『競争の番人』は、テレビ業界や芸能界を描けるか?
月9『競争の番人』(フジテレビ系)の舞台は、ご存じのように「公正取引委員会(略称・公取委)」です。
地味で、あまり強くない組織ですが、企業の「ズル」を許さない、大事な役割を果たしている公取委。
ドラマでは、審査官の小勝負勉(坂口健太郎)と、元刑事の白熊楓(杏)がコンビを組んで、頑張っています。
これまで、複数のホテル間で行われていたウエディング費用のカルテルを突き崩したり、大手メーカーによる下請けいじめ問題などに取り組んできました。
刑事ドラマや弁護士ドラマは見慣れていますが、公取委の審査官が主人公のドラマは珍しいため、興味深く視聴しています。
一般企業を対象とするイメージの公取委ですが、実は「テレビ業界」や「芸能界」ともかかわりがあるのです。
「テレビ業界」と公取委
確か2015年のことでした。公取委が、テレビ局から番組を受注する制作会社280社を対象に、取引の実態を調査し、その結果を公表したことがあります。
明かになったのは、不当に低い制作費や、発注が文書ではなく口頭で行われていたり、契約書を交わすのが入金後だったりという事例。
さらに著作権を無償譲渡するなど、独占禁止法に違反するような行為が指摘されました。
当時、公取委は「今後も取引実態を注視し、法律に違反する行為に対しては厳正に対処していく」としていたはずです。
その後、テレビ局による「下請けいじめ」が、どこまで改善されているのかも含め、ドラマで描いてみたらどうでしょう。
「芸能界」と公取委
芸能界と公取委ということで言えば、2016年に起きた「SMAP解散騒動」を思い出します。
SMAPの解散によって、稲垣吾郎さん、草彅剛さん、香取慎吾さんの3人はジャニーズ事務所を離れました。
すると、彼らはテレビ出演がほぼなくなるという事態に陥ったんですね。
この時、公取委はジャニーズ事務所に対して「独占禁止法違反につながりかねない」と注意を行っています。
当然、テレビ局も関係する問題であると指摘。芸能事務所への注意自体が異例のことで、注目を集めました。
現在、稲垣さん、草彅さん、香取さんはテレビで活躍していますが、そんな経緯があったのです。
どこまでドラマで描けるか
というわけで、今後、『競争の番人』が人気タレントの独立をめぐる騒動や、テレビ局と番組制作会社の関係を描くのであれば、ぜひ見てみたい。
公正な取引を見守り、指導し、「ズル」を許さない公取委の姿勢を示す、絶好のテーマなのではないでしょうか。
もちろん無理は承知の話ですが、もしも実現したら、いろんな意味で”快挙”となるはずです。