アップルの”iPhoneをのぞき見されないメガネ”の特許出願の本当の内容
「Apple特許出願”iPhoneをのぞき見されないメガネ”の正体とは?」という記事を読みました。
と書いてあるのですが、それが具体的にどのような技術であるかという一番知りたいポイントは記事中では触れられていません(思わず最後に「いかがでしたか?」と書いてないか見てしまいました)。
この記事のネタ元と思われる9to5MacおよびPatently Appleの記事でもこの技術が具体的にどのようなものであるかは触れられていません。
特許公開番号20210350769はわかっているので、公報を読んでみました。
発明の名称は、"SYSTEMS AND METHODS FOR SWITCHING VISION CORRECTION GRAPHICAL OUTPUTS ON DISPLAY OF AN ELECTRIC DEVICE"(電子機器のディスプレイ上で視力矯正に対応したグラフィック出力を切り替えるシステムと方法)。出願日は2020年5月6日、公開日はつい先日の2021年11月11日です。審査経過を見るとなんと既に11月10日付けで特許査定(補正無しで一発特許査定)が出ています。特許番号は11189248ですが、新しすぎて現時点ではネットには掲載されていません。
発明の名称からもわかるように、この発明のポイントは、(Face IDの拡張と考えられる)ユーザーの顔認識において、眼鏡(スマートグラスではありません)の存在を認識して所定の表示設定を選択することにあります。
確かに、「特殊なメガネを通してのみ、iPhoneの画面を見れるようにする」技術については書いてある(”privacy eyewear”と称しています)のですが、実施例の1つとしてさらっと書いてあるだけです(クレームについても最後のクレームであるクレーム20に書いてあるだけです)。”privacy eyewear”を検出した場合には、イメージのぼかし(blur)処理を行い、眼鏡側でそれを打ち消す処理(unblur)を行ってよいくらいしか書いてありません。
ということで、「特殊なメガネを通してのみ、iPhoneの画面を見れるようにする」という技術の具体的内容が書かれていないのは上記の記事に限った話ではなく、元々の特許出願の時点でそうである(そもそも、そこはこの特許出願のポイントではなかった)ということになります。
せっかく公報を読み込んだので、本来、この特許出願が中心的に狙っているのはどのようなアイデアであるかを解説しておきます。
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