党に任せて良いのか?【前代未聞の激論】
銃撃事件で死去された安倍晋三元首相が、若い世代から人気だったことを考えても、明るさやかわいらしさの「キャラ」は意外と重要である。
若年人口が少ないため、国民民主党が大きく躍進するほどの勢いはまだない(それでも昨年の衆院選に比べ主要政党の中で最も比例獲得票数は増やしている)。
ただ今後、主権者教育をきちんと受けた政治リテラシーの高い若い世代が増え、世代交代が進む中で、一つでも具体的に課題を解決しようとする、「対決よりも解決」の姿勢を持つ政党の方が支持を伸ばすことは間違いないのではないだろうか。