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最近物忘れが増えた。そんな時こそ今後の財産管理について真剣に考えてみよう。

ある程度の年齢になり、物忘れが増えてくると心配になるのが認知症。

「認知症になったらどうしよう」

「もしも認知症になったら誰が自分の面倒を見てくれるのだろう?」

年齢を重ねるとどうしても心配になりますよね。

少しでも認知症の疑いが出てきた場合には、できるだけ早く財産管理について対策する必要があります。

認知症になると財産管理ができなくなる

財産管理とは、日々の支払いや入金の管理、賃貸物件をお持ちの方なら家賃収入の管理などを言います。

認知症が進むと、銀行に行けなくなったり、お金を引き出す方法がわからなくなったり、同じ物を何度も大量に購入してしまうなど、様々な障害が生じます。

身内の方が代わりに管理することもできますが、ご本人のお金を使い込む可能性もあり得るわけで、決して安全とは言えません。身内の方が遠方に住んでいて、面倒をみてもらえないという高齢者も増えています。

何も対策をとらないとどうなるか?

しかし、「もしかしたら認知症かもしれない」と思いながら何も対策をせず、認知症が進行してしまったらどうなるでしょうか。

認知症が進行すると、判断能力が低下し、財産管理はもちろん、新たに契約をすることができなくなってしまいます。

例えば、将来的に使っていない不動産を売却したいと考えていても、自分の意思では売却できなくなってしまいます。

もしも新たに契約を締結する必要性が生じたときには、成年後見の申立をし、成年後見人を付けなければなりません。

知らない人が後見人になる

成年後見の申立をすると、裁判所が成年後見人を選任します。成年後見人として選ばれる方は一般的に弁護士や司法書士などの専門家です(家族が選ばれることもありますが、今回は専門家が選任されるという前提で話を進めます)。

法定代理人は、日常生活に関する行為を除くすべての法律行為について本人に代わって代理します。本人の預貯金も当然成年後見人が管理します。

しかし、中には、全く面識のない方が本人の財産管理をすることに不安を感じる身内の方もいます。

知っている人を後見人として選んでおくこともできる

実は、認知症を発症する前に、事前にいざというときのために後見人となる候補者を選んでおくことができます。

それが、任意後見制度です。

しかも、任意後見制度を利用した場合、後見人候補者とは事前に代理権の内容を決めておくことができます。

自分の財産の管理を自分が選んだ相手にお願いできるのなら、万が一があっても安心です。

任意後見契約は頭の保険と考えよう

認知症は必ず発症するとは限りません。ただし、公益財団法人生命保険文化センターによると2025年には65歳以上の5.4人に1人が認知症患者になると予測されており、誰でも発症する可能性があります。

万が一、認知症を発症してしまい、進行してしまったときに備えて準備しておくのが任意後見制度です。

そのため、任意後見契約は頭の保険とも言われています。

最近ちょっと物忘れが多いかなと感じたら、タイミング。将来の財産管理についても真剣に考えてみましょう。

司法書士とは不動産などの大切な権利を守るための専門家です。司法書士の視点から不動産、相続、終活を中心にわかりやすく役に立つ記事をお届けします。AFP2級ファイナンシャルプランナーでもあり、行政書士、宅建士の有資格者です。

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